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サイバーフィジカルシステムは、実世界とデジタル世界を橋渡しするものです。物理システムと計算要素には深いつながりがあり、相互に作用しています。
サイバーフィジカルシステムは、自動運転車(AV)からスマートグリッドテクノロジーまで、さまざまな業界や技術的応用分野で利用され、リアルタイムデータ分析と複雑なアルゴリズムを使用して物理的アセットを制御しています。つまり、サイバーフィジカルシステムを活用することで、一定レベルのインテリジェンスを物理システムに統合し、自律的な決定を行い、変化する環境に適応し、リアルタイムでパフォーマンスを最適化することが可能になります。
サイバーフィジカルシステムは、高度なテクノロジーシステムの重要な運用を制御するために使用されています。具体例をご紹介しましょう。
自動運転車では、多くの物理的要素とデジタル要素が緊密に連携しています。完全自動運転(レベル5)車両の実現はまだ先のことであり、現在の自動運転車は、乗客の安全を確保するために人による一定の操作を必要とします。
イメージングカメラやレーダーから、光検出および測距(LiDAR)センサーまで、自動運転車には多くのセンサーが搭載されており、車両システムが環境を認識し、走行上の重要な決定を行うために使用されています。この環境認識には、歩行者や他の車両、道路上に想定外に出現する障害物の認識や、車両の挙動に影響を与える天候の変化の把握などが含まれます。
しかし、自動運転車は物理的な要素だけでは適切に機能しません。ソフトウェア要素も同様に重要です。センサーには非常に多くの種類があるため、ソフトウェアはセンサーフュージョン機能を実行して、データを単一のフォーマットに均質化し、読み取り、解析、操作可能にする必要があります。センサーデータ間に不一致がある場合は、古典的なアルゴリズムや人工知能(AI)、機械学習(ML)を組み合わせた高度なアルゴリズムを使用する必要があります。それぞれのセンサーが異なるものを感知した場合に、どのセンサーが正しいデータを提供し、どのセンサーが不正確なデータを提供したか、これらのアルゴリズムが判断します。
さらに、センサーフュージョンアルゴリズムおよびその他の制御アルゴリズムを処理できるグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を含むもう1つのハードウェアレイヤーが必要です。障害物に対してブレーキやハンドルを操作する必要がある場合に、これを使用して車両を物理的に制御します。NVIDIA社が開発した自動車専用GPUであるJetson Xavierは、歩行者や他の車両の検出、センサーデータによる環境把握を効率的に実行できます。
スマートグリッドは、エネルギー業界におけるサイバーフィジカルシステムと自動化の主要な例です。グリッド周辺のさまざまな物理的アセット、特にセンサーを使用して、グリッドのさまざまな面を監視します。これらのアセットには、スマートインバータ、ソーラーパネル、風力タービン、スマートメーター、レガシーインフラ、配電および送電線、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)などがあります。スマートグリッドの一部は自律的ですが、オペレーターは(予知保全により)問題が発生する前または発生したときに警告を受けるため、迅速に対処できます。
スマートグリッドには、このような物理的なアセットに加えて、電力会社、顧客、および配電システムオペレーター(DSO)をつなぐソフトウェアアーキテクチャの階層があります。このソフトウェアアーキテクチャは、従来のアルゴリズムと機械学習を組み合わせて、グリッド内のさまざまなアセットを解析、監視、最適化します。今日の多くのグリッドには、デジタル向けに構築されたものではないレガシーインフラが含まれていますが、モノのインターネット(IoT)センサーを改良して、新しいデジタル対応アーキテクチャと互換性を持たせることもできます。スマートグリッドにより、既存のアセットを監視するだけでなく、さまざまな再生可能エネルギー発電機など、新たな分散型エネルギー資源(DER)の統合を監視し、グリッドに統合された後に適切に機能していることを確認できます。
センサーは、エネルギー使用に関するデータをリアルタイムで収集します。これにより、オペレーターはグリッドに関するエネルギー分配をより適切に最適化できます。これは、以下のようなさまざまな環境要因に対応して行われます。
物理アーキテクチャとデジタルアーキテクチャの緊密なネットワークがなければ、スマートグリッドは実現不可能であり、エネルギー業界は、多くの手動による作業を必要とするグリッドを運用し続けなければならないでしょう。
サイバーフィジカルシステムはIoTと密接に関連しており、ときには同じように利用することができますが、一般には、この2つのタイプのテクノロジーには小さな違いがあるとみなされています。しかし近年、IoTとサイバーフィジカルシステムとの境界は曖昧になっており、この2つのテクノロジーは互いに融合しつつあります。
依然として一定の曖昧さはありますが、物理プロセスとデジタルアセットの統合度合いが最大の違いを生む要因であるという点では、共通認識が得られています。以下の表に、IoTシステムとサイバーフィジカルシステムの違いの具体例を示します。
IoT | サイバーフィジカルシステム |
物理的アセットとの統合と制御のレベルが緩い | 実世界と数値要素の緊密な統合と接続性 |
データ交換が中心 | 物理的アセットのリアルタイム制御が中心 |
データ収集、通信、およびデータ送信を中心とする環境に対する制御が限定的 | 環境を高度に制御し、クローズドループアクションを実行 |
ほぼリアルタイムのシステム。データ収集と決定に一定の遅れがある | デジタルコンポーネントと物理コンポーネント間のリアルタイムインタラクション |
それほど複雑ではないが、CPSネットワークの一部として使用されることが多い。特に産業用IoT(IIoT) | IoTネットワークよりも複雑なシステム |
交換コストが低い | 交換コストが高い |
例: ウェアラブルフィットネスデバイス、環境モニタリングシステム、スマートホームデバイス | 例: スマートグリッド、自動運転車、スマートファクトリー、その他のスマートインフラ |
サイバーフィジカルシステムのアーキテクチャは、物理的ハードウェアとソフトウェアコンポーネントが混在し、インテリジェントで応答性の高いマシン挙動を実現しています。以下に、サイバーフィジカルシステムの主なコンポーネントを示します。
このようなシステムはハイブリッドな特性を持っているため、さまざまなインテリジェントかつリアルタイムの操作が実行できます。サイバーフィジカルシステムの主な操作機能と利点には、以下のようなものがあります。
デジタルツインは、実世界とデジタル世界が相互にどのように影響するかを示す最良の例です。デジタルツインの仮想環境は、リアルタイムで実世界のデータやアセットから影響を受けます。また、デジタルツインにおいて、さまざまな環境やシナリオにおける物理的アセットの振る舞いをシミュレーションすることで、最適化し、より深く理解することができます。この仮想プロトタイピング機能により、多くのサイバーフィジカルシステムのシミュレーションをデジタルツインを使用して実行することが可能です。
まず、データをデジタルツインに入力し、環境を構築します。構築されるデジタルツイン環境には、小型システムや、自動運転車や製造施設のような大規模システムまでさまざまなものがあります。構築後は、環境のさまざまな面についてシミュレーションを実行し、アセットが実世界でどのように機能するかを確認できます。
デジタルツインは、実際の物理的なアセットと共存することもできます。物理的なアセットからリアルタイムでデータをモデルに入力することで、エンジニアは物理的なアセットに関するさまざまなシナリオを実行できます。これには、さまざまな走行環境で車両がどのように振る舞うかの調査、EV充電ステーションへの配電、スマートシティ環境のシミュレーション、スマートビルでの予知保全操作の実行、スマート製造環境での製造プロトコルの変更などが含まれます。
デジタルツインには、ソフトウェアレイヤーと物理レイヤーの両方を含むさまざまなアーキテクチャレイヤーがあります。これには以下が含まれます。
シミュレーションを実行してデータをユーザーに提示するために、さまざまなレベルの物理ハードウェアでもソフトウェアレイヤーがサポートされています。
さらに、デジタルツインには、センサーをデータ管理プラットフォームに接続するためのデータネットワークと通信アーキテクチャが含まれています。
物理システムがますますデジタル世界へと取り込まれる中、悪意のあるサイバー攻撃からデータを保護することがこれまで以上に重要になっています。サイバーフィジカルシステムを構築する際の課題の1つは、コンポーネントの標準化が不十分なことであり、その結果、多くのシステムでサイバーセキュリティが脆弱になっています。これは重要な問題です。このようなシステムは大量のデータ(一部の用途では個人データを含む)を収集して保存するため、ハッカーがこのデータに不正アクセスした場合、深刻なデータ侵害につながる恐れがあります。ここでサイバーフィジカルシステムが直面する課題は、固定システムかモバイルシステムかによっても異なります。組織は、セキュリティ上の課題をすべてのレベルで確実に処理するために、DevSecOpsプラクティスを実装する必要があるでしょう。
スマートグリッドなどの固定インフラを持つシステムでは、デジタルネットワーク全体に多くの危険なエントリポイントが新たに発生しています。原因は、設置されているセンサーやIoTデバイスの数そのものです。多くの場合、古いテクノロジーと新しいテクノロジーを融合しようとしています。しかし、その多くは標準化されておらず、サイバーセキュリティプロトコルは必ずしもロバストではないため、脆弱性につながっています。
スマートグリッドの場合、公益事業者、消費者、配電事業者(DSO)など、ネットワーク内の多くの関係者が分散化され相互接続されているため、1つの小さなセキュアでないノードでネットワークがハッキングされると、ネットワーク全体にアクセスできるようになる恐れがあります。ネットワークには課金情報やスマートメーター情報などの重要な顧客データが含まれている場合があります。スマートグリッドではクラウドコンピューティングとオープンプロトコル標準が使用されています。
また、スマートグリッドネットワークには、送電と配電、発電制御、EV、電力市場のデータなど、グリッド運用側の多くの情報も含まれています。つまり、攻撃があれば送電網がダウンする可能性があります。送電網の停止はウェブサイトの停止よりもはるかに壊滅的な影響を及ぼすため、ロバストなITプロトコルが整備されていないスマートグリッドには重大な危険性があります。特に、病院や他の緊急サービスにおける停電は、地域社会に致命的な影響をもたらす恐れがあります。
自動運転車などのモバイルサイバーフィジカルシステムの場合、状況は少し異なります。自動運転車は、よりロバストなITプロトコルを設計に直接組み込んだ新しいテクノロジーです。さらに、自動運転車はクローズドシステムとして動作するように設計されているため、サイバー攻撃の各エントリポイントが分離され、監視されるため、高い体制を備えています。
しかし、将来的に、車両間の通信が導入されると、自動運転車は課題に直面するでしょう。容易に車両ネットワークに侵入して問題を引き起こすこと可能になるため、さらなる開発に伴い、ロバストなプロトコルを導入する必要があります。ここでも、課題の1つは標準化です。プロトコルは開発されていますが、安全性が低いか、OEMメーカーに採用されていないかのいずれかです。そのため、早急に標準プロトコルを導入して、潜在的なサイバー脅威に合わせてソフトウェアに継続的にパッチを当てて更新できるようにする必要があります。
シミュレーションは、さまざまなサイバーフィジカルシステム、使用されるコンポーネント、および使用される環境の開発に有効です。Ansys, part of Synopsysは、デジタルエンジニアリングを通じて、さまざまなサイバーフィジカルシステムをシミュレーションし、レガシー機器を現代に取り込むために役立つ多数のツールを提供しています。たとえば、以下のようなツールがあります。
Ansys Fluent - 流体シミュレーションソフトウェアおよびAnsys Mechanical - 構造の有限要素法解析ソフトウェア: サイバーフィジカルシステムのアセットレイヤーを使用し、アセットそのものの設計に大きな役割を果たします。
Ansys Speos - CADに統合された光学および照明シミュレーションソフトウェアおよびAnsys Zemax OpticStudio - 光学システム設計および解析ソフトウェア: 自動運転車のカメラやCCD(電荷結合素子)センサーに使用される光学部品(レンズなど)を設計します。レンズの開発にはOpticStudioを使用し、Speosはセンサー全体の挙動の調査に使用します。高度な3D電磁界FDTDシミュレーションソフトウェアであるAnsys Lumerical FDTDを使用して、小規模な光学効果を調査することもできます。
Ansys AVxcelerate: 自動運転車のセンサー環境をシミュレーションします。ロボティクス一般に使用できます。主に車両テストに使用し、カメラ、LiDAR、レーダー、慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)に対応します。AVxcelerateソフトウェアでSpeosのデータを使用して、自動運転車のさまざまなセンサーがどのように相互作用し、連携するかを確認することもできます。
Ansys Twin Builder - シミュレーションベースのデジタルツインプラットフォームおよびAnsys TwinAI - AIを活用したデジタルツインソフトウェア: デジタルツインを作成し、仮想環境内で物理的アセットをリアルタイムで管理および監視できます。また、新しい物理的アセットの設計にも使用できます。
Ansys Medini Cybersecurity SE - システム指向のサイバーセキュリティ分析ソフトウェア: サイバーレジリエンスを備えた製品の開発、認証、保守に使用するモデルベースの統合セキュリティおよびサイバーセキュリティソリューションです。
高度なシミュレーションによりサイバーフィジカルシステムを開発および監視する方法については、当社のテクニカルチームにお問い合わせください。
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