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ADI社、Ansysのソフトウェアを活用して安全性を確保

3月 10, 2025

1:00 Min

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Laura Carter | Ansys、コーポレートコミュニケーションマネージャー
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Ansysのソフトウェアは、ADI社の自動車エレクトロニクスの機能安全を検証するためのロバストなアプローチに貢献しています。

重要な車両機能をソフトウェアによって制御する、ソフトウェア制御される車両(SDV)の登場により、自動車技術が急速に進化しています。Forbes誌によると、SDV市場は、自動車のスマート化、ネットワーク化、効率化を求める消費者のニーズに応え、2024年の620万台から2025年には760万台へと増加すると予想されています。

ハードウェアとソフトウェアが標準アーキテクチャに統合されたことで、OEMメーカーは車両プログラム全体の柔軟性をさらに高めることができます。ソフトウェアが重要な役割を果たし、Over The Air(OTA)(OTA)アップデートを介してシステムやSoS(システムオブシステムズ)に新機能や機能アップグレードが迅速に配信される仕組みとなっています。

このシステムをより複雑にしているのは、すべてがISO 26262に準拠しなければならないことです。ISOは、複雑な車両エレクトロニクスの機能安全(FuSa)を対象とした、安全性に関する業界標準です。自動車業界では、車両性能の信頼性を長期的に維持し、コンプライアンスを確立することが不可欠です。

このような技術的な後押しを背景に、世界的な半導体企業であるAnalog Devices社(以下、ADI社)は、実世界とデジタル世界を橋渡しする役割を担い、これらの厳格な基準に対応し、現在私たちが運転している車両の多くを支えている自動車ソリューションを高度なサイバー脅威から保護する必要があります。ADI社のアナログ/ソフトウェア/デジタルソリューションは、インテリジェントエッジでリアルタイムの知見を提供し、自動車エコシステム全体で価値を創造し、提供する方法を再定義するサポートをしています。

自動車エコシステムの重要なサプライヤーである同社は、半導体の機能安全を支援するためにAnsys medini analyzeを活用しながら、システム指向のサイバーセキュリティ分析を評価し、ロバストなデジタルエンジニアリング戦略を支えることで、これらの活動に取り組んでいます。

ADI社の機能安全担当ディレクターであるKyle Fabris氏は、次のように述べています。「車両のネットワーク化と自動化が進むにつれて、ロバストな機能安全とサイバーセキュリティ対策の必要性がますます高まっています。こうした状況によって、SoSを効果的にモデル化することが困難となり、オーバーエンジニアリングが起きている分野もあります。ADIでは、インテリジェントエッジに注力し、接続されたシステムの複雑さの管理、安全性の確保、自動運転技術の強化を実現するソリューションを開発することで、このようなオーバーエンジニアリングの傾向を回避しています。」

いかにスマートに働くか

ADI社の包括的なソリューションは、さまざまな用途に必要な基盤技術を提供し、システムの安全性確保と全体的な効率向上をサポートします。先進運転支援システム(ADAS)や、電動および自動運転車システムなどもサポート対象に含まれます。

ADI社では、シンプルな集積回路をベースとした複雑なシステムインパッケージソリューションと包括的なエンドツーエンドソリューションを提供していますが、このソリューションでは、ハードウェア、ソフトウェア、および複数のチップ設計を複雑に統合する必要があります。

Fabris氏は次のように語っています。「自動車業界の現状とこれからの半導体業界を考慮すると、システムは一層複雑化していくことが予想されます。小さな車載基盤システムだけで、すべての問題を解決できるわけではありません。自動運転車やバッテリ管理システムの分野では、製品のさらなる小型化とコスト効率の向上に向けて、ADIの包括的なソリューションが重要な役割を果たします。そして、実現のための鍵となるのが、半導体なのです。」

現在、数ナノメートルの半導体は、私たちが利用している多くの車両技術の基盤としての役割を果たしています。ADI社には、半導体チップの製造において、これらのセーフティクリティカルな部品の信頼性を確保し、国際規格を満たすとともに、潜在的なサイバー脅威からサプライチェーンを保護することが求められています。また、これらの解決策を実行する際には、プリント基板(PCB)へのセキュリティアクセスを考慮しつつ、個別の部品の不具合を検出し、自社のシステムソリューションに関するガイダンスと使用前提条件を整える必要があります。

Fabris氏は次のように述べています。「何百もの安全メカニズムをより迅速かつ効率的に使用できるように、私たちの取り組みをよりスマートかつ実践的に進め、最終的には、車両の効率性、安全性、そしてセキュリティの向上を実現しなければなりません。重要なのは、漠然と働くのではなく、仕事をすべきところで的確に仕事をすることです。効率化を目指す当社の目標を実現するためには、Ansysのソフトウェアが不可欠です。」

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ADI社が安全要件を定義する際に使用した代表的なダイアグラム

機能安全に関する合意形成を推進

サプライヤーは、自動車分野で急速に変化する顧客の期待に対応するために、イノベーションのサイクルを継続的に推進しています。イノベーションを成功させるには、適切なデータを適切なタイミングで顧客に提供することが重要であり、弱点を迅速に特定し、必要に応じて再設計し、解決することが求められます。そのため、ADI社は開発段階の早期段階で、安全性およびセキュリティチームと連携しています。

Fabris氏は次のように語っています。「私たちは、medini analyzeを使用し、チームが一連のリファレンスライブラリやカタログを活用してコンセプトを迅速に作成できる環境を構築しています。medini analyzeは、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)に関連する目標を達成するためにも不可欠なツールです。このツールを使用することで、専門家の判断をライブラリに統合し、既存のデータに基づいて新しい設計に取り組むことができます。」


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拡張構造を示すプロジェクトブラウザ。ADI社が構築した再利用ライブラリが表示されている。

ADI社の機能安全エンジニアであるRichard O’Brien氏は、約8年前にコンセプトの構築と発展を中心としたモデルベース設計アプローチの一環として、初めてmedini analyzeを使用し、迅速に解析を進めたことを回想しています。

O’Brien氏は次のように述べています。「私たちはまだデジタルエンジニアリング戦略の発展過程にあり、機能を開発して、mediniとの統合を進めています。medini analyzeの機能は非常に柔軟で、以前のプロジェクト、ライブラリ、カタログを再利用することができます。この柔軟性は、インテリジェントエッジにおけるADIのリーダーシップの鍵となるものであり、当社の開発目標に沿った形で他のサードパーティ製ソフトウェアツールを統合できるのは、そのおかげです。」

デジタルエンジニアリング戦略で威力を発揮

AnsysのソフトウェアをADI社のデジタルエンジニアリング戦略全体に組み込むことで、思いがけない貴重な発見が得られました。最大のメリットの1つとして挙げられたのは、このツールを使用することで新たに得た柔軟性とカスタマイズ機能です。

Fabris氏は次のように語っています。「アーキテクチャ開発の観点から言えば、私たちは、この統合によって、さまざまな情報を結びつけているのです。私たちは、多くのドキュメントを作成することなく、モデルベースの環境ですべての作業を行うとともに、リスクベースの解析を迅速に進めることで、価値を得ています。また、コンセプト段階を経て、アーキテクチャについてじっくり考えたという実際の証拠を追跡可能な優れたリンクとともに示すこともできます。」

medini analyzeを使用すれば、新しいチップやシステムを過去のデータに基づいて製造する際に役立つ情報のライブラリを構築することができます。具体的には、新たに構築したライブラリに専門家の判断を統合し、実際のデータに基づいて新しい設計を進めることができます。ゼロから始めるのではなく、以前の設計に基づいて事前に定義された保存済みの履歴データにアクセスすることができます。

また、ADI社は、オープンソースソフトウェアを活用することで、ドキュメント作成の効率を大幅に向上させています。現在、同社はAnsysと協力して、この機能を既存のワークフローに統合し、一連のワンタッチ式レポート作成ツールを開発しています。このツールにより、顧客向けのドキュメントや内部レポートの作成に要する時間と労力を大幅に削減することができる見込みです。

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ADI社が構築した再利用ライブラリを用いてモデルベースのアーキテクチャを構築する際に使用されたsysMLモデルにより、製品開発サイクルの早い段階で機能分析が可能になる。

もちろん、効率を向上させるための健全な枠組みを提供することは、ADI社のデジタルエンジニアリング戦略の重要な側面ですが、ADI社が頼りにしているのは、業界全体で高く評価されているmedini analyzeの信頼性です。

Fabris氏は次のように語っています。「機能安全に取り組まなかったり、設計を正しく行わなかったり、適切なデータを持っていなかったりした場合には、さまざまなことに影響が及びます。これが、私たちが業務で細心の注意と労力を払っている理由の1つです。mediniを活用することで、解析時のテスト、検証、コミュニケーション、ドキュメント化をシームレスに行い、安全で信頼性の高い製品をお客様に提供することができます。」

詳細はこちら

ここでは、機能安全分析について、説明しました。サイバーセキュリティの脅威分析とリスク評価について、また自動車分野の安全性とセキュリティを確保するためにAnsys medini analyzeが果たす役割についてご興味のある方は、こちらをぜひご覧ください。


お客様におすすめのリソースをご用意しています。

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「medini analyzeは、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)に関連する目標を達成するためにも不可欠なツールです。このツールを使用することで、専門家の判断をライブラリに統合し、既存のデータに基づいて新しい設計に取り組むことができます。」

—Kyle Fabris氏(Analog Devices社、機能安全担当ディレクター)


Laura Carter
コーポレートコミュニケーションマネージャー

Lauraは、ライター兼クリエイティブスペシャリストとして、Ansysの製品に高い関心を持つお客様に向けて多様な情報コンテンツを提供しています。OEMメーカーやTierサプライヤーのアカウントの管理やライターとしての豊富な経験を活かして、自動車業界に関する独自の視点と専門知識でコンテンツを作成しています。

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