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マテリアルズインフォマティクスとは、コンピュータサイエンス、データサイエンス、人工知能を用いて材料の特性評価、分類、選択、および開発を行うための手法です。
マテリアルズインフォマティクスが導入される前までは、エンジニアや科学者たちは材料のリストを作成し、その情報をハンドブックに記録したり、簡単なデータベースに保存したりしていました。そして、特定の材料に関する情報が必要となった場合には、それを手作業で検索する必要がありました。
インフォマティクス(情報学)の適用により、材料特性データの収集と整理、そのデータの履歴と使用状況の追跡、材料の検索の効率化と自動化、さらには新材料の開発を支援するための改善された方法が提供されるようになりました。データサイエンス、コンピュータサイエンス、人工知能(AI)をマテリアルズインフォマティクスソリューションに適用することで、企業全体の材料科学に大きなメリットをもたらします。
産業革命の初期、エンジニアたちは、さまざまな材料の特性を理解して記録することが製品開発にとって不可欠であることを学びました。機械に使用する材料を決める際、使用したい各材料の密度、剛性、強度、そしてコストを知る必要がありました。年月を経て、材料特性リストの作成が標準化され、データ共有が可能になりました。
コンピュータが登場する前は、この情報はデータシートやハンドブックに記録されていました。エンジニアは手作業で特性を調べ、表にまとめて、それに基づいて材料を選択していました。経験豊富なエンジニアであれば、それまでに得た予備知識を活用したり、過去に使用したことのある材料を選択したりすることもありました。コンピュータの登場によって、これらのリストは検索可能なデータベースにデジタル化されましたが、プロセスは手作業のままでした。
利用可能な材料の数が増え、材料科学や材料工学の分野が成熟するにつれて、最新のインフォマティクス技術が材料データに適用され始め、マテリアルズインフォマティクスの発展につながりました。
近年、研究者、エンジニア、材料メーカーが利用できるようになった主なテクノロジーとして、以下のものがあります。
エンジニアたちは、試行錯誤による手法や予備知識に頼る代わりに、材料の探索や開発のための検索、最適化、解析のための最新の手法にアクセスできるようになりました。また、材料科学における特定領域の知識がない人でも、最初に設計目標を設定し、マテリアルズインフォマティクスを活用することで、用途に適した材料を特定できるようになります。
マテリアルズインフォマティクスシステムのワークフローと機能は、2つの部分に分けられます。1つは、データセットの取得と構造化に関する部分です。もう1つは、このシステムを材料の探索または設計に活用することに焦点を当てた部分です。すぐに使用できるシステムを購入する場合でも、マテリアルズインフォマティクスシステムツールの最新機能を最大限に活用して、材料科学とマテリアルズインフォマティクスの次世代機能を簡単に組み込むためには、そのシステムがどのように開発されたかを理解することが重要です。
マテリアルズインフォマティクスシステムを材料調査に使用する前に、管理対象となる材料を記述したデータセットを入力する必要があります。また、このデータは、一貫したアクセスを可能にする方法で整理しておくことが必要です。マテリアルズインフォマティクスツールは、以下の主要要素で構成されます。
材料の調査と選択のための効果的なツールにおける最も重要なコンポーネントは、各材料とそのバリエーションを表すデータセットです。データを利用できる場合は、それを購入したり、政府や学術機関あるいは材料サプライヤーから入手したりできます。最新のマテリアルズインフォマティクスプラットフォームであれば、大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)を活用して、データシート、ラボレポート、ハンドブック、古いデータベースに保存されているレガシーデータを抽出して、利用可能なデータセットにデジタル化できます。特に新材料や先端材料など、データが利用できない、またはデータが不完全である場合、企業はテストを実施して実験データを取得するか、類似材料の既存情報を利用して欠落している特性を計算または推定する必要があります。
データセットの構造化は、材料データベースをデータ分析、計算、人工知能を活用するツールに変えるための最初のステップです。選択したデータ構造は、システム内および外部ツールを介したデータの入力、管理、検索、アクセスのためのツールをサポートしている必要があります。
データ構造でサポートすべき主な要件は以下のとおりです。
マテリアルズインフォマティクスシステムの最終的な目的は、ユーザーが材料を保存、管理、理解、選択、または開発できるように支援することです。したがって、プラットフォームの有用性が発揮されるかどうかは、ユーザーインターフェースにかかっています。複雑な材料のトレードスタディを実行できるだけの十分な機能性を備えながら、直感的に操作できる必要があります。
たとえば、高度な複合材料群を探索するために必要となる深宇宙探査用の機能を経験豊富な材料研究開発エンジニアに提供する一方で、コンシューマー向け製品に採用するポリマーを比較する製品開発エンジニアにも使いやすいものである必要があります。
優れたユーザーインターフェースには、特性に基づいたフィルタリングの実行や、関連する材料の特定ができるインテリジェントな検索ツールも含まれています。可視化ツールを使用することで、材料間の違いや材料データのバリエーションを比較できるようになります。
体系的な材料選択のための最も一般的なツールの1つは、Ashbyプロットです。この散布図には2つ以上の材料特性が表示されるため、エンジニアは特性を比較して、材料に関するデータ駆動型の意思決定を迅速に行うことができます。
マテリアルズインフォマティクスシステムから取得したデータは、エンジニアや研究者が主として使用するユーザーインターフェース(UI)から他のツールへ、可能な限り実用的かつ容易な方法で転送できる必要があります。また、プラットフォームは、コンピュータ支援設計(CAD)、シミュレーション、製造、サプライチェーン、品質保証ツールに直接接続できる必要があります。
これは、以下の方法で実現できます。
適切に構成されたクロスプラットフォーム統合により、設計、製造、シミュレーションエンジニアなど、企業全体で信頼できる唯一の情報源や材料に関する情報に簡単にアクセスできるようになります。
ロバストなデータ構造と、大規模で高品質なデータセットを組み合わせることで、比較、ランク付け、最適化、さらには深層学習や予測分析などの機械学習技術の適用のためのデータ分析が可能になります。シミュレーションでは、化学解析、メタマテリアル設計、そして予測モデリングもサポートされます。これは特に、新しい材料の合成に焦点を当てたプロジェクトでマテリアルズインフォマティクスシステムを導入する場合に役立ちます。
材料科学に情報学を適用する利点の1つは、プロセス全体を通じてロバストなトレーサビリティを達成できることです。材料テストで採用する規格の追跡から、誰がどのデータをいつ追加または変更したかの記録まで、トレーサビリティが確立されることで、システム内のデータセットに対するセキュリティと説明責任が強化されます。
マテリアルズインフォマティクスシステムのユーザーは、一般に、材料の選択、既知の材料に関するデータの検索、材料データの管理という3つのタイプのワークフローに従います。
エンジニアや科学者が材料を選択する場合は、通常は、以下の3つのステップに従います。
材料オプションのデータ駆動型探索の出発点は、その材料の要件を確立することです。マテリアルズインフォマティクスシステムでこれらの要件がどのように定義されるのか、またはどの材料特性による影響を受けるのかを理解しなければなりません。要件は、密度や剛性といった機械的な特性だけではありません。コスト、可用性、必要な処置、処理方法、持続可能性の目標、規制上の制限事項なども含まれます。
次に、システムが備える機能を使用して探索、検索、比較、および予測を行い、要件を最も満たす材料を選択します。しかし、多くの要件が競合する可能性があるため、必要な値範囲を指定した単純な検索が機能することはほとんどありません。こうした状況では、マテリアルズインフォマティクスシステムでビッグデータ機能を活用することで、エンジニアはデータ駆動型の材料選択プロセスを通じて最適な材料を特定できるようになります。
材料を選択したら、テストまたはシミュレーションを通じて選択内容を検証する必要があります。具体的には、マテリアルズインフォマティクスシステム内で簡単な計算を行うか、そこから導出されたデータを使用するシミュレーションを実行します。シミュレーションによる仮想テストが実用的でない場合は、実機試験を行う必要があります。その後で、機械学習モデルを強化するために、追加のテストの結果をシステムに入力します。また、品質とトレーサビリティを向上させるために、マテリアルズインフォマティクスプラットフォームからの材料データをいつ、どこで、どのように使用したかを追跡することが重要です。
既知の材料のデータにアクセスしたい場合、通常は名前、規格番号、内部命名法などの識別子を用いてシステムのデータセットを検索します。データを見つけたら、簡単に使用できるように、希望の形式で情報を抽出します。抽出されたデータファイルには、データソースに関する情報も含まれています。
最後のワークフローは、最も重要となる材料データの管理です。このプロセスでは、関連するデータを見つけ、直感的で追跡可能な方法で編集します。また、関連するデータにリンクしたり、不正確なデータや置き換えられたデータに使用不可のフラグを付けたりする手順も含めることができます。
マテリアルズインフォマティクスは、シンプルなデータベースから、AI対応の最新の統合ツールまで大きく進歩しました。あらゆる規模の企業が、最新のトレンドを把握し、ニーズに合った適切なマテリアルインテリジェンスツールを導入することで、マテリアルズインフォマティクスのメリットを享受できます。
マテリアルズインフォマティクスの最も重要なトレンドは、機械学習および深層学習(DL)フレームワークの継続的な活用です。これらのテクノロジーと大規模言語モデルにより、ユーザーに大きなメリットをもたらすAI主導の材料探索が実現します。
もう1つの新たなトレンドは、材料情報プラットフォーム内での統合の強化、あるいはこれらのプラットフォームとサプライチェーンツール、CADソフトウェア、シミュレーションなどの他のアプリケーションとの統合の強化です。より高度な機能を取り入れている企業では、AIエージェントを活用して、材料データの保守と探索に関連するタスクを自動化し、エンタープライズワークフローに統合しています。
データサイエンスチームやマテリアルズインフォマティクスツールを開発する企業は、材料データ、クラウドベースのテクノロジースタック、さらに高度な可視化および比較ツールへのアクセスの向上も活用しています。これらのトレンドにより、材料データのより正確で効率的かつ革新的な使用が促進されています。
エンジニアリングチームは、材料情報、選択、およびデータ管理のためのAnsys Granta製品コレクションなどのツールを使用して、材料データの管理および選択プロセスを改善できます。これにより、設計エンジニアから材料科学者までのさまざまなユーザーに対して、データ駆動型のマテリアルインテリジェンスが提供されます。これらのツールを導入することで、材料の評価と選択をサポートしながら、材料データを取得して保護できるようになります。
包括的な材料情報システムを必要とする企業は、材料データ管理ソフトウェアであるAnsys Granta MI Enterpriseなどのソリューションを導入すれば、CAD、コンピュータ支援エンジニアリング(CAE: Computer-Aided Engineering)、製品ライフサイクル管理(PLM: Product Life Cycle Management)ツールとの統合がサポートされます。設計チームは、直感的なユーザーインターフェースを使用して、企業全体で信頼できる唯一の情報源を追跡することができます。マテリアルズインフォマティクスの主に材料選択の側面に関心がある企業であれば、材料選択ソフトウェアであるAnsys Granta Selectorなどの専用ツールを導入することで、材料に関する課題を解決し、コストを削減して、材料選択の妥当性を確認するための情報に基づいた意思決定を行えるようになります。
また、マテリアルズインフォマティクスを導入する企業は、社内の専門知識をまとめ、パートナー企業と協力して、新しい材料の特性評価と捕捉、マテリアルインテリジェンスの共有、材料科学のベストプラクティスの開発、そして下流工程での材料データの利用を行うことが必要です。この種のパートナーシップの業界標準として認められているのが、Ansys Grantaコラボレーションチームです。
シミュレーションを統合することで、マテリアルズインフォマティクスはデータの管理と分析のさらに先まで進むことができます。シミュレーションでは、材料の定義、選択、開発というユーザーワークフローの3つのフェーズすべてをサポートするために、計算手法を採用しています。材料特性は、あらゆるシミュレーションの基本的な入力データであるため、コストのかかる実機試験を行うことなく、必要な特性の決定、新しい材料の組み合わせや複合材料の構成の開発、ポストプロセスステップの効果の計算、材料の有効性の検証を行うための解析を実行できます。
構造の有限要素法解析ソフトウェアであるAnsys Mechanicalと、主要なAnsysソルバーで利用可能なオプションの材料データライブラリであるAnsys Granta Materials Data for Simulation特性データベースの組み合わせは、マテリアルズインフォマティクスをシミュレーションプロセスに直接統合(あるいはシミュレーションプロセスをマテリアルズインフォマティクスに統合)する優れた方法の一例です。エンジニアは、材料を選択し、さまざまな荷重条件下での性能を評価できるようになります。Mechanicalに組み込まれた設計探索ツールなどの最適化モジュールと実験計画法インターフェースは、材料特性のバリエーションに対する設計感度を評価し、設計の材料要件を最適化する上でも役立ちます。
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