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ケーススタディ

アリゾナ大学、Ansys OpticStudioを使用して曲面HUDの実行可能性を実証


「非常に実用的な新しい導波路システムの機能を実証し、さまざまな製造シナリオに対応する実装準備ができているモデルを設計するうえで、Ansys Zemax OpticStudioが重要な役割を果たしました」

— Pierre-Alexandre Blanche教授 / アリゾナ大学ワイアント光科学カレッジ


新しい技術市場には、導波路光学のイノベーションチャンスがあり、光スペクトラム内の電磁波を制限して機器を介して誘導し、光学システムのさまざまな透過を生み出す新技術が求められています。ウェアラブル機器やヘッドアップディスプレイ(HUD)などの拡張現実(AR)システムは、一般に、製造したホログラフィック光学素子(HOE)を使用して導波路に光を結合し、ディスプレイエンジンからユーザーの目に光を伝えます。その結果、通常の世界に仮想情報が視覚的にオーバーレイされた非常にリアルなホログラフィックAR空間にユーザーが没入できます。

課題

視野(FOV)を維持しながらより大きなアイボックスを提供できるため、ホログラフィック導波路はHUDで使用するために理想的なコンバイナーです。これは他のタイプのコンバイナーでは容易に実現できません。商業的に成功したほとんどのホログラフィック導波路では、ユーザーとのインターフェースに平坦面を使用しています。例えば、ユーザーの頭部にぴったりと合い、広いFOVを提供するARヘルメットの場合は、曲面のほうが望ましいでしょう。しかし、導波路の設計では、ホログラフィック投影を曲面にすると、画像に収差が発生するため、HUDとAR用に曲面コンバイナーを設計することは大きな課題となります。

ニアアイディスプレイ(NED)システムの物理要件により、課題はさらに複雑になります。NEDシステムの場合、容易に装着できるように物理的フットプリントは軽量でありながら、必須のコンポーネントが含まれている必要があります。瞳孔を複製するコンバイナーは投影コンポーネントと全体のフットプリントを減らすために有効ですが、光学システムにおける瞳孔複製も従来は平面の導波路のみに限定されていました。

曲面導波路における光の伝播の概略図。画像収差の影響を受けやすい曲面とのさまざまな相互作用を示す

曲面導波路における光の伝播の概略図。画像収差の影響を受けやすい曲面とのさまざまな相互作用を示す

挿入ホログラムのジオメトリ補正。誘導されたサジタル光線の焦点(緑)と、その結果の導波路表面による全境界面反射の仮想焦点(赤)を示す

挿入ホログラムのジオメトリ補正。誘導されたサジタル光線の焦点(緑)と、その結果の導波路表面による全境界面反射の仮想焦点(赤)を示す

エンジニアリングソリューション

OpticStudioを用いて、HOEを使用して伝播補正を行い、コンバイナーとしての曲面導波路の使用を検証する光学システムを設計しました。光は導波路を通して集束および拡大され、導波路内に準コリメート状態を作り出します。曲面導波路の伝播と画像抽出の収差は最小限で、商用ARデバイスの製造に非常に適したパラメータの範囲内に収まります。

HOEによる瞳孔複製は、挿入ホログラムを使用して全境界面反射条件で光を伝播します。この光は抽出ホログラムに到達し、取り出された光を補正して、ユーザーが単一の画像として見ることができるようにします。曲面導波路の設計においては、導波路を介して伝播し、システムの上面と下面との相互作用を受けながら、光が拡大して集束する方法のバランスをとることが重要でした。このバランスを達成したとき、抽出ホログラムを制御して、曲面ガラス上で収差が最小になるように光を取り出すことができました。

ベネフィット

  • 予測補正のための事前に歪曲された画像のシミュレーション。
  • 画像解像度を補正するホログラフィック光学素子のレイトレーシング。
  • システムを構築する前に最適化するための画像回折の結合波解析。
補正された導波路(a)を通って湾曲したフロントガラスに投影されたHUD画像の例と、2.4度の画像の重なりが生じる未補正導波路(b)の場合の例

補正された導波路(a)を通って湾曲したフロントガラスに投影されたHUD画像の例と、2.4度の画像の重なりが生じる未補正導波路(b)の場合の例