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インダストリー4.0として知られる第4次産業革命では、農業や鉱業から、重機、ビル自動化システムに至るまで、ほぼすべての市場で産業プロセスと製造がデジタル化に移行しました。現在も、このデジタルトランスフォーメーションは減速していません。McKinsey & Company社による産業用ロボティクスに関するグローバル調査では、2022年から2027年までに、企業が設備投資の25%をオートメーションに投資するだろうとの予測が示されています。また、この調査では、パレチゼーションやパッケージング、マテリアルハンドリング、荷降ろしなど、一般的なタスクでオートメーションがすでに実装または試験的に実装されていることも明らかになっています。
産業オートメーションの普及が進む中、もう1つの革命が台頭しています。インダストリー4.0では技術とオートメーションに焦点を当てていましたが、インダストリー5.0では、人間と技術の相互作用や協調を重視しています。しかし、微妙な違いがあるものの、シミュレーションやデジタルツインのほか、コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)ツールを含むデジタルソリューションは、依然として重要な貢献をしています。
では、インダストリー5.0を探り、シミュレーションとデジタルエンジニアリングがそれをどのようにサポートするかを見ていきましょう。
欧州委員会では、インダストリー5.0をインダストリー4.0よりも広範なものと位置づけており、持続可能性、人間中心主義、レジリエンスの3つの柱を強調しています。同委員会は、インダストリー5.0における産業化へのより慎重なアプローチを提唱しており、効率性や生産性にとどまらず、産業の社会への貢献にも目を向けています。
シミュレーションを活用したデジタルエンジニアリングは、以下のようないくつかの方法でこれらの柱をサポートします。
デジタルスレッドは、企業が製品ライフサイクル全体を通じてトレーサビリティを高め、知見を得るのに役立ちます。チームメンバーは、構想から、設計および開発、運用および保守(O&M)に至るまで、製品とそのデジタル資産を追跡することができます。たとえば、設計者であれば、部署が異なるエンジニアやエキスパートとモデルを共有できます。これにより、CNCやフライス盤、コンベアやロボットアーム、フォークリフトや移動装置などの重要な産業機器の効率性、信頼性、運用性が向上します。
これまで、エンジニアは、設計段階で知見を得るため、開発のガイドラインとするため、あるいは後期段階の解析後の検証ツールとしてシミュレーションを活用してきました。しかし、現在では、高度な組込みセンサー、AI/MLの統合、および次数低減モデリングなどの技術の出現により、デジタルスレッドとデジタルツインを作成し、O&Mを含む製品ライフサイクル全体でシミュレーションを最大限に活用することができます。
エンジニアや設計者は、構造有限要素法解析ソフトウェアであるAnsys MechanicalなどのAnsysのマルチフィジックスシミュレーションツールを使用して設計を改善することで、物理的なプロトタイピングを削減し、持続可能性をサポートできる。
5.0の柱:持続可能性/デジタルエンジニアリングのメリット:仮想プロトタイプ
シミュレーションとデジタルソリューションが持続可能性をサポートする方法は数多くありますが、最も明確で基本的な方法の1つが仮想プロトタイピングです。仮想プロトタイピングにより、エンジニアはプロセスの早い段階で設計モデルを解析し、改善することができます。これにより、精度が向上し、多くの場合、必要な物理的なプロトタイプの数を削減しながら、再設計の必要性を減らせるだけでなく、排除することも可能になります。近い将来においても、ある程度の物理的なプロトタイピングが工業デザインプロセスの一部となる可能性がありますが、仮想プロトタイピングは、従来の方法に比べて材料使用量、コスト、時間を大幅に削減し、より持続可能なプロセスと廃棄物の削減を実現します。
Ansys, part of Synopsysは、構造および流体からエレクトロニクスに至るまでのエンジニアリング分野を網羅するマルチフィジックスシミュレーションツールの包括的なオープンエコシステムを通じて、仮想プロトタイピングをサポートしています。さらに、Ansys Connectでは、組織全体にわたるシミュレーション、データ、リソースを単一のデジタルスレッドでつなぐことで、デジタルエンジニアリングをより簡単に実現し、運用効率とコラボレーションを向上させることができます。このソリューションは、シミュレーションプロセスおよびデータ管理(SPDM)、材料管理、プロセス統合および設計最適化(PIDO)、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)に対応しています。Ansysでは、デジタルツイン、人工知能/機械学習(AI/ML)、付加製造技術、クラウドコンピューティングなどのニッチな技術や分野をサポートするソリューションも提供しています。
Ansysのマルチフィジックスシミュレーションは、重要な制御に関連する設計を簡素化して、検証、適格/認定コード生成、ドキュメント生成を自動化するAnsys SCADEプラットフォームなどのツールを通じて、ソフトウェア定義アーキテクチャをサポートする。
5.0の柱:人間中心主義/デジタルエンジニアリングのメリット:IoTおよびサイバーフィジカルシステム
人間と技術のつながりは、あらゆる分野のデジタルエンジニアリングおよびシミュレーションワークフローに本質的に組み込まれた関係性ですが、ソフトウェア定義アーキテクチャを扱う場面では、その結びつきが特に明確に現れます。
Ansysのマルチフィジックスシミュレーションは、サイバーフィジカルシステム、モノのインターネット(IoT)、デジタルツインを接続できる組込みソフトウェア、センサー、およびその他のネットワーク技術を含むソフトウェア定義アーキテクチャをサポートします。こうしたツールには、組込みソフトウェア製品群であるAnsys SCADEやシミュレーションベースのデジタルツインプラットフォームであるAnsys Twin Builderなどがあります。
Ansysのシミュレーションをシステムの設計および開発に統合することにより、高度な技術を使用して、精度の向上、リスクの低減、より緊密な連携を図ることができます。たとえば、センサーとサイバーフィジカルシステム(ロボットやコンベアのほか、コーティング、カレンダー成形、混合などの特定の材料プロセスなど)は、シミュレーションとデジタルツイン技術を利用して、運用を改善し、オペレーターとのリアルタイムのやり取りを実現することができます。
インダストリー5.0の人間中心主義の推進により、HiL(human-in-the-loop)パラダイムを特徴とするサイバーフィジカルヒューマンシステム(CPHS)とも呼ばれるヒューマンサイバーフィジカルシステム(HCPS)を一部の研究者が調査しています。
Ansys Minervaを導入すれば、すべてのチームメンバーが、構成可能なロールベースのダッシュボードを使用して、作業状況、主要な指標、割り当てなどにアクセスできるようになり、生産遅延を防ぐことができる。
5.0の柱:レジリエンス/デジタルエンジニアリングのメリット:予知保全および計画
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による操業停止時にサプライチェーンの問題に直面したメーカーは、よりレジリエントなシステムを確立する方法を模索してきました。多くのメーカーによるこうした取り組みの中で重要な役割を果たすようになったのがデジタル化です。業界幹部の中には、サプライチェーン管理には予知計画が不可欠であると考えている人もおり、パンデミック前にデジタル化を導入した企業の方が、デジタル化を導入していない企業よりもうまく対処していると主張しています。
Ansysのシミュレーションは、デジタルツイン技術とAI/MLの統合を組み合わせた、AIを活用したデジタルツインソフトウェアであるAnsys TwinAIなどのツールを通じて、予測的な知見を提供します。Ansysのハイブリッドデジタルツインは、データと物理モデルを組み合わせることで、リアルタイムの監視、予知保全、性能の最適化をサポートします。
さらに、Ansys Minerva SPDMなどのデータ管理ソリューションでは、管理者とチームメンバーが、構成可能なロールベースのダッシュボードを使用して、進行中の作業の状況や主要な指標などを確認することができます。これにより、オフィスにいるかプラントから離れているか、またシミュレーションの経験があるかどうかに関係なく、生産遅延を防ぐことができます。デジタルエンジニアリングを実現するConnect製品群の1つでもあるMinervaでは、デジタルスレッドをより簡単に作成することができます。
ワークフローの自動化は、予知計画を可能にし、シミュレーションの普及を促進します。 産業オートメーションと混同してはなりません。産業オートメーションでは、デジタルソリューションを活用して、物理的なワークフローを自動化し、パレチゼーションやマテリアルハンドリングなど、これまで人間が行っていたタスクやプロセスを完了させます。一方、ワークフローの自動化では、デジタルソリューションを使用して、デジタルワークフローを自動化します。
たとえば、Ansys optiSLang PIDOでは、ワークフローを取り込んで、Minervaプラットフォームまたは専用のサービス自動化フレームワーク(SAF)に公開し、自動生成ツールを構築することができます。つまり、シミュレーション専門家がoptiSLangワークフローを構築し、再現可能なプロセスを取り込んで公開できるため、シミュレーションの専門家でない人も含め、他のチームメンバーが最適化やシミュレーションの専門知識なしで、そのワークフローを使用してシミュレーションを実行することができます。
インダストリー5.0の包括的なアプローチにより、先進技術と自動化を活用した効率的かつ協業的な取り組みの機会が得られます。同時に、デジタル相互接続性と運用効率(材料の最適化を含む)が業界共通の課題を克服すると同時に、持続可能性、人間中心主義、レジリエンスというインダストリー5.0の柱を支えます。
インダストリー5.0の詳細と、シミュレーションとデジタルエンジニアリングがインダストリー5.0をどのようにサポートするかについては、電子ブック『製造および加工における相互接続性』をご覧ください。
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