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AI/ML検出アルゴリズムの有効性を実証するためのトレーニングおよび検証データセットを無料で提供する「ネス湖プロジェクト」を発表

12月 20, 2024

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J.P. Ploschnitznig | Ansys、Senior Principal Application Engineer
Washington Wedderburn | Ansys、Principal Product Manager
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データ駆動型インサイトをめぐる状況が絶えず変化する中、人工知能(AI)と機械学習(ML)は、急増する商業用合成開口レーダー(SAR)データの活用を担うデータアナリストの限られたリソースを補うために欠かせない重要な要素として浮上してきました(SARは、レーダー信号を使用して地球表面の高解像度で詳細な画像を作成する高度なリモートセンシング技術であり、雲、暗闇、悪天候を問わず送信できる電波を用いて、詳細な地上画像を作成する機能を備えている)。複雑なSAR画像で物体を識別するアルゴリズムを使用するデータアナリストが成功するためには、ロバストなトレーニングおよび検証データが必要となります。包括的なデータレイクへのアクセスは、その成功への手助けとなります。

ネス湖プロジェクトは、Ansysが主導するイニシアチブであり、特定の地上ベースのAI/MLターゲット決定シナリオに対応する包括的なトレーニングおよび検証データセットという画期的なリソースをAI/MLコミュニティに無料で提供することを目的としています。このデータレイクにデータを入れるためには、忠実度の高いワイヤレスチャネルモデリングソフトウェアであるAnsys RF Channel Modelerを使用します。目標は、トレーニングおよび検証用の純粋な合成データをAI/MLコミュニティに提供することです。

SAR画像解析の課題

SARデータが豊富に存在することには、AI/ML開発にとって恩恵があるように思えるかもしれませんが、現実は想像よりはるかに複雑です。ユーザーが活用したいと思うデータであっても、その多くは必要なグラウンドトゥルース情報を欠いているため、通常は、トレーニングデータの主要な情報源として用いることはできません。加えて、こうしたデータには、収集システムのアーティファクトが含まれており、トレーニングモデルにバイアスをもたらす可能性があります。

市場には、多くの民間企業が参入し、衛星や航空機などの上空収集システムを用いて広帯域のレーダー画像を生成しています。Capella社、ICEYE社、UMBRA社、MDA社などの企業は、環境モニタリング市場を発展させる目覚ましい能力を示しています。これらの企業が情報需要の増加に応えるために高解像度データを生成し続ける中で課題となっているのが、そのデータを解析する能力です。

増大し続けるデータ量と専門人材の不足により、現在だけでなく将来も情報需要を満たせないという危機に瀕しています。これまでは、訓練を受けたレーダーアナリストが手作業でレーダー画像を詳細に調べ、情報を探し出していました。現在、各企業はアナリストを支援するためにAIの活用を進めていますが、これにはAIに関連する新たな課題が伴います。

ネス湖プロジェクトでは、地上ターゲット検出のための最先端のAI/MLアルゴリズムの開発を加速させることを目的とした、包括的なトレーニングおよび検証データセットを提供している。

ネス湖プロジェクトのトレーニングおよび検証データセットについて

私たちは、ギャップを埋め、AI/MLの利用者がSAR画像解析の可能性をさらに広げるために必要なツールを早急に提供することが必要であることを認識しています。そのため、地上ターゲット検出のための最先端のAI/MLアルゴリズムの開発を加速させることを目的とした、包括的なトレーニングおよび検証データセットを提供する「ネス湖プロジェクト」の発表を嬉しく思っています。

ネス湖プロジェクトの中核には、幅広い合成SAR画像と関連情報を含む、厳選され、文書化されたデータセットがあります。これは、特定のターゲット決定シナリオをカバーしており、アナリスト、研究者、開発者がAI/MLモデルの構築と検証を行う上で必要なロバストで一貫性があり、偏りのない基盤を提供します。

合成データの持つ力

ネス湖プロジェクトの主な利点の1つは、RF Channel Modelerによって構造化され、生成された合成データを活用していることです。私たちは、実世界の条件を模倣した多様なSAR画像を生成しており、今後、各シーンにはすべてアノテーションを付ける予定です。これにより、収集ジオメトリ情報に加えて、ターゲットの種類、位置、向き、直線速度、角速度といったグラウンドトゥルースが得られるようになります。

データセットは以下のもので構成されます。

  1. アルゴリズムトレーニング用の5つの固有ターゲット
  2. アルゴリズム検証用の3つの完全なシーン(ターゲットが埋め込まれたもの)
  3. アルゴリズムトレーニングおよび検証用の画像データと生の同相/直交位相(I/Q)データ
  4. ターゲットの仰角:30度、35度、40度、45度、50度、55度、60度
  5. シーンの仰角:35度、45度、55度
  6. ターゲットの方位角:5度刻み(0~355度)
  7. シーンの方位角:30度刻み(0~330度)
  8. レーダーパラメータ:中心周波数10GHz、帯域幅500Mhz(30cm分解能)
  9. ターゲットとシーンの最大明瞭距離およびクロスレンジ:1,200m
  10. 総データサイズ:1TB未満

注:すべての画像および生I/QデータはHDF5形式で保存されます。

ネス湖プロジェクトについての詳細はこちらをご覧いただき、ぜひこのエキサイティングな取り組みにご参加ください。合成データの持つ真の力を明らかにするとともに、このプロジェクトが、SAR画像解析の進化するニーズに対応する次世代のAI/MLソリューションをどのように推進できるかを実証します。


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Principal Product Manager

Washington Wedderburnは、2013年にAGI社に入社し、2020年のAnsysによるAGI社買収を経て、現在はAnsysに所属しています。プリンストン大学を卒業しています。  

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