電気モータの冷却

電気モータの正確なシミュレーションは、コストの削減と効率の向上に貢献します。モータが小型化し、酷使されるにつれ、余分な熱が発生して大幅に効率が低下します。極端なケースでは、永久磁石も限界に達し、消磁する場合があります。熱管理は、設計プロセスの早い段階で分析しておくべき課題です。

厳しい条件が要求される次のような用途で、市場に先駆けて新製品を開発するには、ANSYSのソリューションを利用した電気モータの最適化が有効です。

  • 電気自動車/ハイブリッド車
  • 電動航空機
  • 風力タービン
  • 太陽追尾パネル

電磁場とその損失分布、構造的整合に対する熱ストレスの影響など、モータのあらゆる側面をシミュレーションし、設計上のトレードオフや留意事項を早期に把握できます。ANSYS Maxwellによる電磁場とそれに関連する電力損失のシミュレーションは、温度解析を実行するための第一歩です。

電力損失は、ANSYS Fluentの時間平均化された3D入力として自動的にマッピングされます。この結果を分析して、熱性能を決定する重要部分を探り出し、冷却を考慮して設計を最適化します。ある種の状況で、1つの物理特性を考慮するだけでは不十分な場合には、FluentとMaxwellを組み合わせることができます。この場合、Fluentを使ってさまざまな冷却方式をシミュレーションし、温度情報をMaxwellに戻します。これらの値を利用して、温度依存の材料特性を調整し、電磁場の修正を行ったうえで、Fluentでさらに評価します。

最適化された電気モータの温度分布

ウォータージャケットと油噴霧冷却を使用して最適化した電気モータの温度分布をFluentで表示
画像提供:Lucid Motors

Fluentを使用すると、次のようにさまざまなモータ冷却方式をシミュレーションできます。

  • 自然冷却または強制空冷
  • 水冷
  • 噴霧冷却

適切な冷却が達成された時点で、FluentとANSYS Mechanicalを組み合わせて熱ストレスを計算することが可能です。材料によっては温度が上がると変形する場合があります。変形によって騒音、振動、ハーシュネス(NVH)が大きくなると、ユーザーにとって不快なだけでなく、安全性にも著しい悪影響が生じます。

ANSYS Twin Builderを使用すると、ANSYS物理ソルバーの次数低減モデルによってモータ全体をシミュレーションすることができます。これに並行して、ANSYS SCADEで作成した組込みソフトウェアにより、モータが制御されます。このようなシステムシミュレーションを行うと、物理的なプロトタイプを作成せずに、設計プロセスにおける早期の判断が可能になります。さらに、Twin Builderを使用して、現場の物理的な資産に対応するバーチャルな資産、すなわちデジタルツインを作成・接続できます。この方法で、モータのさまざまな動作条件を把握し、診断を実行し、理想的な保守スケジュールを予測することが可能になり、保証コストの削減につながります。

Lucid社の冷却

12%の効率向上を達成した電気モータの油噴霧冷却プロセスを、ANSYS Fluentでシミュレーション
画像提供:Lucid Motors