Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
回折により光の特性を操作するコンポーネントは、「回折光学素子」(DOE)と呼ばれます。これらの素子の中には、今日の光学系で使用されているもの(回折格子など)もあれば、次世代光学レンズとして知られているもの(メタサーフェスやメタレンズなど)もあります。
DOEは光波の位相、偏光、強度を正確に制御できるため、さまざまな分野で採用されています。また、従来の屈折光学素子よりもはるかに薄くて軽いため、光学系のサイズ、重量、コストを削減できます。
光源の操作には、さまざまなタイプのDOEが使用されます。たとえば、回折格子、フレネルゾーンプレート、回折型ビームスプリッタ、回折型ビームシェイパー、回折型ディフューザーがあります。
回折格子は、非常に小さい周期的なパターンで構成される光学構造です。パターンの間隔は、光波長と同じくらいのサイズです(マイクロメートルまたはナノメートル単位)。これらのパターンを用いて、入射光を「回折次数」と呼ばれる複数の空間方向に転換できます。回折格子は、分光法からARグラスまで、さまざまな用途に使用されています。
表面レリーフ型回折格子(SRG)とボリュームホログラム回折格子(VHG)
回折格子には、2つのタイプがあります。
表面レリーフ型回折格子には、ダイヤモンド旋盤、3Dプリンティング、またはリソグラフィを使用して、周期的に並ぶ小さな溝が機械加工されています。この溝は回折格子のタイプごとに異なるため、設計者は用途や目的の波長範囲に合わせて回折格子を調整することができます。これらの溝により、光の操作が可能になります。周期性と構造を変えることで、回折効率と回折次数が変化し、それによって光を操作する際の制御が向上します。
Ansys Lumerical FDTDのRCWA(Rigorous Coupled-Wave Analysis)ソルバーを使用した、光を通す2Dブレーズド回折格子のシミュレーション
ボリュームホログラム回折格子は、感光性材料にホログラムパターンを記録することで製造されます。まず、感光性材料(ポリマーやガラスなど)に、2つのコヒーレントなレーザービームによって作成された干渉パターンを照射します。これにより、基板材料内に屈折率の3次元変調が形成されます。
元のいずれかの記録角度で光が回折格子に到達すると、プロセス中に使用された2番目の記録ビームが再現されます。応答の帯域幅は、材料、変調率、および回折格子の厚さによって異なります。
ボリュームホログラム回折格子(VHG)の形成
レーザービーム1が回折格子に照射されると、レーザービーム2が出力ビームとして再構成される。
フレネルゾーンプレートは、放射状に線密度が増加する(外周に向かって輪帯間の距離が狭くなる)円形の回折格子で構成されています。同心円状の透明な輪帯と不透明な輪帯が交互に繰り返されます。透明な輪帯に衝突する光は透過し、不透明な輪帯に衝突する光は回折します。輪帯間の間隔に基づいて、回折した光がどのように干渉し、集光されて、像が形成されるかが決まります。フレネルゾーンプレートは、さまざまな波長で使用できるため、X線イメージング、分光法、写真、望遠鏡など、さまざまな用途に広く利用されています。
回折型ビームスプリッタは、入射光線を複数のビーム出力または回折次数に分割する回折格子です。各出力ビームは、入力ビームと同じ光学特性を保持します。これらのデバイスは、一般的にはレーザービームなどのデバイスで単色光とともに使用され、特定の波長や回折角度に合わせて設計されています。
回折型ビームスプリッタのシミュレーション
回折型ビームシェイパーは、ガウス光強度プロファイル(ビームが中心で最も強く、滑らかな曲線で外周に向かって徐々に減少する明度パターン)を使用して、レーザービームの位相プロファイルと強度を変更します。回折型ビームシェイパーは、入力ビームの特性を操作して、出力ビームの形状を変更します。一般に、出力は円形または長方形ですが、他のビームジオメトリプロファイルも取得できます。回折型ビームシェイパーは、リソグラフィ、ホログラフィック照明、光学センサー、バイオメディカル用途、レーザー材料加工に使用されています。
回折型ディフューザーも、入射レーザービームを複数の出力ビームに変換しますが、スプリッタとの主な違いは、ビームが重なり合い、互いに干渉して、均一な分布を形成することです。一般に、光の回折方法や分布方法を決定する微細構造の特定のパターンで構成されます。エンジニアは、マイクロメーター単位のこれらの構造を設計することで、明確な照明パターン(円形、正方形、十字など)を得ることができます。
回折型ディフューザーは、光源を均質化し、従来の屈折光学部品の制約を受けることなく、より狭いビームをより広い角度範囲に広げるために使用されています。用途としては、マシンビジョンシステム(より適切な画像を捉えるための一様な照明を提供する)、ディスプレイ(視野角を改善する)、フラッシュLiDAR(レーザービームを広い領域に一様に分散させる)、走査LiDAR(レーザービームの広がり(拡散角)を制御する)などがあります。
確立されたDOEに加えて、次世代の光学技術となる新しいタイプの高度な回折光学素子も開発されています。これらは、ナノインプリントやリソグラフィなどの高度な半導体製造技術を用いて開発されています。現在、最も重要性が高く高度なDOEは、メタレンズと光集積回路(PIC: Photonic Integrated Circuit)用の回折格子カプラです。
メタレンズは、さまざまな形状やサイズのナノスケール構造である数百万個のメタ原子で構成され、これらが基板上に配置されてレンズを形成します。表面のメタ原子のサイズと位置によって、光波の方向の転換方法が変わります。メタレンズは毛髪ほどの薄さで、従来の厚さのあるレンズよりもはるかに薄くてコンパクトなレンズです。非常に軽量であるため、ポータブルデバイスに最適です。また、大量生産される半導体チップ用にすでに導入されているプロセスや装置を使用して製造できます。
さらに、メタレンズは特定の色や波長を集束または除外できるため、色収差を大幅に削減することもできます。こうした利点により、メタレンズはARグラスの投影システム、内視鏡用の薄くてコンパクトな両面結像/投影レンズ、スマートフォンやドローンの撮像カメラなど、多くの用途で従来の屈折レンズに代わる有望な選択肢となっています。
Ansys Lumerical FDTDを使用したメタレンズのシミュレーション。メタ原子は、サイズと位置が異なる押し出されたロッドとして表示されている。
注目を集めているもう1つの分野は、光学コンポーネントと半導体チップがパッケージ化された基板上に集積されたシステムであるCo-packaged Opticsです。Co-packaged Opticsは、最新エレクトロニクスの電力と帯域幅の課題に対処するためのソリューションであり、光集積回路の開発に向けて大きな足掛かりとなります。主な用途として、AR、VR、イメージセンサー、光通信などがあります。
Co-packaged Opticsを使用すると、異なるサイズの2つの導波路(入力と出力)を結合でき、少ない減衰(最小限の信号損失)で導波路から別の導波路に光を伝送できるようになります。Co-packaged Opticsは、電子部品をフォトニクス素子で置き換え、PICの構成ブロックとなることが期待されています。光の移動速度は電子の移動速度よりも速く、理論上は、より高速なデータ転送速度ではるかに高速な回路動作が可能になることから、PICの需要が今後高くなると予想されます。
極めて複雑で小型の回折光学素子を設計するためには、3D電磁界シミュレーションが必要になります。たとえば、メタレンズのシミュレーションを実行することで、メタ原子の位置とサイズを調べて、異なる配置での光の回折を理解できるようになります。シミュレーションは、場の分布、遠方界パターン、さらには回折光学コンポーネントで操作された波面の変化を解析するのに役立ちます。
Ansys Lumerical製品群、Ansys Speos、およびAnsys Zemax OpticStudioでは、回折光学コンポーネントをシミュレーションできます。たとえば、Lumerical製品群のFDTDおよびRCWAソルバーを使用して個々のコンポーネントを設計し、OpticStudioでDOEの性能を解析できます。これらのソフトウェアを導入することで、単一レンズだけでなく、複数のレンズを同時にシミュレーションできるようになります。
回折格子カプラとマイクロレンズによる光の伝播と光ファイバーから導波路への結合
Lumericalのサブ波長モデルプラグインでシミュレーションした可変入射光の回折反射を使用して、Speosで作成されたスペクトルコノスコープマップのアニメーション
シミュレーションソフトウェアを使用することで、メタ原子の配列やサイズが異なるさまざまなメタレンズを光がどのように通過するかを可視化したり、製造のために設計データをエクスポートしたりできます。これらのシミュレーションは、ARや小型プロジェクタなどに採用されるレンズの開発に活用できます。マルチGPU構成でAnsysのソフトウェアを実行すると、複数GPUによるメモリと処理能力の活用でシミュレーションパフォーマンスが大幅に向上し、数百万個のメタ原子を含む大規模なメタレンズシステムをシミュレーションできるようになります。
OpticStudioとLumericalのメタレンズプラグインを使用したメタレンズのシミュレーション
Lumerical製品群のCo-packaged Opticsシミュレーションでは、光が導波路内をどのように伝播するかをモデル化でき、光波の分割と方向を決める上で導波路の形状が重要となることを実証できます。こうしたデジタルモデルにより、PICの開発においてCo-packaged Opticsが重要な役割を担うことが示されています。また、光学シミュレーションを導入することで、回折格子による導波路への光の結合の効果を評価し、後続の導波路の形状とサイズに合わせて波の伝播をどのように変更できるかを確認できます。さらに、波面を組み合わせて特定のパターンを形成する方法もモデル化することが可能です。
Co-packaged Opticsの回折格子カプラの入出力の設計
メタレンズとCo-packaged Opticsは、以下のような最新テクノロジーの進歩に寄与します。
Ansysのツールを導入することで、製造を開始する前の開発の初期段階で設計を改善できます。回折光学コンポーネントの設計をサポートするLumerical製品群などのツールは、すでに研究機関やエンジニアから高く支持されており、多くのグローバル企業が製品を改善するために導入しています。
回折光学コンポーネントの設計と製造効率を向上させ、市場で優位に立つ方法について、今すぐAnsysのテクニカルチームにお問い合わせください。
エンジニアリング課題に直面している場合は、当社のチームが支援します。豊富な経験と革新へのコミットメントを持つ当社に、ぜひご連絡ください。協力して、エンジニアリングの障害を成長と成功の機会に変えましょう。ぜひ今すぐお問い合わせください。