故障物理の活用

故障物理(PoF)(または信頼性物理)では、時間の経過とともに物理的、化学的、機械的、熱的、電気的メカニズムがどのように衰退し、最終的に故障を誘発するかを記述する、劣化アルゴリズムを使用します。PoFは、新世代の電子部品およびシステムの信頼性を正確に予測するための試みから生まれた用語です。ただし、PoFの概念そのものは、さまざまな構造分野で広く使われています。

Sherlockでは、PoFおよび信頼性物理を利用して、次のような次世代コンポーネントの不具合挙動を正確に予測することができます。

  • シリコントランジスタ
  • ワイヤーボンド
  • はんだバンプ
  • ダイアタッチ
  • 発光ダイオード
  • 電解コンデンサー
  • めっきスルーホール
  • はんだ接合
 

設計解析の迅速化

Sherlockを使用すると、電気エンジニアと機械エンジニアが連携しながら作業し、プロジェクトの開始時点から信頼性を考慮した設計を行うことができます。チームでSherlockを使用することにより、次のような設計ルール、ベストプラクティス、故障物理(PoF)手法を統合できます。

  • 電子アセンブリの3Dモデルによる早期の解析
  • トレースモデリング
  • 有限要素シミュレーションの後処理を通じて、重要なコンポーネントを特定し、故障の時期を予測
  • 従来は不可能だった信頼性予測

さらにSherlockでは、次のような従来型の信頼性考慮設計のためのアクティビティも迅速に行うことができます。

  • 平均故障間隔(MTBF)
  • 設計不具合モードおよびその影響分析(DFMEA)
  • 熱ディレーティング
  • PCBモデリングおよびシミュレーション:
    • スタックアップ:Sherlockはガラスおよびファイバーの選択を考慮し、全体的な材料特性の選択について情報を提供します。
    • 高忠実度のPCB:SherlockはPCB基板材料の銅メッシュ特性を識別し、潜在的なリスクを特定します。
    • PCBメッシュ:Sherlockは均一な(一体型)モデルについても、積層型モデルの各層についても、同質な機械的特性を識別します。
    • リード線モデリング:Sherlockではスルーホールリード線の追加によるコンポーネントの選択、およびバーチャルに作成したPCBの3D表示が可能です。
  • PCBモデリングおよびシミュレーション:
    • 自動的なECADデータのインポート、3Dモデルの生成、3Dオブジェクトへの特性の割り当て
    • 複数の環境的影響を同時に適用し、特定のパラメータの範囲内でテストを実行
    • 材料、スタックアップ、およびライフサイクルイベント(熱、衝撃、振動)を自動的に調整
    • FEA計算解析により、すべての部品について検証済みのモデルを使用して信頼性を予測
    • カスタムレポート(PCBごとに最大100ページ以上)をほぼリアルタイムで作成。加えて、データセットおよび画像のエクスポート機能

Sherlockはプロセスを自動化し、リソース所要量を減らし、スピーディに結果を提供します。数週間または数か月ではなく、数分で設計ネットワークが完成します。

 

製造リスクの低下

Sherlockは製造性考慮設計(DfM)と信頼性考慮設計(DfR)を最大限に追求してリスクを軽減するため、キーとなる次の要素について評価します。

  • はんだ接合の信頼性。一定の条件下で、一定時間にわたって定義済みの障害レベルを超えずに製品が機能するかどうかを確認します。
  • めっきスルーホールの疲労。ヒューマンインターフェースの代わりにコンピュータ化されたモデリングと温度マップを使用し、高精度の有限要素テスト結果を導き出します。
  • 衝撃/振動テスト時の歪み測定。故障確率、故障の根本原因、故障イベントを予測するためのデータを収集します。
  • 材料の選択。プラスチックの特性を設計および機能の要件に整合させます。
  • サプライヤー分析。一貫して中断なく高品質の製品とサービスを提供可能なパートナーシップを確立できます。
  • 組立て後の取り扱い作業の評価。生産後の効率改善が可能な部分を特定します。
  • 半導体の摩耗。SAE ARP 6338に準拠したアプローチにより、ICの不具合をメーカーが評価・予測できます。
 

より迅速なテスト

Sherlockを使用すると、必要な物理テストの繰り返し回数が少なくなり、プロトタイプが適格性認定テストに1回で合格する可能性が高まります。設計の段階からエンジニアが電子製品の信頼性を追求できるよう、次のことが可能です。

  • バーチャルな製品のビルド&テスト
  • ほぼリアルタイムの設計変更
  • 機械的シミュレーションを迅速に実行
  • テストの機会を識別
  • 設計の選択肢を評価
  • プロジェクト固有の洞察を入手
  • 信頼性目標にメトリックおよび要件を整合

Sherlockをテスト計画の一部分として使用する場合、次のような適格性認定テストの繰り返し回数と所要時間、および必要なコストが大幅に削減されます。

温度サイクル
従来の手法のようにパラメータを適用してその範囲内で分析するのではなく、Sherlockは基板を設計し、その基板に対して温度サイクルを適用します。不具合が生じるコンポーネントや、故障の件数およびタイプが確実に識別されます。そのため、プロセスの早い段階ですみやかに修正を行うことができ、修正に必要なコストが低下します。

めっきスルーホール疲労
PCBの機能に影響を及ぼす、いくつかの要因をモニタリングする際、Sherlockではヒューマンインターフェースに任せるのではなく、はんだ疲労の入力から得られる温度マップに基づくコンピュータ化モデリングを使用します。さらに、基板スタックアップを使用してバレルストレスを計算し、有限テスト結果および改善措置を導き出します。

振動と衝撃
振動および衝撃テストに対する従来型の確率的アプローチでは、実際の障害イベントを正確に特定することはできません。Sherlockは、振動および衝撃テスト時に生じる基板の歪みを計算し、そのデータを利用して故障確率を予測し、故障の根本原因および対応する障害イベントを判別します。

Conductive Anodic Filament(CAF)
Sherlockは、コンピュータ化されたドリルファイルから直接、ドリル穴の位置および直径のデータを収集します。そのデータを穴のサイズ別にフィルターして、穴のペア間に存在する「ダメージゾーン」を正確に特定し、集中的な解析を実行します。この自動化されたCAF適格性認定によって、故障の件数が減少し、製造全体を通して製品の信頼性が確保されます。

高加速寿命試験(HALT)および高加速ストレススクリーニング(HASS)
HALTおよびHASSは、エレクトロニクス業界におけるデザイン検証のための優れたツールです。HALTは、設計のマージンや弱点について洞察を提供します。HASSは、故障するまで温度サイクル/振動HALTを組み合わせて実行します。持続時間は95%に短縮されています。そのためHASSで消費される寿命は5%のみになります。ただし、この前提条件をSherlockの故障物理シミュレーションで確認すると有益な場合があります。Sherlockでは、テスト/検証エンジニアがHASSプロファイルのさまざまな側面を変化させ、寿命への影響を把握することも可能です。