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Ansys Digital Mission Engineeringの新機能

2月 06, 2025

1:00 Min

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Washington Wedderburn | Ansys、Principal Product Manager
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2025 R1のAnsys Digital Mission Engineeringでは、複数のアップデートと機能強化が導入され、さまざまなミッション設計の課題に取り組むことができるようになりました。

大規模な衛星コンステレーションの普及が加速し続ける中、潜在的な構成のパフォーマンスを迅速に評価できるツールの必要性が高まっています。データをコンステレーション内で非常に効率的に移動させる方法には、さまざまな選択肢がありますが、いくつかの基本的な方法を使用することで、有益な初期評価を行うことができます。そのため、Ansys Systems Tool Kit(STK)2025 R1に「Optimal Strand by Duration(継続時間に応じた最適なストランド)」オプションを追加しました。このオプションを使用すると、さまざまなコンステレーション構成に関する知見を迅速に得ることができます。

レーダーの設計者およびオペレーターにとって、特定の指定ターゲットに対するレーダー構成のパフォーマンスを評価することは、直感的でなく困難なことが多くあります。Ansys RF Channel Modeler 2025 R1では、この評価を支援するために、作業を簡素化する新しいツールを複数搭載しています。たとえば、未処理のレーダー画像に直接アクセスすることで、どんな追跡シナリオでもほぼ瞬時にパフォーマンスフィードバックを得ることができます。

ワークフローのさらなる機能強化により、結果として得られるレーダー出力を3D入力モデル上にオーバーレイとして表示することで、STKのネイティブな3D可視化レイヤーの恩恵を受けることができます。フェーズドアレイアンテナのユーザーは、多くの場合、専用のビームを割り当てるターゲットの数と種類を決定する組込みルールに基づいて、複数のオブジェクトを同時に追跡する必要がありますが、スクリプトソリューションを使用せずに、一連のルールを作成できるようになります。

シスルナ圏の探査を計画的に継続していくには、地球-月のL1およびL2ラグランジュ点周辺で宇宙船を安全に運用するための新しい機能が必要です。マヌーバ計画、衝突回避、接触スケジューリングなど、地球中心の軌道空間に存在する課題はすべてシスルナ空間にも存在します。これらの領域で不具合が発生すると、回復にかかるコストがはるかに高くなる可能性があります。これを受けて、Ansys Orbit Determination Tool Kit (ODTK) 2025 R1には、このマルチボディ重力環境で運用される機体に特化したシスルナ初期軌道決定(IOD)機能が搭載されるようになります。

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ODTKには質量推定機能も搭載されます。これにより、マヌーバ中の燃料消費量やマヌーバ後の残りの燃料質量を推定できる重要な機能が利用できるようになります。宇宙船の運用寿命を計画する際には、燃料消費を管理する能力が不可欠です。

最後になりますが、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)の価値は、エンジニアリングライフサイクル全体において過小評価できない重要なものです。このSTKの最新リリースでは、ウィンドウ管理、構成の発見性、実行中のシミュレーション(特にブレークポイントを含むシミュレーション)の制御が改善され、Behavior Execution Engineとのユーザーインタラクションが強化されています。2025 R1のこれらの重要なアップデートにより、ミッションの設計および解析機能、高周波(RF)モデリング、システムズエンジニアリングの統合が強化され、現代の航空宇宙システム開発の複雑さとさらなる成長に対応します。

STKの「継続時間に応じた最適なストランド」オプション

    • STKのチェーンツールでは、新しい機能が利用可能となり、「継続時間」と呼ばれる新しい指標に基づいて最適なストランドを計算できるようになりました。送信機および受信機のリンク切り替えによる通信に対応するための実用的で費用対効果の高いメカニズムを提供します。このメカニズムにより、ユーザーはネットワークを介して情報を転送する際のコストをより理解できるようになります。
    • 具体的には、完全なストランド内の各ノードにわたる累積的なデータ処理負荷を大まかに表す指標に基づいて、コンステレーションを通る各経路を評価することができます。
    Digital Mission Engineering Chains
    • 各リンクを可能な限り長く維持することにより、コスト/ベネフィット分析を行って、他の最適なルーティング手法(最短距離など)と比較することができます。
    • Duration指標を最小化することで、最も費用のかかるケースを特定することができます。この場合、最短のリンクが常に選択され、切り替え回数が最大になります。
    • この新機能は、多くのノードと、それに関連するネットワーク内外の複数の経路を持つコンステレーションやネットワークを設計する際に役立ちます。

    RF Channel Modelerの画像およびデータ製品

      • RF Channel Modelerの画像およびデータ製品は、データ表示と画像アライメントを自動化し、データアナリストをサポートします。これらの製品を使用することにより、STKシナリオで可視化平面上にレーダー画像データを表示することができます。
      • RF Channel Modelerに組み込まれているAnsys Perceive EMの入力データを作成する際に使用したシナリオを基に、Perceive EMでレーダー画像を生成し、その画像をSTKシナリオで利用してデータ分析を行うことができます。これにより、アナリストはレーダー画像を活用して、データ収集シナリオにおける散乱現象を理解することができます。
      RF Channel Modeler
      • さらに、多くの新機能が利用できるようになりました。具体的には、設定変更に伴うデータ処理の効率化、STKの物理モデルに基づいた画像オーバーレイ調整支援、範囲と交差範囲の自動画像ストレッチ機能、バイスタティック収集シナリオ、そして画像データの煩雑さを軽減するための低信号戻りの切り捨て機能などがあります。

      シスルナ初期軌道決定(IOD)

      • ODTKに、マルチボディ軌道を推定できるように特別に設計された新しい配列オブジェクトが追加されました。IODツールは、地球-月のL1およびL2ラグランジュ点のシスルナ軌道推定に特化しています。
      • このツールでは、新たに利用可能となった機能を用いて、シスルナ空間の特定の領域を航行する宇宙物体のIODを実行することができます。
      • 地球-月のL1またはL2を周回する軌道上にある宇宙物体を追跡しようとするODTKユーザーは、この新機能をすぐに利用して大きなメリットを得ることができます。
      • 異常事態が発生すると、宇宙船の所在を見失う可能性がありますが、この新機能を利用すれば、見失った機体を再び追跡するプロセスを簡素化することができます。
      Initial orbit determination Ansys 2025R1

      Ansys Digital Mission Engineeringを導入している組織は、複雑なシステムパフォーマンスを検証し、リスクの大幅な低減、開発コストの削減、市場投入までの時間の短縮を実現しながら、システムの信頼性とパフォーマンスを保証しています。実機試験にかかる費用が高額であったり、それを実施するのが困難であったりする航空宇宙・防衛・宇宙分野では特に有用であり、ユーザーはミッション要件と照らし合わせてシステムパフォーマンスを評価することができます。2025 R1のアップデートと機能強化により、ミッションの設計および解析機能、RFモデリング、システムズエンジニアリングの統合が強化されています。

      これにより、現代の航空宇宙システム開発の複雑さとさらなる成長に対応し、費用のかかる設計変更やミッション失敗を回避しつつ、よりロバストで信頼性の高いソリューションを実現します。

      Digital Mission Engineering製品のコレクションについての詳細をご覧ください。


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      washington-wedderburn
      Principal Product Manager

      Washington Wedderburnは、2013年にAGI社に入社し、2020年のAnsysによるAGI社買収を経て、現在はAnsysに所属しています。プリンストン大学を卒業しています。  

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