Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
温かいお茶を手に、親しい人とビデオ通話をする場面を想像してみてください。コンピュータの電源を入れてアプリを起動し、相手がログオンするのを待つ間、窓の外の景色に視線を向けます。どこかで見たり聞いたりしたことのある状況でしょう。
しかし、窓の外に見えるのが庭や街並みではなく、宇宙の暗闇や月の岩であったらどうでしょうか。Microcosm社の代表であり、南カリフォルニア大学の宇宙航空学の非常勤教授であるJim Wertz氏は、この場合、「窓の外に見えるのは太陽系の歴史である」と説明しています。「窓から地球が見え、あなたは話し相手を見ていて、相手もあなたを見ています。」
Wertz氏は、このようなシナリオは実現可能であるだけでなく、そう遠くない将来に実現できるであろうと述べています。ただし、短期的にこれを実現する方法を見つけることは容易ではありません。しかし、科学的および商業的な観点から、これは人類全体にとって重要な目標となっています。月は82億人の人類全体で共有しているものだと、Wertz氏は述べています。
Jim Wertz氏
今回のインタビューでは、宇宙の未来と月への定着の可能性について、Wertz氏の見解を詳しく語っていただきました。
Wertz氏: 現在の成長分野は、主に2つあります。1つは、低軌道での小型衛星で構成されたコンステレーションの継続的な成長です。コンステレーションは現在も増え続けていますが、今後もその傾向は続きます。小型衛星は、比較的低コストですが、多数の衛星で構成されたコンステレーション全体ではかなり高価になります。もう1つの成長分野は、月、火星、その他の惑星に対する関心の高まり、そして低軌道を超えて太陽系のさらに深い場所までの進出です。
Wertz氏: 私の世界観は、一般的な世界観とは大きく異なっていますので、その両方について少し説明しましょう。
問題の1つは、プログラムが非常に高価であり、開発するための時間も長くなる傾向があります。また、陣営が変わると、NASAの優先順位が変わり、下流側でさまざまなことがずれていく傾向があります。
私は、3つのことが起こる必要があると考えています。
Wertz氏: 私が実現したいことの1つは、大勢の人が月に居住することです。NASAが撮影した画像を見ると、全員が宇宙服を着て外を歩いています。月面コロニーでの仕事の大部分は、実際には室内の仕事になるでしょう。
ここで、ポルトガルから月に派遣される大使を例にとります。ポルトガルから月に派遣される大使は何をするのか。まず、その年に月を訪れた2~3人のポルトガル人の世話をします。残りの時間の大部分は、インターネットを介して、ポルトガル語で月の様子や太陽系への進出に関する授業を行い、ポルトガル人の学生たちに太陽系への進出に参加すべきだと説得します。
ここで重要なのは、これをポルトガル語で行うことです。ポルトガル政府は、ポルトガル人の学生がフランス語、スペイン語、あるいは英語で月面生活について学ぶことを望まないでしょう。ポルトガル人の学生に対して、自国が太陽系への進出に参加する必要があることを説得したいと考えるでしょう。もちろん、他の国も同様です。
月には他の仕事もあります。食べ物を育てる人、調理、清掃、修理を担当する人、物資を買う人など、小さな町と同じようにさまざまな作業を担当する人が必要となるでしょう。しかし、彼らは宇宙飛行士ではないのです。
一般的な宇宙科学の専門家に聞いた場合、さまざまな呼び名がありますが、彼らは「宇宙飛行士」であり、6か月あるいは1~2年程度の訓練を受ける必要があると言うでしょう。
月面で作業するために必要であると答えます。これはごく一部の人には当てはまりますが、大半の人はそうした訓練を必要としません。
月での仕事の大部分は、一般の人々のためのごく普通の仕事であるので、その訓練を必要としません。
Wertz氏: 複数のメリットがあります。最大のメリットは、地球が居住不可能になるというシナリオに対応できることです。すでに兆候が見られる気候変動や、核戦争が現実となる可能性により、そうしたシナリオが発生する可能性はあります。そうなれば、地球上で生命が生きられなくなる可能性もあります。
私にとって月の大きなメリットの1つは、地球の文明が続く可能性があることです。月の定住によって、地球上の人々の生活を改善できる可能性があり、それにはいくつかの方法があります。1つは、地球上の人々にエネルギーを供給することです。たとえば、太陽光発電用の衛星は、電力が供給されていない場所に電力を送り返すことができます。
あるいは、すでに1~2社が取り組んでいる、ヘリウム3による原子力発電もあります。ヘリウム3は、月の風や太陽風で運ばれてきます。つまり、地球や月に到達します。地球には回収できるほどの量が存在していませんが、月の場合は表土に堆積します。月の表土は非常に古く、数億年という単位のもの、あるいはそれ以上に古いものもあります。
このように、ヘリウム3が月に運ばれ、長い時間をかけて表土に堆積しています。まだ少量であることは間違いありませんが、採掘して地球に持ち帰ることができる程度の量はあります。
ヘリウム3を利用した原子力発電の最大の利点は、放射性副生成物がないことです。核廃棄物を出さずに原子力を生成できれば、地球と月にいる人々のために、ほぼ無限の電力を生み出すことができます。
Wertz氏: シミュレーションは、間違いなく役立ちます。今後、さまざまな新しいことに挑戦しようと考えていますが、私が望むことは、実機を製作して、打ち上げを行うことなく、こうした新しいアプローチをテストできる方法です。これは非常に時間とコストがかかるプロセスです。
シミュレーションは、時間の短縮とコストの削減につながります。これは、先に進むためには重要なことです。シミュレーションを実行し、何が起こるか、何ができるかを理解し、シミュレーションと解析や実験を組み合わせることが可能になることを望んでいます。これらすべてを使用できれば、他の方法よりもはるかに速く前に進むことができます。
これまで、極めて遅い速度で進歩してきました。30年後に月に居住することが話題になっていますが、実際には、30年もかからず実現できると思います。シミュレーションは、何が実行でき、何を使用でき、何が以前ほど正確である必要はないかを人々に示すという点で、この活動において大きな役割を担います。
Ansys Advantageブログでは、専門家が投稿した記事を公開しています。Ansysのシミュレーションが未来のテクノロジーにつながるイノベーションをどのように推進しているかについて最新の情報をご覧ください。