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アナログ集積回路(IC)とは何か、そしてその設計方法とは

アナログ信号とは

アナログ信号は、電圧や圧力など、変動する属性が別の時間依存変数に対応する連続波形です。言い換えると、ある変数が、別の変数の相似物となる連続した信号です。信号は、ある値から別の値まで、ゼロから全振幅までの範囲のすべての中間値を通過しながら移動します。

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アナログICとは

アナログ集積回路(IC)は、アナログ信号を処理する電子回路です。多くの電子機器の基本部品であり、音響、温度、光、電圧などの信号を処理します。オン/オフ信号を処理するデジタルICとは異なり、アナログICは信号の全範囲の値で動作します。

アナログICは、増幅、フィルタリング、ミキシング、変調、復調などの機能を担います。正確で効率的な信号処理が不可欠な用途で広く使用されています。 

アナログICの例と適用分野

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電圧および電流レギュレータ: 入力電圧の変化に関係なく、出力が一定に保たれる必要がある電力回路で広く採用されています。レギュレータICによって、一定の出力が保証されます。電圧レギュレータは、あらゆる電源システムで使用されています。 

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オペアンプ: オペアンプは、負荷に応じて入力信号をより高いレベルに増幅するために使用されます。オペアンプを使用して、不要な信号をフィルタリングすることもできます。オペアンプICの最も一般的なアプリケーションはオーディオアンプです。 

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データコンバータIC: データコンバータICは、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)とも呼ばれ、アナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられます。入力信号が連続しており(音響、熱など)、処理のためにデジタルストリームに変換する必要がある場合に使用されます。最も一般的な用途は無線です。 

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オーディオアンプ: オーディオアンプICは、受信するアナログ信号が非常に弱い高周波アプリケーションで使用されます。低周波の入力を受け入れ、回路で必要とする高いレベルまで上昇させます。これらのチップは、一般的に通信システムで使用されます。

アナログICとデジタルICの比較

  1. 信号表現: アナログICは、時間の経過とともに値が変化する連続信号で動作します。それに対して、デジタルICは、バイナリ形式(0または1)で表される離散信号を使用します。
  2. 回路コンポーネント: アナログ回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサなどを使用しますが、デジタル回路の主要コンポーネントは論理ゲートです。
  3. 精度と正確度: アナログICはノイズや信号劣化の影響を受けやすく、結果として精度の低下につながります。アナログシステムは、温度変化などの環境要因にも影響されます。一方、デジタルICは、デジタル信号の離散的な性質により、高い精度と正確さをもたらします。デジタルシステムは、ノイズや外部干渉に対して、より耐性があります。
  4. 複雑さと機能性: 複雑なアナログ回路の設計は、入力信号の連続的な変動によってより難しくなります。こうしたICは、オーディオアンプ、センサー、アナログフィルタで広く使用されています。デジタルICは複雑な論理演算を可能にし、マイクロコントローラ、メモリストレージ、デジタル信号処理タスクに適しています。
  5. 電力効率: アナログ回路は、デジタル回路よりも多くの電力を消費しますが、電力効率は高くなります。デジタル回路は、動作が少ない期間(トランジスタの大部分がスタンバイモードにある場合)に電力効率が高くなり、スイッチングや能動的な計算の実行中に消費電力が増加します。

アナログICの設計方法

アナログICの設計は、複数の段階で構成されるプロセスで、エレクトロニクスや半導体に関する深い理解が必要になります。アナログチップの設計プロセスでは、設計サイクルの早い段階で実装上の課題を検討し、シミュレーションソフトウェアを使用して挙動を予測する必要があります。設計手順は以下のとおりです。

概念化と仕様: このプロセスは、ICの目的と機能の定義から始まります。エンジニアは、顧客や分野のエキスパートと連携して、回路の性能要件、電力制約、動作条件、ターゲットアプリケーションを決定します。

回路図設計: トランジスタ、抵抗器、コンデンサなどを使用して、ハイレベル回路図を作成します。このブループリントには、さまざまなコンポーネントとその機能の配線が記されます。 

検証: 実際の製造を開始する前に、SPICEシミュレーションソフトウェアを使用して、回路の挙動をシミュレーションする必要があります。このステップは、潜在的な問題を特定し、設計を改良して、性能を最適化するのに役立ちます。 

レイアウト設計: 回路図の作成後、コンピュータ支援設計(CAD)ツールを使用して、それを物理的なレイアウトに変換します。レイアウトには、コンポーネントの配置、配線の設計、そして最も重要な設計品質の設定が含まれています。ロバストで信頼性の高い設計を作成するためには、寄生効果、電磁界干渉(EMI)、熱放散、静電放電(ESD)エレクトロマイグレーション(EM)IRドロップなどの要因を検討する必要があります。これは、設計者が次のステップに進む前に設計を徹底的に調査する必要がある、最も時間のかかるステップです。

製造: 物質の層を堆積させ、半導体素子やインターコネクトを作成します。市場にリリースする前に、最終製品に対して品質保証検査を行います。

アナログおよびミックスドシグナルICシミュレーション

サインオフ解析は、潜在的なプロジェクトリスクを軽減し、シリコン製造時に生じるコストのかかるエラーを効果的に回避するための予防的な手段です。正確なマルチフィジックスシミュレーションを活用することで、不要な安全マージンを排除し、設計性能を向上させ、より精度の高いICを製造できるようになります。IP設計サイクルの早い段階でパワーインテグリティとシグナルインテグリティを保証することで、所要時間を大幅に短縮し、設計エンジニアは自信を持ってサインオフできるようになります。 

電源ノイズと信頼性サインオフの詳細については、次のホワイトペーパーをご覧ください。SerDes IPおよびPMICの電力および信頼性サインオフのためのアナログおよびミックスドシグナルワークフロー

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