Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
2023年時点で、世界の人口の3分の1以上がインターネットにアクセスできず、26億人が教育、雇用、ヘルスケア、知識共有、さらにはコミュニティエンゲージメントの機会から遮断されています。
これは、24時間インターネットに接続できる環境にいる人たちにとっては理解し難い数字に思えますが、実際には前年と比較して1億人ほど改善されています。
しかし、持つ者と持たざる者の間のギャップを解消するだけでは、持続可能な解決策にはなりません。デジタル時代の急激な加速を考えると、すでに不利な立場にある人々は、これからさらに遅れをとることになります。
デジタルデバイドを解消する方法はあるのでしょうか。食器洗い機ほどの大きさで、重量は約800ポンドしかない立方体の衛星が解決策になるのでしょうか。
Astranis社は解決策になると考えています。
Astranis社は、サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業であり、高軌道向けの高度な衛星を開発しています。具体的には、静止軌道(GEO)や中軌道(MEO)など、深宇宙の過酷な放射環境のために構築された小型で強力な次世代衛星です。
同社のビジネスモデルも次世代のモデルです。中小国やFortune 1000企業などの顧客にターンキーソリューションとして専用衛星を貸し出し、サービスとして帯域幅を提供しています。Astranis社は、NASAやアメリカ宇宙軍など、アメリカの国家安全保障に携わる複数の政府機関にもサービスを提供しています。実際に、Bloomberg社は1月にAstranis社を「注目すべき防衛技術スタートアップ10社」の1つとして紹介しています。
Astranis社の共同創立者: CEOのJohn Gedmark氏(左)とCTOのRyan McLinko氏
Astranis社は、これまでに5つの衛星を打ち上げており、メキシコ、フィリピン、米国の地方を含む、世界中の数百万人にブロードバンドを提供しています。同社は2024年12月29日に、4つの衛星をGEOへの単一ミッションで打ち上げた初の民間企業となりました。
SpaceX社がフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍施設から打ち上げたAstranis Block 2は、以下の4つの衛星で構成されます。
これら4つの衛星は試運転を完了し、搭載されたイオンスラスターを使用してGEOに向かいます。
同社は、2030年までに合計100機の衛星を打ち上げる予定です。
太陽電池を展開するAstranis社のAlaska衛星
シミュレーションは、衛星の打ち上げと運用を成功させる上で重要な役割を担います。特に、すでに大きなマイルストーンを達成し、高い目標を設定しているAstranis社のような企業にとっては不可欠となります。
Astranis社は、Ansysスタートアッププログラムを通じてAnsysの複数のソルバーを導入し、マイクロGEOの反復開発プロセスを最適化して、サービス期間10年の衛星として認定を受けました。具体的には、3D電磁界シミュレーションソフトウェアであるAnsys HFSSを使用して、同社の画期的な設計をシミュレーションしました。
同社は、以下の製品も使用しました。
シミュレーションを導入したことで、最終的には、従来のGEO衛星の数分の1のコストで、革新的なディープテックシステムを迅速かつ効率的に開発できました。
多くの人にとって、GEO衛星が実際にどれほど大きくてかさばるかを想像するのは難しいでしょう。従来型の通信衛星は、2階建てバスほどの大きさとなることも珍しくありません。これほど大きなものを製作するには(そして高レベルの放射線や極端な熱サイクルに耐えられるようにする点でも)、高いコストがかかります。衛星の1本のネジを回すようなシンプルなタスクでさえ、高所作業車からの作業は数時間もかかることがあります。こうした作業の手間を考えれば、GEO衛星のコストが何億ドル規模になるのも想像しやすいでしょう。
Astranis社は、衛星を小型化および軽量化し、通常の施設で製造できるように設計することで、生産時間を短縮してコストを削減し、利用者にとっての価値を高めました。
同社が、衛星の大半が存在する低軌道(LEO)ではなく、GEOに展開することを選んだ理由は、通信に不可欠となる2つの要因、つまり位置とカバレッジに関連しています。
GEOで軌道周回する衛星は、基本的には地球の自転と同じ速度で移動します。GEOの衛星は、固定されたように配置されるため、特定の地域に対して途切れのない接続性を提供できます。これと同じことをLEO衛星で達成しようとすれば、数百機の衛星が必要になります。つまり、国民にインターネットを提供しようとする国にとって、必要なのは、1つの場所に向けて配置された同社の1機の衛星だけです。専用のサービスを提供する機能は、現在の相互接続された世界で主権と安全を優先する国家にとって大きな利点となります。
左上から時計回り:Astranis社の施設、Alaska衛星のエンジニア、Alaska衛星に取り組む同社のエンジニア、Astranis社のCEOであるJohn Gedmark氏と同社のエンジニアたち
MicroGEO衛星は、従来の衛星と比較して、サイズ、重量、コストなどの面で利点がありますが、最大の差別化となるのは独自のソフトウェア無線(SDR: Software-Defined Radio)です。
従来の衛星応答機は、「ベントパイプ」とも呼ばれ、基本的に受動的な中継局として機能します。これらは、ある場所から信号を受信し、増幅して、大きな処理や変更を行うことなく、別の場所に再送信します。従来の応答機は長年使われてきましたが、その能力は限られています。
Astranis SDRは、さまざまなデジタル信号処理タスクを実行し、ミッションに合わせて構成を変更できる、軌道上のインテリジェントコンピュータです。たとえば、妨害や干渉を回避するために、その場で周波数の変更が可能です。
Astranis SDRの開発においてAnsysのソフトウェアは不可欠です。エンジニアたちは課題に対処し、新しいSDR設計の性能を調べることができました。Ansys HFSSを使用して、初期段階のシミュレーションを実行し、物理的なプロトタイプを製作する前に設計上の欠陥を特定して修正できました。結果として、コストのかかる修正が減り、開発プロセス全体がスピードアップしました。
HFSSの他の主要な用途としては、以下が挙げられます。
宇宙ベースのインフラは、インターネットアクセスを拡大するために不可欠です。特に、サービスが行き届いていない地域へのアクセスや、緊急時の連絡手段として重要になります。
しかし、地球全体のインターネットアクセス拡大は、宇宙探査とテクノロジーが重要となる理由の1つにすぎません。これまで、宇宙は何十年もの間、人類の知識の限界を押し広げてきました。
Astranis社では、宇宙を人類の普遍的な結集点と捉えています。宇宙産業のテクノロジーを活用することで、GPSでA地点からB地点まで移動したり、10日後の天気を予想することが可能になります。
Astranis社は、高軌道向けの高度な衛星を開発できる数少ない企業のひとつとして、宇宙産業を前進させ、テクノロジーの可能性を最大限まで引き出し、世界中の人々が宇宙ベースのサービスを利用しやすいものに変える革新を続けています。
HFSSが高周波エレクトロニクス製品の設計とシミュレーションにどのように役立つかをご覧ください。
Ansys Advantageブログでは、専門家が投稿した記事を公開しています。Ansysのシミュレーションが未来のテクノロジーにつながるイノベーションをどのように推進しているかについて最新の情報をご覧ください。