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Ansysブログ
August 18, 2022
パンデミックの渦中、隔離による孤立を契機に、より創造的な方法で人々を惹きつけようとしていたエンターテイナーたちがいました。2020年、ラッパーのTravis ScottはEpic Games社のオンラインゲーム、「フォートナイト」のキャラクターとしてゲーム内に登場しました。彼はフォートナイトの仮想世界で15分間曲を披露し、視聴者は1,230万人に達しました。1
それ以降、メタバースは急成長を続け、交流をしたり、物を買ったり、自分が選んだ仮想の家のテーブルに座ることさえできる仮想世界がおなじみになっています。拡張現実(AR)と仮想現実(VR)は、私たちの実世界でのやり取りに基づいてメタバースを拡大する基本的な技術です。今後は、AR/VRヘッドマウントディスプレイに対応した光学システムやスマートデバイスも、併せて進化していくことが期待されています。
「携帯電話のカメラやその他のデバイスの場合、メーカーはAR/VRの画質の向上に躍起になっています。」Ansys OpticalグループのLead Application EngineerであるMichael Chengはこのように語ります。「実際、使用可能なサイズの従来型レンズは性能の限界に達しつつあります(高性能スマートフォンはカメラモジュールに7、8個のレンズを搭載しています)。多くの企業は、従来の光学システムのガラスレンズに取って代わる、よりコンパクトで高性能のメタレンズ(微小チタン構造の水晶板)など、まったく新しいソリューションを求めています。」
ここでは、スマートフォンなどのコンシューマー向けエレクトロニクス製品に組み込まれたAR/VRの光学システムを改善するためのイノベーションを実現するAnsysのソリューションに焦点を当てます。用途に応じた消費者のニーズは何か、また、シミュレーションはメーカーがこのニーズを満たすためにどう役立つかをご紹介します。
ARメーカーとVRメーカーは、それぞれの設計上の課題に直面しています。技術としては新しいものではありませんが、設計者や企業が伝統的な手法とは異なるソリューションを生み出す中で、どちらも急速に進化しています。設計するのがゴーグルでもスマートフォンでも、光学的な観点からの課題は、急速に高まる性能要求を、ますます小型化が進むパッケージ設計にどのように組み込むかです。
まずARです。これはコンピュータで生成された情報を使用して実世界の環境をリアルタイムで拡張します。ARでは、基本的に知覚情報は自然な3D環境の上に重ねられ、すでに周囲に存在するものを拡張します。製品、商品、サービスのマーケティングに多く活用されています。小売業者は、消費者にとってより魅力的なショッピング体験を提供するために、たとえば自宅の部屋の中に、家具を仮想的に配置してその様子を見ることができるようにしています。
拡張現実(AR)を活用したインテリアデザインアプリ
VRは、人工的な世界のコンピュータシミュレーションで、人工的に作られたまったく新しい環境に没入することができます。VRは、マーケティングやエンターテインメントはもちろん、予測にも使用されます。VRでは、ユーザーがヘッドセットを使用してコンピュータで生成された仮想空間に没入し、体験を通して重要な情報を学ぶことができます。たとえば、兵士が戦闘訓練を受けたり、医師が手術のトレーニングを受けたりすることができます。
仮想現実(VR)アプリはゲームにとどまらず、科学や医学も支援する。
ARの場合、技術の変革を促す主な要因は、コンシューマー向けエレクトロニクス用途に適したシステムのさらなる小型・軽量化であり、同時に装着が快適でスタイリッシュなことも求められます。ARシステムでは、モジュール設計の小型化と画像処理性能の向上が変革を促します。例えば、ARヘッドセットを装着している人が見る画像には、晴天のときでも見える明るさが必要です。様々な状況に適した軽量・コンパクト・高輝度ディスプレイを作ることは間違いなく大きな課題です。
VR向けのより軽量なシステムが注目されていますが、消費者が求めるのは多少の軽量化です(一般に消費者がこのシステムが少しかさばることを想定しているためです)。VRの課題は、十分な解像度と被写界深度(物に焦点が合っているように見える距離)を実現することです。
Chengは次のように述べています。「現在、市場に出回っているほとんどの立体視VR製品(コンパクトなサイズで、ユーザーにリアルな没入感を与えるもの)は、片目ごとに1つの画像位置しかサポートしていません。多くの企業や研究所が複数の画像位置を持つソリューションを開発して、被写界深度を改善していますが、大量生産できるほどには成熟していません。」
Ansysは、AR/VR用途に適した光学システムの設計とシミュレーションのための包括的なソリューションを提供します。Ansys Zemax OpticStudioのレイトレーシング機能を使用して、RAWイメージングを提供するモジュールである画像生成ユニット(PGU)から、レンズと導波路を経由して装着者の目に入るまで、光が複雑なシステムを通過する際の光路のシミュレーションを行うことができます。OpticStudio内で、システムの光学性能と明るさの完全な解析を実行し、解像度や奥行知覚などの画像性能に関する多くの変数を決定することができます。最近のソフトウェアの改善により、Ansys LumericalのフォトニクスシミュレーションをOpticStudioに直接統合できるようになり、AR/VRシステムを改善するための優れたワークフローを提供します。
「Lumericalを追加することで、導波路で使用される新しい回折光学素子(DOE)の完全なシミュレーションが可能になり、システム全体の性能をよりよく理解できるようになります。AR/VR用途をサポートする光波を形成するこのような要素の独自の機能は、従来の屈折レンズでは実現することができません。シミュレーションがなければ、メーカーにとってDOEは一般に高コストになります。」とChengは語ります。
AR/VR用途をサポートするコンシューマー向け機器は、絶えず小型化・高速化が進んでおり、エネルギー効率の高い設計が求められています。OpticStudioとLumericalを組み合わせれば、このようなベンチマークを達成できます。PGUから装着者の目に達するまでの光損失を低減し、より効率的な光学システムを開発できるように支援します。これにより、画像の輝度が向上するだけでなく、小型エレクトロニクスの輝度、電力、冷却に関するPGUの要件を緩和し、システムサイズを縮小し、全体的な効率を向上させることができます。
Ansys Speos光学システム設計および妥当性確認ソフトウェアを組み合わせると何が起こるでしょうか。OpticStudio、Lumerical、Speosが連携して総合的な光学ソリューションを提供します。これにより、コンシューマー向けエレクトロニクスの小型AR/VRシステムのプロトタイプを迅速に製作し、市場投入までの時間を短縮し、メーカーが技術的競争力を維持することを可能にします。
まず、Lumericalを活用し、ナノスケールで光学効果のシミュレーションを行います。得られたデータをOpticStudioに転送します。このソフトウェアは、ミリメートルからメートルのスケールで、この情報に基づいてコンポーネントやシステムを設計するためのツールを備えています。そして、Speosで光学システムをより大きなシステムモデルに統合し、人間の視覚の特性を組み込みます。これは、AR/VRのコンシューマー向けソリューションの品質と体験を評価するために重要です。
「Ansysのソフトウェアは、シームレスにリンクした独自のツールセットを提供し、AR/VRデバイス設計のあらゆる面をカバーすることができます。」とChengは述べています。「Lumericalを使用して、回折格子、偏光板、薄膜、4分の1波長板など、すべてのサブ波長構造を処理することができます。OpticStudioでは、Lumericalのデータを用いてシステム全体の許容誤差を設計、最適化、解析し、Speosを用いて人間の目の知覚、環境への影響、迷光についてシステムを検証することができます。」
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1. 'Fortnite' virtual rap concert draws record 12.3M attendees(「フォートナイト」のバーチャルラップライブを1,230万人が視聴)、Marketing Dive、2020年4月27日。