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現代社会において、重要な課題に位置付けられる課題は多岐にわたります。多くの課題は、地球上での解決策が模索されていますが、宇宙空間に目を向けて解決策を探ろうと試みる企業もあります。
そうした企業の1つが、衛星コンステレーションの設計、開発、運用を通じて地球上の課題解決に取り組んでいるPlan-S社です。同社のミッションは、持続可能な宇宙技術を通じて私たちの生活を向上させることです。
Plan-S社のシステムエンジニアであるUmut Kızılyamaç氏は次のように述べています。「Plan-S社は、より速く、より使いやすく、よりインパクトのある宇宙技術を開発するために設立されました。衛星IoTや地球観測分野において、商業的な目標の達成に焦点を当てたアジャイルなソリューションが必要であると考え、それを提供することが最大の目的です。」
Plan-S社の宇宙技術がもたらす利点は、次の3つのグループに分類できます。
Plan-S社が提供する農業監視用の宇宙サービスの例
Plan-S社では、衛星技術を通じて私たちの生活を向上させるというミッションを掲げ、新しい宇宙経済(NSE: New Space Economy)に参入しようとしています。このNSEは、宇宙産業の商業化と宇宙探査の促進に取り組む数多くの民間企業が参入する見込みです。Plan-S社は、その取り組みを通じて、宇宙探査への参入障壁を下げながら、地球上でのデジタルトランスフォーメーションを加速させることで、NSEに大きなインパクトをもたらしたいと考えています。
ただし、これらの目標を達成するには、性能の最適化と、衛星コンステレーションのカバレッジや再訪時間などのミッション要件の達成でバランスを取れる最高品質のテクノロジーや製品を、コストと期間をできる限り抑えながら開発することが必要になります。
Kızılyamaç氏は次のように述べています。「さらに、接続の確立や地球観測といった目的にかかわらず、リンクバジェット、スワス幅、電力制限、規制限界など、ミッション固有の制約があります。また、アンテナのカバレッジや熱平衡を犠牲にすることなく、さまざまな軌道面やベータ角にわたって十分な発電能力を確保するなど、サブシステム間での相互作用を管理するという重要な課題もあります。」
このような課題に対処しながらNSEの成功への道を切り拓くために、Plan-S社はデジタルミッションエンジニアリングソフトウェアであるAnsys Systems Tool Kit(STK)など、Ansys, part of Synopsysのシミュレーションソリューションを導入しています。Kızılyamaç氏は次のように述べています。「STKを導入したことで、統合された環境でさまざまな設計変数のシミュレーションと評価を行えるようになりました。STKは当社が抱える課題を解決する上で重要な役割を担っています。」
Plan-S社の設計チームはSTKを導入したことで、設計を最適化し、初期設計プロセスから運用までのさまざまなプロセスを改善できるようになりました。
Kızılyamaç氏は次のように述べています。「当社のデジタルエンジニアリング戦略は、衛星とコンステレーションの設計を最適化するために、複数のエンジニアリング領域にわたってさまざまなシミュレーションツールを活用することに重点を置いています。」その一環として、同社では設計全体だけでなく、アンテナ、受信機、ソーラーパネル、推進システムなど、特定の衛星サブシステムについても熱、構造、モード、放射を含む包括的な解析を実行しています。これにより、「あるサブシステムの1つの変更内容がシステム全体にどのような影響を与えるかを簡単に解析できるようになりました。」とKızılyamaç氏は述べています。たとえば、STKを使用すると、発電と、それが特定のマヌーバ中におけるサブシステムに与える影響を単一のプラットフォーム内で調査できます。
これらのシミュレーション解析を組み合わせることで、Plan-S社ではミッション要件の妥当性を確認しながらサブシステムの相互作用を最適化できます。その結果、同社では潜在的な問題を迅速に特定して解決するだけでなく、「運用している衛星の信頼性と性能を保証できるようになるなど、STKは当社の複数のミッションフェーズにとって非常に大きな価値をもたらすツールとなっています」とKızılyamaç氏は述べています。
STKは、ミッション計画と解析にも有用です。Plan-S社では、打ち上げ前にSTKを使用して、仮想衛星の設計パラメータのシミュレーションを実行します。これにより、設計チームは衛星の初期パスの計画を立て、地上局パスを解析し、適切なカバレッジを確認できます。また、発電のシミュレーションを実行することで、運用限界を定義して、電力の可用性を管理できるようになり、地球から軌道上での運用へ確実かつ円滑に移行できるようになります。その結果、ミッションの目標を満たす衛星構成を決定して、トレードオフ解析と実行可能な打ち上げスケジュールに基づいて最終設計を選択できます。
具体的なユースケースとして、地球観測衛星やイメージング衛星のミッション計画について考えます。Plan-S社では、このケースにSTKを導入して「画像を捕捉するためのタイミングと姿勢角を正確に決定したことで、ターゲット領域の画像を取得することに成功しました。」とKızılyamaç氏は述べています。また、日食通過時やマヌーバ中のイメージャと太陽の相互作用を評価したり、イメージング領域を最大化するためにオペレーション全体を計画したりする際にもSTKが活用されています。
さらに、同社では衛星運用中の衝突リスクを管理する際にもデジタルエンジニアリングソリューションを適用しています。物体が衛星に近付き、衝突する危険性が高い状況を回避するために、対策が講じられることがあります。その際、STKのAstrogator機能を含むさまざまなツールを使用し、必要に応じて他の担当者と調整しながら、さまざまなマヌーバを計算して適切な措置を決定しています。そうすることで、「別の物体の接近が生じる確率を高めることなく、特定のマヌーバによって衝突のリスクを最小限に抑えることができます。」とKızılyamaç氏は述べています。
デジタルミッションエンジニアリングソフトウェアであるAnsys Systems Tool Kit(STK)による、Plan-S社の最新のIoT衛星ネットワークConnectaと、新たに追加された地上局のシステム応答の解析
デジタルエンジニアリングがもたらした成果はこれだけではありません。Plan-S社では、将来的に太陽同期軌道(SSO: Sun-Synchronous Orbit)や中軌道などの新しい軌道面にも衛星コンステレーションを展開する予定です。それを達成するために、同社は衛星のソーラーパネルの傾斜角を最適化する設計について特許を取得しました。これは、「実装された6つの異なるアンテナのアンテナパターンに影響を与えずに、これらすべての軌道に対応できる十分な電力を生成できるような設計です。」とKızılyamaç氏は述べています。STKの発電ツールは、同社がこのプロジェクトを開発して、特許を取得する上で大いに役立ちました。
Plan-S社がAnsysのツールを導入する利点について、Kızılyamaç氏は次のように述べています。「検討した結果、シミュレーションを導入することで、最終的には設計プロセスのリスクを軽減し、開発時間を短縮して、最終的なコンステレーションが技術的および運用上の目標の両方を確実に満たすことができると判断しました。」
Plan-S社では、Connecta IoTコンステレーションを拡張して、地球観測コンステレーションであるObservaを打ち上げるために、2025年にはさらに9基の衛星を打ち上げる予定ですが、これらの利点は、同社のさらなる成長と発展を大きく支えることになるでしょう。
Connecta IoTネットワークコンステレーションのエネルギー分野での適用例
打ち上げに成功するたびに、Plan-S社は最高レベルの宇宙技術企業として衛星ベースソリューションへの移行を支援するという同社のビジョンに一歩ずつ近付いています。
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