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ケーススタディ

自動車メーカーが半導体の摩耗寿命予測のリスク要因を軽減


はじめに

ある大手自動車メーカーは、ボンネット下のトランスミッションコントローラーに内蔵のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)を構成する半導体部品の信頼性に懸念を抱いていました。この装置は、走行中に発生する高温や高湿度、駐車時の太陽熱加熱といった過酷な条件にさらされます。同社から、潜在的な高リスク部品に対する摩耗寿命予測解析の要請を受けました。

 

アプローチ

Ansys信頼性エンジニアリングサービス(RES)では、まず、異なる技術ノードの複数の部品など、PCBAを構成する個々の半導体部品に対して、Ansys Sherlockシミュレーションによる信頼性解析を実行しました。これらのシミュレーションでは、破壊メカニズムを加速することにより、部品の寿命を予測しました。高リスク部品の特定は、それぞれのプロセスノードに基づいて行いました。これらのシミュレーションでは、インターコネクトのエレクトロマイグレーション(EM: ElectroMigration)、誘電材料の時間依存の絶縁破壊(TDDB: Time Dependent Dielectric Breakdown)、バイアス温度不安定性(BTI: Bias Temperature Instability)やホットキャリア注入(HCI: Hot Carrier Injection)などのトランジスタ劣化現象による集積回路の摩耗と経年劣化を考慮しました。各部品に対する部品レベルの信頼性解析では、集積回路の動作条件と、メーカーにより提示された試験条件を考慮しました。結果(下図)には、前述の一連のメカニズムを総合した各部品の故障確率と寿命予測が示されています。この解析により、早期に摩耗故障が起こる可能性の高いPCBAの部品を特定することができました。

 

推奨事項

  • 各部品がシステムで要求される寿命を満たしているかどうかを判断
  •  早期故障の原因となる各部品の寄与因子を特定
  •  寿命短縮を緩和する可能性のある動作条件/パラメータの変更を提案

 

結果

解析結果に基づき、お客様は、寿命劣化が早期に起こる部品を予測し、動作時の電圧、温度、およびデューティサイクルなどの因子を調整することでリスクを低減できました。