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Ansysを活用したワークフローを強化: より迅速で正確な構造チェックのための5つのヒント

3月 21, 2025

2:00 Mins

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Roman Kondur | SDC Verifier社、FEMエンジニア
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構造エンジニアリングにおいて、精度と効率は目標ではなく、必要不可欠な要素です。プロジェクトが複雑になるにつれて、業界規格への準拠を確保しながらワークフローを効率化することは、成功するために不可欠となります。

このブログでは、SDC Verifierを使用してAnsysを活用したワークフローを強化するために実践できる5つの方法をご紹介します。5つの方法を活用することで、解析プロセスを最適化し、エラーを減らしながら、プロジェクト全体のスケジュールを改善できます。こうした方法は、今日の競合するエンジニアリング環境においては重要です。

ヒント1: 自動認識ツールを導入してモデル設定を効率化

ジョイント、ビーム部材、および溶接認識を用いてモデル準備を簡素化

構造解析用のモデルを設定するためには、ジョイント、ビーム部材、溶接部の正確な識別と分類が必要です。SDC VerifierのJoint Finder、Beam Member Finder、およびWeld Finderは、このプロセスを自動化して効率を向上させるツールです。

  • Joint Finderでは、1D、2D、3D、Plate(2D、3D、Undefined)、Beam-Plateなどのタイプ別にジョイントが分類され、ビームとプレートの接続部が正しく認識されるようになります。他のビーム接続の分類は、要素の方向、拘束、および定義された認識設定に基づきます。認識されたジョイントは、他のツールの論理的なブレークポイントとして機能します。

  • Beam Member Finderでは、これらのジョイントを使用して、Y方向、Z方向、ねじれ方向でビーム部材を識別し、セグメント化します。このツールは、構造の詳細や方向係数(強軸/弱軸など)に対応するように、必要に応じて部材をサブ部材に自動的に分割します。長さ係数やCmタイプなどの追加のカスタマイズを個々の部材に適用して、AISC ASD 1989部材(1989年、第9版)、AISC 360-10部材(2010年、第14版)、API RP 2A-LRFD(1993年、第1版)、API RP 2A-WSD(2007年、第21版)、Eurocode 3部材(2005年、EN1993-1-1)、ISO 19902(2007年、第1版)、ISO 19902(2020年、第2版)、およびNorsok N004(2013年、改訂第3版)などの規格に基づいて計算を微調整できます。

  • Weld Finderでは、溶接部や溶接パーツを特定します。強度解析や疲労解析に不可欠な溶接長さ、溶接タイプ、溶接のど厚さなどの重要な特性を割り当てます。強度計算では、溶接寸法が定義され、すべての(溶接、垂直、せん断に沿った)方向で溶接強度が適切に考慮されます。疲労計算では、溶接方向に沿って要素応力が自動的に調整されるため、設定時間を最小限に抑えられます。Weld Finderを使用すると、部品全体の溶接条件と非溶接条件の設定、引張または降伏特性による溶接のフィルタリング、認識設定の検証が可能です。

メリット: これらのツールを使用することで、設定が効率化され、モデルコンポーネントを迅速かつ正確に定義および調整できます。この体系的な準備手順により、シミュレーション要件との正確な調整が可能になり、ワークフロー全体の速度と精度が大幅に向上します。

実装方法: 構造有限要素法解析ソフトウェアのAnsys MechanicalでJoint Finderを初期化した後、SDC VerifierでBeam Member Finderを実行して、方向に基づいてビームをセグメント化し、Weld Finderを実行して、モデル内の溶接部を特定します。各ツールでは、有限要素法解析(FEA)モデルのジオメトリ、荷重、拘束、および選択内容に関するカスタマイズ可能な設定が提供されるため、選択内容を調整して認識時間を短縮し、解析用にモデルを正確かつ効率的に準備することができます。

たとえば、プレートの座屈検証中に、SDC Verifierのパネル認識ツールを使用して、構造モデル内のパネル、プレート、および補強材を自動的にセグメント化して分類しました。以下の動画で説明するように、このツールではワンクリックでこれらの要素を特定し、フィルタリング機能を使用して明確な可視化と検証を実行できました。この効率化されたアプローチにより、すべてのコンポーネントが正確に定義され、解析の準備が整います。

パネル認識ツールを使用すると、パネル、プレート、補強材をワンクリックで認識できる。フィルタを使用することで、これらの要素をさまざまな色で可視化でき、すべての要素が適切に分割され、検証の準備ができていることを確認できる。

ヒント2: 統合された荷重ツールで荷重ケースを簡素化

SDC Verifierでは、荷重管理ツールが提供されています。活用することで、Ansysのワークフローで複雑な荷重ケースを効率的に処理できるようになります。さまざまな環境荷重、構造荷重、運用荷重のいずれを扱う場合でも、これらのツールを使用することで、荷重シナリオの定義と管理における労力とエラーを減らすことができます。

FEM Loadsツール

SDC VerifierのFEM Loadsツールを使用すると、さまざまな力、圧力、さらには風荷重、浮力荷重、波荷重などの複雑な荷重をモデルコンポーネントに直接割り当てることができます。ただし、加速度とモーメントは、Ansys Mechanicalで適用する必要があります。

SDC Verifierでは、必要な位置に各荷重を正確に適用するための直感的なインターフェースが提供されます。また、事前設定された規格設定により、業界コードとの整合性が確保されます。

実用的なヒント: このツールでFEM荷重を設定することで、プロセスを高速化でき、手作業による荷重の適用で重要な領域を見落とすことがなくなります。

Predefined Load Casesツール

より高度な荷重管理を行うには、SDC VerifierのPredefined Load Casesツールを使用して、EN 13001、Eurocode、ASCE 7-10などの規格に準拠した複雑な荷重の組み合わせを自動的に作成できます。このツールでは、カテゴリに基づいて個々の荷重を割り当て、補正係数を適用し、必要に応じて逆ロジックを用いて追加の荷重セットを設定できます。

  • 荷重ケースの標準化: 事前定義された荷重規格を選択して、荷重ケースの作成を自動化します。
  • 荷重カテゴリ: 規格カテゴリに基づいて荷重(風、雪、重力など)を割り当て、グループ化と整理を迅速に行うことができます。
  • 荷重係数と荷重位置: 各荷重セットの荷重係数をカスタマイズし、位置のグループ化によって同時/非同時の適用を制御します。

: 風荷重(係数1.5)と重力荷重(係数1.35)を同じ位置でグループ化でき、雪荷重(係数1.5)は別の位置でグループ化できます。これにより、柔軟性が高く、規格に準拠した荷重シナリオを作成できます。

Load Sets機能

SDC VerifierのLoad Sets機能では、構造に同時に作用する個々の荷重を組み合わせる効率的な方法が可能です。2つの主要な荷重セットタイプが提供されます。

  1. 標準荷重セット: 単純な総和を得るために、指定した係数を持つ複数の荷重を線形に組み合わせることができます。
  2. スペクトル荷重セット: 主に動解析で使用されるスペクトル荷重セットは、合計された二乗の平方根に基づいて結果を計算するため、応力の影響を受けるカテゴリに最適です。

設定を完了後、荷重セットをMechanicalに直接エクスポートできます。各荷重セットは個別の解析ステップとなり、元の荷重値と係数が保持され、正確なシミュレーションを実行できます。あるいは、Solution Combinationエクスポートオプションを使用すると、より広範な評価を行うための累積的な組み合わせが作成されます。

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ヒント3: プリセット検証を使用して規格準拠チェックを高速化

エンジニアリングワークフローでは、特にさまざまな業界で安全性、機能性、規制遵守を確保する場合に、広く認められている規格への準拠が不可欠となります。SDC VerifierをAnsysのワークフローに統合することで、Eurocode、ASME、DNV、ABS、AISCなどの幅広いグローバル規格に準拠した包括的なプリセット検証を利用できます。SDC Verifierの規格検証ツールは、座屈から疲労、溶接強度まですべてをカバーしながら、追加規格や独自規格に合わせてカスタマイズ可能な自動化された構造チェックを提供します。

たとえば、SDC Verifierの規格チェックには、以下のものが含まれます。

  • プレート座屈では、ABSおよびDNV規格に基づくチェックが実行され、構造アセンブリ内のプレートに加えられるさまざまな荷重に対応できます。
  • ASMEおよびEUROCODE基準に基づく部材および溶接強度の検証では、予想されるストレス要因を受けた際の材料の復元力が確保されます。
  • EN 13001およびEurocode 3に準拠した疲労規格は、繰り返し荷重が適用される環境に最適です。

このソフトウェアでは、広範なパラメータ化がサポートされているため、特定のプロジェクト要件に合わせて検証プロセスを迅速に構成できます。また、自動化されたワークフローによりコンプライアンス検証プロセスが効率化され、スピードと信頼性が確保されます。エンジニアは、チェックを実行するたびにパラメータを手動で定義するのではなく、事前定義された一連の規格を実行して、レポートとしてすぐに出力できる一貫した結果を生成できます。これは、プロジェクトの納期を守り、規制当局の要件を効率的に満たす上で最適な機能です。

以下の動画デモで示すように、SDC VerifierでEurocode 3規格が追加されました。要素位置、終了条件(剛体または非剛体)、応力特性などの重要なパラメータは、数回クリックするだけで事前に定義できました。荷重グループのエンベロープを使用して計算されたプレート座屈結果では、グローバルX方向とグローバルY方向における過応力領域がハイライト表示されています。凡例のアップデートにより結果が見やすくなり、エンジニアはコンプライアンスの問題を効率的に特定できるようになりました。

ここでは、荷重グループのエンベロープを使用してプレートの座屈を計算しました。プレートのX方向とY方向における過応力領域がハイライト表示され、凡例のアップデートにより結果が確認しやすくなりました。

DNV規格の検証プロセスでも、同じレベルの効率が実証されました。事前定義されたテンプレートに基づいて、抵抗係数、材料特性、座屈パラメータが事前に読み込まれ、設定が簡素化されています。プレートの座屈および補強材のチェックの結果は、明確なプロットとして可視化され、迅速に調整してコンプライアンスを満たせるように、過応力領域が強調表示されました。

DNV規格は、正確に追加されました。抵抗係数と材料特性は事前に読み込まれ、プレートの座屈と補強材の結果はプロットとして明確に可視化されました。

これらのツールをMechanicalに統合することで、最小限の労力で迅速かつ徹底的なコンプライアンス検証を実行でき、初期設計の承認と継続的な構造健全性チェックが容易になります。

ヒント4: レポートの自動作成によりポストプロセスを削減

特に規格準拠の詳細なドキュメントを扱うようなプロジェクトで、レポートを手作業で作成しようとすると、エンジニアリング以外の作業に余分な時間を費やすことになります。SDC VerifierのReport WizardツールやReport Designerツールを使用すると、このプロセスを効率化でき、自動化されたカスタマイズ可能なレポート作成機能が提供されます。これにより、エンジニアはプラットフォーム内で適切に構造化されたプロジェクト固有のレポートを直接作成できるようになります。

カスタマイズオプションを使用したレポートの自動作成

Report Wizardでは、ガイド付きのワークフローに従うことで、規格準拠の完全なレポートを迅速に作成できます。このウィザードでは、事前設定されたテンプレートを使用して、モデルプロパティ、荷重ケースの結果、コンプライアンスチェックなどの重要な項目のデータのコンパイル、プロット作成、テーブル作成が自動化されます。これにより、必要なすべてのコンプライアンスチェックを含むレポートをわずか数ステップで作成できます。

より詳細な制御を必要とする場合は、Report Designerを使用できます。このツールは制御機能を拡張し、特定のプロジェクトやステークホルダーの要件に合わせて調整できる詳細なカスタマイズオプションを提供します。レポートの個々の項目を作成し、レポートレイアウトをカスタマイズして、外部ドキュメントから特定の章、コメント、画像、データを追加できるため、必要に応じて詳細なまたは簡潔なレポートを柔軟に作成できます。

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Report Designerの主な機能

  • 柔軟なレイアウトコントロール: プロジェクト規格に合わせてヘッダー、フッター、余白、フォントを変更し、カスタムレポートのレイアウトを設計できます。Report Designerでは、行、列、およびスパンを調整してコンテンツを視覚的かつ機能的に整理できるテーブルベースのレイアウトが提供されます。
  • 重要なプロジェクトデータの組み込み: 規制要件やクライアント固有のドキュメント要件を満たすようにカスタマイズされたモデルの説明、認識された要素、荷重の概要、基準プロットを統合できます。マルチ荷重ケースでは、結果はジョブ、荷重、または選択内容に基づいて自動的に整理され、構造化データの表示が可能になります。
  • 結果の整理の強化: 結果は、荷重または選択内容に基づいてソートできるため、最も関連性の高い順序で結果を提示できます。また、ピークゾーン、荷重の概要、およびコンポーネントの極値のテーブルとプロットは、指定されたセクションに自動的にグループ化され、レポート内で明確かつ論理的なデータフローが提供されます。
  • 直接エクスポートオプション: SDC Verifierを使用すると、ワンクリックでレポートをWordまたはPDF形式でエクスポートできるため、書式設定の調整にかかる時間を削除して、データ詳細を正確にレポートできます。
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ヒント5: 複数シナリオのバッチ処理

結果を解釈し、構造解析で重要な領域を特定するには、効率的なポストプロセスが不可欠です。SDC Verifierでは、このプロセスを効率化するための一連のツールが提供されます。エンジニアは実際に活用できる知見を抽出して、データ駆動型の意思決定を迅速に行うことができます。

Peak Finderツール

Peak Finderツールは、荷重ケースにわたってピーク応力ゾーンを特定するための優れた機能です。フィルタ基準(値の範囲や要素のパーセンテージなど)を設定することで、応力や要素力など、特定のパラメータに基づいて重要なゾーンを迅速に特定できます。結果は、プロットや詳細なサマリーテーブルとして視覚的に表示されるため、ピーク挙動をすぐに理解して解析できます。

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主な機能:

  • 荷重またはチェック結果に基づいてピークゾーンを特定
  • カスタム範囲、絶対値、または要素のパーセンテージでピークをフィルタリング
  • 要素値やゾーン全体での平均値など、カスタマイズ可能な可視化オプションを使用して、ゾーン固有のプロットを作成
  • ピークゾーンを図やテーブルにエクスポートして、個々の荷重の効率を評価

実用的な例: Peak Finderを使用して、複雑なモデル内での過応力領域をハイライト表示し、さらに注意や設計調整が必要なゾーンをすぐに確認できます。

Governing Loadsツール

荷重の組み合わせが多いモデルでは、Governing Loadsツールを使用して、構造の挙動を支配する重要な荷重を特定します。このツールは、結果を最も影響力のあるシナリオに絞り込むことで、荷重解析を簡素化します。

主な機能:

  • ピークしきい値を定義し、荷重グループに基づいて支配荷重を選択
  • ワーストケースシナリオをリスト化したサマリーテーブルや各選択内容のすべての支配荷重を含む詳細テーブルを作成
  • 支配荷重を視覚的にプロットして、重要なゾーンを簡単に識別できるようにラベル付け
  • 支配荷重を新しい荷重グループにエクスポートして、さらに解析や比較を行う
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ユースケース: 複数の荷重の組み合わせを含む大規模な構造を解析する場合、Governing Loadsツールを使用すると、最も重要な結果に集中できるため、時間と労力を節約できます。

Freebodiesツール

Freebodiesツールでは、モデルの特定の部分にかかる釣り合いの力およびモーメントを計算します。部分構造のモデリングや接触力/接続力の決定に最適です。

主な機能:

  • 任意の節点または要素を選択して、内部荷重または外部荷重を取得
  • 座標系、節点選択法、および表示モード(節点和、コーナー結果、または全体の合計など)に基づいて計算をカスタマイズ
  • 明確で整理されたテーブルと図で力とモーメントを可視化

: Freebodies機能を使用して、船舶構造の特定のコンポーネントに作用する力を解析し、さまざまな荷重条件下で重要な接続の健全性を確保します。

なぜ重要なのか

SDC Verifierのプリプロセスツールとポストプロセスツールは、荷重の適用と結果の解析の両方を処理することで、大規模モデルの作業を簡素化します。エンジニアは、これらのツールを使用して以下のことを行えます。

  • 複雑な荷重ケースを効率的に管理または適用可能
  • 設計において、影響の大きい領域の優先順位を設定
  • 荷重設定と結果解釈を自動化することで時間を節約
  • カスタマイズ可能なフィルタと基準で精度を向上

こうした手法を使用することで、解析を高速化し、エラーを減らし、プロジェクトをよりスムーズに進めることができます。SDC Verifierを是非お試しください。無料トライアルにお申し込みいただくと、Mechanicalでこれらすべての機能をお試しいただけます。


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