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解析による認証と得られるメリット

7月 11, 2025

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Caty Fairclough | Ansys、Corporate Communications Manager
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航空業界の未来を垣間見ることができるとしたら、何が見えるでしょうか?この問いに対する1つの答えとして考えられるのは、解析による認証(CbA)の活用拡大です。

CQbA(解析による認証/定量化)とも呼ばれるCbAは、航空機およびエンジン認証の規制要件への適合性を実証する方法です。これは、航空宇宙当局が承認したビルディングブロック手法に基づき、一連の小さな部品(「ブロック」)の解析結果を検証してから、大規模なアセンブリへと移行するという手順を踏みます。

CbAの潜在的な応用範囲は広く、ハードウェアシステムの開発支援からソフトウェアおよびシステム統合に至るまで多岐にわたります。

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CbAの導入は、解析によって支援される開発(第1段階)、解析によって支援される認証(第2段階)、解析による認証(第3段階)の3つの段階を経て行われます。現在、業界は第2段階にあり、次の目標は第3段階への到達ですが、これは決して容易なことではありません。

現行の航空機認証プロセスにおける主要な課題

航空機開発者と乗客の双方にとって、安全性が最優先事項であることに疑いの余地はありませんが、その安全性を実現することは容易ではありません。そのためには、航空機に使用されるあらゆる部品とシステムの安全性を確実に最適化しなければなりません。

この目標を達成するには、緻密で厳格な要件を策定して安全性を確保する必要があり、その結果、航空機メーカーは多くの物理的な性能および認証試験を実施せざるを得ない状況になっています。

制御性、操縦性、失速特性から、航空機エンジンの耐久性や重量制限に至るまであらゆる要素を解析するこうした実機試験には、広く認識されているいくつかの課題があります。

  1. 物理的な飛行およびエンジン試験にかかる多大な費用。実際、航空機の認証には10~20億ドルの投資が必要になる場合があり、その金額は、試験対象が派生型機か新型機かによって異なります
  2. 試験に要する時間。膨大なコンプライアンスのリストと新しい規制項目を管理することにより、複雑さが大幅に増し、単一の認証試験でもかなりの時間を要する場合があります。また、認証取得にかかる時間は、理想的な気象条件や特定の試験施設の空きを待つといった制御不能な要因によってさらに長期化する可能性もあります。
  3. 不確実性と再試験による、莫大な金銭的および時間的損失。認証要件を満たせない場合や、実機試験に不確実性が存在する場合、設計者は機体やエンジンの再開発または再設計を行うために、追加の遅延やコストを被る可能性があります。また、認証は完了したからといって保証されるわけではなく、クラッシュや不具合などが発生した場合には、認証が一時停止されることがあります。このような場合、企業は罰金と追加費用を支払って、根本的な問題を修正し、設計の再認証を取得しなければなりません。開発者はコンプライアンスを達成する必要があるため、欠陥が見つかれば、これらのコストは避けられません。
  4. 実機試験に伴う危険。実機試験を実施するには、広範なトレーニングと安全手順が必要です。
  5. 新たな認証要件の導入。エンジニアやメーカーは、これらの変化に継続的かつ迅速に適応していかなければなりません。新たな詳細やリスクを考慮するために、追加の修正が必要となることもあります。たとえば、航空機開発者は、過冷却大滴(SLD)による着氷リスクなどの要因を考慮してアプローチを変える必要があり、その場合には、当初の試験対象であった液滴サイズを50ミクロンから最大1mmに引き上げなければなりません。

では、航空機メーカーは何をすべきでしょうか。航空宇宙業界のメーカーは、これらの問題に対処し、コストを削減しながらも、安全性を常に最優先するために、規制遵守を実証する手段としてCbAを活用することができます。

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CbA、デジタルエンジニアリング、シミュレーション

航空宇宙業界でCbAを活用することで、同等レベルの安全性とセキュリティを維持しながら、多くのメリットが得られます。

1.製品認証試験を効率化し、市場投入までの時間を短縮

a. 実機試験にかかる時間を最小限に抑え、認証時に必要となる飛行試験の回数を減らし、実機試験中に予期せぬ事態が発生するリスク(遅延や追加コストの原因となる可能性がある)を軽減

b. 設計プロセス、知識、データ管理を1箇所にまとめることで、時間を節約

c. デジタルツインを使用して予知保全を実施し、ダウンタイムを短縮

2.認証およびコンプライアンス試験の段階で全体的なコストを削減

a. 安全性および性能目標を維持しながら、3億ドル以上を節約できる可能性を実現

b. コストのかかる問題を開発プロセスの早期に特定し、回避

c. 試験および認証コストの削減により、航空会社向け製品の低価格化と、旅行者の費用負担軽減を実現できる可能性を実現

これらの利点をすべて実現し、CbAを完全に導入するには、予測分析ツールが厳密で信頼性、ロバスト性、精度の高い結果を導き出せるものでなければなりません。さらに、このようなツールは、安全要件を完全かつ確実に満たすことができるよう、計算効率よく結果が得られるものでなければなりません。CbAを広範に導入するためのもう1つの重要なステップとして、CbA自体への信頼性を高めることが挙げられます。

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この信頼性を達成し、より広範な航空宇宙および防衛(A&D)認証プロセスにCbAを導入するためのソリューションとなり得る既存技術の1つが、Ansysのモデリングおよびシミュレーションソフトウェアです。

A&D分野のイノベーターは、Ansysのポートフォリオを導入することで、認証プロセス全体で必要とされる必須データを生成できるソリューションを活用できるようになります。特に、Ansysのマルチフィジックスソリューションを使用すれば、多岐にわたる個々の物理現象に対処し、これらを組み合わせることによって、より高精度な結果を得ることができます。つまり、CbAを活用することで、航空機の構造、エンジン、飛行、ソフトウェアなどの分野で不可欠な精度を維持しながら、規制要件を満たすことが可能になります。

広く認識されているニーズに対応するCbAは今後、A&D業界にとって大きな契機となるでしょう。シミュレーションを活用したCbAは、より高性能な航空機や新しい航空技術を、より迅速かつ低コスト・低リスクで実現する可能性を秘めています。

この可能性と、すでに認証プロセスでシミュレーションを使用している各企業についての詳細は、『解析による認証:デジタルエンジニアリングによる航空機部品のコンプライアンス変革』をご覧ください


caty-fairclough
コーポレートコミュニケーションマネージャー

Caty Faircloughは、マーケティングおよびコミュニケーションチームのリーダーとして10年の実績があります。高度な技術を扱う組織のコンテンツチームを管理し、事業や業務を推進させる方法に関する記事も執筆してきました。現在は、Ansysのコーポレートコミュニケーションマネージャーとして、航空宇宙・防衛(A&D)業界で行われている高度なエンジニアリングシミュレーションを紹介し、広く普及させることに尽力しています。

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