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Ansysブログ

May 9, 2023

Ansysとonsemi社のコラボレーションにより、将来的に車両認識の向上を実現

シミュレーションにより、様々な運転環境におけるセンサー機能を正確に予測し、検証

私たちが自分で運転するのをやめ、自動車に任せる世界を想像するのは難しいかもしれません。しかし、実際には、今、私たちはその姿を垣間見ているのです。現在、路上を走行している多くの車両はすでに、カメラ、レーダー、LiDARなどのセンサー技術を使用して、障害物との衝突回避、走行車線の維持、縦列駐車などを支援する先進運転支援システム(ADAS)の恩恵を受けています。

これらのシステムはすべて、自動運転車(AV)の認識スタックの中核機能であるコンピュータビジョンなどの人工知能(AI)センシングによって誘導され、AVスタックは、自動運転に必要なセンシング、コネクティビティ、処理、分析、意思決定を担うコンポーネントのレイヤーで構成されます。人間のドライバーと同様に、車両の認識スタックも、周囲を見渡し、車両のセンサーからデータを収集して処理することで、目の前の運転環境を理解し、それに対応します。

AV業界の主要なプレイヤーであるAnsysとonsemi社は、このミッションを推進するために協力し、互いの技術を補完するだけでなく、OEMメーカーや大手サプライヤーが開発と認識検証の目標を達成するために利用できるエコシステムを実現する独自のソリューションを共同で提供しています。

パワーおよびセンシング技術のリーダーであるonsemi社は、イノベーションを促進し、顧客が直面している複雑な課題、特にAV開発における車両認識の問題を解決するためのインテリジェント技術を開発することを目指しています。Ansysとのコラボレーションにより、onsemi社はシステムレベルのシミュレーションを作成して、開発決定の影響を分析することで、自社の技術を進化させることができます。onsemi社のチームは、センサーモデルとバーチャルツインを作成した後、Ansys AVxcelerateシミュレーションを使用して様々な運転シナリオを統合し、これによってセンサーモデルをより広範なシステムレベルのシミュレーションに拡張しました。

 onsemi社のインテリジェントセンシンググループのイメージングシステムディレクターであるShaheen Amanullah氏は、次のように述べています。「onsemiのセンサーモデルの価値は、私たちが様々な状況におけるセンサーの機能を予測し、その信頼性を証明できたときに高まります。これを達成する上で重要な役割を果たしているのが、私たちが必要とする精度を実現する物理ベースのアプローチで仮想環境を生成できるAnsysのシミュレーションツールです。私たちは、シミュレーションを利用することで、お客様の変化する要求に応える次世代センサーの展示、評価、開発に取り組める基盤を確立しています。また、このプラットフォームは、ヒューマンビジョンとマシンビジョンの双方に及ぼす影響を評価するのにも役立ちます。」

Autonomous vehicle and people

シミュレーションにより、センサーの性能と現実世界との相関性を明確化

このシナリオで提示される価値提案は、実際のセンサーの性能に非常に近いモデルを使用して、現実世界との相関性を明らかにできるようにすることです。OEMメーカーや大手サプライヤーはこの結果を利用することにより、自信を持って自社のシステム設計を評価することができます。AVxcelerate Sensorsは、onsemi社のセンサーモデルを用いた動的なシナリオで物理ベースのマルチスペクトル光伝搬をシミュレーションします。これにより、物理的なプロトタイプを必要とせずに、センサーの性能を迅速かつ正確にテストし、検証することができます。

onsemi社では、AVxcelerate Sensorsを使用し、製品の定義・設計段階で様々なシナリオを想定した包括的な検証を行っています。メーカーは、AVxcelerate Sensorsで検証されたonsemi社のモデルを取り入れて、認識アルゴリズムのテストを行うことで、改善が必要な箇所を即座に特定できるため、変更を繰り返してセンサーをさらに最適化し、センサーの開発プロセスを改善することができます。また、この手法により、認識アルゴリズムの性能限界を発見し、このアルゴリズムのトレーニングを他社よりも有利に進めることもできます。

イメージャの共同デモで車載カメラのテストを支援

5月9日から11日まで開催されるAutoSens Detroit 2023のonsemi社ブースで、イメージャの共同デモが展示されます。このデモに際しては、onsemi社とAnsysがAVxcelerate Sensorsを使用し、ADAS/AVコンテキストでの車載カメラの性能を検証するための基本的ながらも重要なテストシナリオを作成しました。その後、センサー設計がADAS/AVシステムにどのような影響を与えるかをより深く理解するために、AVxcelerate Sensorsから得られた情報に基づいて、onsemi社のイメージャモデルを上記の基本的なシナリオでシミュレーションしてから、物理的なセンサーで記録された映像とすべてのシミュレーション結果を照らし合わせました。 

Hyperlux vs. legacy

Hyperlux(右)センサーで点滅する光を保持する機能。前世代(左)のセンサーと同様にアーチファクトが見られない。

onsemi社のチームは、信頼性の高いソリューションを顧客に提供するために、センサーの画質と動作に関する実際のデータとシミュレーション結果との間で高い相関性を得ることを目指しています。このシミュレーションデータの精度を定量化するために、重要業績評価指標(KPI)が導入されていますが、このシナリオでは、シーン生成が実験の重要な要素であり、実際のセンサーデータとの高い相関性を得る上で重要な役割を果たしています。

Ansysとonsemi社は、ベンチマークとなる条件をできる限り正確に再現するために共同で取り組み、ツールを改善したことで、重要な要件に適切に対応できるようになりました。また、OEMメーカーや大手企業は、仮想シミュレーションを活用することで、より早い段階でセンサーメーカーと協力しながら、シミュレーションにより裏打ちされたデータに基づいて次世代センサーをより容易に定義し、自社の要件を適切に満たすことができます。さらに、シミュレーション結果に自社の認識スタックを適用し、現行の手法に比べてプロセスのかなり早い段階でネットワークをトレーニングすることもできます。

Amanullah氏は次のように語っています。「現在、こうしたトレーニングはセンサーがサンプリングされた後に行われており、市場投入までの時間が限られているため、十分な成果をあげることが難しくなっています。OEMメーカーや大手企業は先手を打つことで、アルゴリズムの最適化やネットワークのトレーニングにより多くの時間を割くことができ、これによって、サンプリングプロセスに続く検証段階を短縮し、スムーズに進めることができます。当社が目指しているのは、AVxcelerate Sensorsを用いて現在のシミュレーション方法を強化し、将来的には様々な追加機能を統合することで、多様なシーンで物理的なセンサーをより正確に表現し、それをお客様に提供できるようにすることです。」