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How Ursa Major Is Advancing Propulsion for Aerospace and Defense

6月 16, 2025

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Caty Fairclough | Corporate Communications Manager, Ansys
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長年にわたり、人類が空を飛び、宇宙を探査し、新たな境地に到達することを可能にしてきたのが推進技術です。しかし、この基幹技術の重要さに反して、その進歩が最優先事項として扱われることはありませんでした。現在、推進技術は需要が供給を上回るボトルネックとなっています。

さらに問題を複雑にしているのは、推進技術はコストが高く複雑で打ち上げ失敗の原因となりやすいと広く認識されている点です。これにより、既存の推進システムおよび技術に大幅な変更を加えることへの躊躇につながっています。

こうした状況の中で台頭してきたのがUrsa Major社です。同社は先進的な推進システムを提供することで、防衛・航空宇宙分野の未来を支えることを目標として掲げています。同社はこの目標の達成に向けて、実績のある従来の手法を捨て去り、ハードウェアの限界に挑戦しつつ、迅速に反復作業を行い、推進分野で切実に求められている進歩とイノベーションを実現することに注力しています。この手法により、同社は商業宇宙・防衛分野などに対応する高性能な推進システムの製造を実現しています。

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Ursa Major社のエンジンテストの様子(資料提供:Ursa Major社)

Ursa Major社の最高技術責任者であるBill Murray氏は次のように述べています。「Ursa Majorのミッションとビジョンは、推進技術を開発することです。推進技術には非常に費用がかかり、多くの専門知識とノウハウも必要です。そのため、多くの推進技術の能力や専門知識を一箇所に集約することで、スケールメリットを享受できるのです。」

この戦略が、Ursa Major社を飛躍させる動力となっています。同社のエンジニアであるLouis Villa氏は次のように語っています。「Ursa Majorのユニークな点として、私たちが取り組んでいるすべての分野に専門家がいることが挙げられます。」

Ursa Major社は、独自のビジネスモデルの一環として、迅速に行動することを重視し、毎回完璧な解決策が得られなくても構わないと考えています。開発エンジニアのTravis Thyes氏は、その代わりに「80%の解決策」に到達することを目指していると語ります。「このアプローチにより、各テスト後に振り返って、得られた知見を詳しく分析し、それらの改善点を反映させることで、より良い製品を作り続けることができます」とThyes氏は述べています。

Ursa Major社の分野横断的なチームと、的を絞ったアプローチは、推進技術にイノベーションをもたらし、業界を問わずミッションの成功を支える可能性を秘めています。

Ursa Major社の推進技術について

Ursa Major社は、高性能で価格競争力のある革新的なターンキーロケットエンジンを提供することで、同社のパートナーを支援することを目指しています。この目標を達成するために、迅速な反復設計、部品の共通化、モジュラー生産、急増需要への即応、製造期間の短縮を可能にする付加製造技術(AM)を利用しています。また、高性能でありながら低コストの酸素リッチ段階燃焼サイクルを採用し、信頼性と性能に関する広範な試験を実施するとともに、再利用可能な製品の製造を優先して行っています。

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Ursa Major社のエンジン(資料提供:Ursa Major社)

また、Ursa Major社では、さまざまな用途やエンジンサイズに合わせて設計をカスタマイズしています。この柔軟性により、以下の高性能エンジン構成を実現しています。

  • Draper:固体モータに匹敵する貯蔵性を備えた柔軟な液体エンジン
  • Hadley:米国初の酸素リッチ段階燃焼エンジン
  • 固体ロケットモータ:Ursa Major社の固体ロケットモータは付加製造技術(AM)によって製造され、あらゆる分野に対応した量産体制が確立されている。

これらの推進システムの利点を活かすことで、さまざまな分野でミッションを成功させることができます。

また、この技術は防衛業界に大きな恩恵をもたらす可能性があります。Murray氏は次のように述べています。「Ursa Majorは現在、米国防総省(DoD)の最先端開発部門であると自負しています。」この提携は、同社の設計プロセスを加速させ、さまざまなミッションに対応できる防衛ソリューションを生み出すのに役立っています。

Ursa Major社は、衛星推進技術を通じて、宇宙分野の発展を後押しすることにも貢献しています。同社の推進技術は、信頼性の高い打ち上げおよび軌道上操縦ソリューションを可能にします。たとえば、Ursa Major社は、衛星制御に合わせて調整できる自由度を提供するモジュール式ヒドラジン宇宙推進システムを開発しています。

Murray氏は、発展段階にある同社は、商業や防衛を含む多様な分野にわたる実際のミッションに進出する絶好のタイミングにあると語ります。この進展には、いくつかの課題が伴いますが、Ursa Major社はそれらの克服にも積極的に取り組んでいます。

Ursa Major社が直面している推進システムの課題

推進システムは本質的に非常に高度な分野です。Murray氏は次のように語っています。「ロケットエンジンは、人類がこれまでに開発したものの中でも、最も高い出力密度を持つ機械の1つです。これは、ロケットエンジンのあらゆる部品が限界まで酷使されることを意味します。」

Ursa Major社のチームは、ミッション目標を達成するために、設計の各部品の性能を最大限に引き出さなければなりません。また同時に、重量の最小化、コスト削減、再利用性を考慮した設計といった要素も考慮する必要があります。

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Ursa Major社のエンジン(資料提供:Ursa Major社)

これらの課題は、Ursa Major社が常に迅速な行動を目指しているため、一層難しい課題となっています。Villa氏は次のように述べています。「私たちは、信頼性が高く非常に有効な製品を迅速に開発するために、多大な努力を払う必要があります。つまり、重要なのは、最高の製品をできるだけ早く市場に投入し、それを必要としている人たちの手に渡るようにするために、最適な近道を見極めることです。」

また、Ursa Major社の技術は、用途によっては別の課題が生じます。たとえば、長期の宇宙ミッションにおける軌道上操縦性は、重要でありながらも複雑な機能です。「最も困難な点の1つは、推進システムが幅広い温度条件下で、年単位あるいは数十年単位の長期にわたって確実に機能し続けるようにすることです」とMurray氏は述べています。

Ursa Major社のチームは、こうした課題に正面から取り組むため、シミュレーション技術を活用し、Ansys Elite Channel PartnerであるPADT社と協力しています。

シミュレーションを活用して前進

Thyes氏は、Ursa Major社ではシミュレーションが一種の「道しるべ」として機能していると語ります。同社のチームは設計および開発プロセス全体でAnsysのソフトウェア(構造有限要素法解析ソフトウェアのAnsys Mechanical数値流体力学ソフトウェアのAnsys CFX流体シミュレーションソフトウェアのAnsys Fluentなど)を活用することで、設計全体の効率を高めています。

たとえば、シミュレーションソフトウェアを使用すれば、高価なハードウェアを購入する必要がある実機試験段階に進む前に、反復設計を迅速に行うことができます。Villa氏は次のように述べています。「テスト前に故障を予測したい場合、シミュレーションは非常に重要です。」

シミュレーションにより、Ursa Major社は物理的なプロトタイピングに移行する前に潜在的な問題を特定し理解することができます。Murray氏は次のように語っています。「シミュレーションは、最初の試みで最終的な結果に近づくために欠かせない存在です。」

これは、特性が異なる多種多様な材料を扱いながら複雑な問題に取り組んでいるUrsa Major社にとって特に重要です。隣接する材料が原因で問題が発生する可能性があるため、「環境を再現し、それぞれの部品が隣接した状態で受ける応力をシミュレーションできることは、設計プロセスにおいて非常に有益です」とVilla氏が述べています。Ursa Major社では、Ansysのシミュレーションソリューションにより部品間の相互作用を予測し、個々の部品の性能を向上させる方法を明確にすることができます。

シミュレーションソフトウェアは、チームを効率化するなど、他の方法でもコスト削減に貢献しています。「最新のソフトウェアを使用することで、開発に必要な人数を減らし、ひとりのエンジニアが、以前よりもはるかに多くのことを成し遂げることができるようになっています」とMurray氏は語っています。Villa氏は次のように述べています。「シミュレーションツールと解析はカスタマイズしています。解析に関して共通の言語を持てるようにするためです。これにより、誰でも作業内容を見て、結果を把握し、その部品が機能するかどうかを判断できるようになりました。」  

シミュレーションソフトウェアは、特に宇宙での高度なミッションのために設計を行う際に非常に有用です。Murray氏は次のように語っています。「基本的には、これらの問題はシミュレーションで解決するしかありません。なぜなら、宇宙では常にテストできるわけではないからです。そのため、解析ツールは、打ち上げ時でも、打ち上げ後の宇宙空間でも、ハードウェアが確実に動作することをお客様にご理解いただく上で、本当に重要なのです。」

Ursa Major社は創業以来、シミュレーションソフトウェアを活用することで、ビジョンを追求してきました。同社は液体ロケットエンジンを一から開発するという目標を掲げてスタートし、わずか6名でこれを実現しました。「先進的なソフトウェア技術のおかげで実現できたことです」とMurray氏は述べています。シミュレーションは、今もなおUrsa Major社のチームにとって不可欠なツールです。Villa氏は次のように語っています。「私たちがこれほど速く、しかも少人数でエンジンを開発できるのは、計算能力と私たちが利用しているツールのおかげであり、これらがなければ、今の私たちはなかったでしょう。」

これからのUrsa Major社の展望

Villa氏は、Ursa Major社の未来像を描くにあたり、2つの方向性を見据えています。

  1. 既存のエンジン設計の継続的な改善
  2. 進化する市場ニーズに応じた現行エンジンの改良または新たな開発

後者の目標の一環として、成長する宇宙産業への適応が挙げられます。「宇宙は、多くの可能性、探査、そして拡張を象徴するものです」とMurray氏は述べています。Ursa Major社はこうした成長の可能性に対応するため、固体ロケットモータなどの新たな分野に推進技術の応用を拡大する計画です。

同社は、技術革新によりこれらの目標が達成されると見込んでいます。

Murray氏は次のように語っています。「今後10年で、国内外で成長を続ける市場に向けてエンジンを供給していくことができると考えています。」

シミュレーションが宇宙業界でどのように活用されているかをご覧ください。


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 「テスト前に故障を予測したい場合、シミュレーションは非常に重要です。」

— Louis Villa氏(エンジニア)


caty-fairclough
コーポレートコミュニケーションマネージャー

Caty Faircloughは、マーケティングおよびコミュニケーションチームのリーダーとして10年の実績があります。高度な技術を扱う組織のコンテンツチームを管理し、事業や業務を推進させる方法に関する記事も執筆してきました。現在は、Ansysのコーポレートコミュニケーションマネージャーとして、航空宇宙・防衛(A&D)業界で行われている高度なエンジニアリングシミュレーションを紹介し、広く普及させることに尽力しています。

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