ANSYS HFSSの機能

高周波電磁界ソルバー

ANSYS HFSSでは、極めて正確な有限要素法(FEM)、大規模なMethod of Moments(MoM、モーメント法)技術、さらにSBR(Shooting and Bouncing Rays)と正確さを強化する高度な回折/クリーピング波物理学(SBR+)という、超大規模な漸近法を用います。ANSYS HFSSのシミュレーションスイートには以下のソルバーがあり、電気的に小さい構造から非常に大きい構造まで関係する、多様なEM問題に対応します。

HFSS

  • 周波数ドメイン
  • 時間領域
  • 積分方程式
  • ハイブリッド技術

HFSS SBR+

  • SBR(Shooting and Bouncing Ray)
  • 物理光学
  • 回折の物理理論
  • 回折の統一理論
  • クリーピング波

ANSYS HFSS
HFSSは1つのパッケージに複数のシミュレーションエンジンがあり、それぞれ固有の用途またはシミュレーション出力を対象にしています。

HFSSハイブリッド技術
FEM-IEハイブリッド技術は、電気的に大規模で複雑なシステムを解析するために、HFSS FEM、IE MoM、および特許権を有するANSYS領域分割法(DDM)に基づいています。適切なソルバー技術を適用することによって、形状の詳細度が高い、複雑な材料を有する領域は有限要素HFSSで処理する一方、大型のオブジェクトを有する領域やインストールされたプラットフォームは3D MoM HFSS-IEで処理することが可能になります。このソリューションは、単一のスケーラブルで完全に結合されたシステムマトリクスを使用し、単一のセットアップで提供されます。

有限要素法(周波数ドメイン)
これは実証済みの有限要素法に基づいた、高性能3Dフルウェーブ型周波数ドメイン電磁界ソルバーです。エンジニアは、SYZパラメータと共振周波数を計算し、電磁場を可視化し、信号品質、伝送路ロス、インピーダンス不整合、寄生結合、および遠方界放射を評価するために、要素モデルを生成することができます。代表的な用途には、アンテナ/モバイル通信、集積回路、高速デジタル/RFインターコネクト、導波管、コネクター、フィルター、EMI/EMCなどがあります。

ANSYS HFSS有限要素ソルバー

有限要素トランジェント(時間領域)
有限要素時間領域ソルバーは、過渡電磁界の挙動をシミュレーションし、時間領域反射率測定(TDR)、雷電、地中レーダー(GPR)、静電気放電(ESD)、電磁妨害(EMI)などの用途において磁場やシステムの応答性を可視化するために使用します。周波数ドメインソルバーと同じ有限要素メッシュ法を利用しますが、シミュレーション領域を切り替えるために、メッシュ技術を切り替える必要はありません。非定常ソルバーは周波数領域HFSSソルバーを補完し、エンジニアが時間領域と周波数ドメインの両方において、同じメッシュでEM特性を理解できるようにします。

ANSYS HFSS非定常ソルバー

積分方程式
積分方程式(IE)ソルバーは、3D Method of Moments(モーメント法)(MoM)技術が採用されており、開放放射と散乱の問題を効率的に解析できます。アンテナ設計、アンテナ配置などの放射調査、また、レーダー断面などの散乱調査に最適です。このソルバーは、メモリ要件と解析時間を削減するために、高速多重極展開法(MLFMM)またはアダプティブクロス近似(ACA)のいずれかを採用できるため、このツールを非常に大規模な問題に適用することが可能になります。

ANSYS HFSS積分方程式ソルバー

HFSS高速モード
高速シミュレーション結果により、設計トレンドの貴重な洞察が得られる製品の設計サイクルの初期段階では、HFSSの高速シミュレーションモードが使用されています。高速モードでは、ソルバーとアダプティブメッシャーを調節して、ソリューション精度を大幅に劣化させることなく、可能な限り迅速に結果を返します。その後、設計が終了間際になると、簡単なスライダーバー設定によってHFSSソルバーを設定し、実績のあるHFSSの高精度機能を使用して検証レベルのサインオフ精度を返します。

 

ANSYS HFSS SBR+
SBR+はSBR(Shooting & Bouncing Ray)技術とともに回折物理理論(PTD、Physical Theory of Diffraction)、回折統一理論(UTD、Uniform Theory of Diffraction)、クリーピング波を同時に一貫性を保って実装できる、商品化されている唯一の電磁界ソルバーです。何百、何千という波長規模になる、電気的に大型のプラットフォームにおいて、設置されているアンテナパフォーマンスのシミュレーションが可能です。

SBRではレイトレーシング技術を用いて、アンテナプラットフォーム上で誘発される表面電流、または導体や誘電からなる散乱形状をモデル化します。SBR+ソルバーを利用することによって、エンジニアは電気的に中規模、大規模、および特大規模のプラットフォームにおいて、設置されたアンテナの遠距離場放射パターン、近距離場分布、アンテナ間カップリング(Sパラメータ)を迅速、正確に予測できます。自動車、航空機、レドームなどの大型構造物で、通信と反射をモデル化できます。HFSS SBR+は、電気的に大規模なターゲットのISAR画像を含め、レーダーシグネチャーを効率的にモデル化する機能も提供します。

回折の物理理論
解析物理理論(PTD、Physical Theory of Diffraction)のウェッジ修正機能を使用して、設置されたアンテナプラットフォームにおけるシャープエッジのPO電流を修正します。

回折の統一理論
エンジニアは発光形状のエッジで作成され、PTDウェッジで特定された回折統一理論(UTD、Uniform Theory of Diffraction)エッジ回折レイをモデル化できます。これは、散乱形状の重要な部分がダイレクトまたはマルチバウンスイルミネーションに隠れるようなケースで重要です。

ANSYS HFSS SBR Reion

レーダーシグネチャー解析のためのANSYS HFSS SBR+クリーピング波物理学
クリーピング波は、湾曲部を持つ対象物からのレーダー散乱の重要な要素です。レーダー信号が曲線的なターゲットに衝突すると、対象物上で誘発された電流が裏側に到達し、遅延信号エコーが生じます。電気的に大規模なターゲットをモデリングする場合、HFSS SBR+のようなレイトレーシングアプローチを用いてレーダーシグネチャーをモデリングする必要があります。しかし、従来のレイトレーシングアプローチでは、裏側の電流や、それがターゲットにおける散乱に及ぼす影響をモデリングする方法がありませんでした。HFSS SBR+に搭載されたクリーピング波物理学は、レーダー散乱のこの重要な特性をとらえるために、画期的な役割を果たします。大規模なターゲットのレーダーシグネチャーのモデリングにおいて、従来得られなかった正確さを実現します。

クリーピング波物理学 - HFSS

HFSSによるレーダー処理のためのACT拡張機能 - RadarPreとRadarPost
HFSSとHFSS SBR+は、航空機、自動車、船舶のような大規模なターゲットのレーダー断面(RCS)と時間領域レーダー応答のモデリングができる強力な機能を備えています。時間領域範囲のプロファイルが関係するレーダーシグネチャー、逆合成開口レーダー(ISAR)プロット、滝または正弦グラフプロットは、レーダーの設計とステルス性に関する洞察をもたらします。RadarPreツールキットとRadarPostツールキットは、こうした複雑なレーダーシミュレーションの設定プロセスを簡素化および迅速化するとともに、後処理を効率化してグラフィックス豊かな解析結果を提供します。この2つのACTツールキットは、ANSYS Electronics Desktopの標準導入に含まれています。

加速ドップラー処理
加速ドップラー処理(ADP、Accelerated Doppler Processing)は、ADAS、自律走行車両およびその他の近距離場レーダーシステムに使われている長距離、中距離および短距離のパルスドップラーおよびチャープシーケンス周波数変調連続波(FMCW)レーダーのシミュレーションを100倍以上高速化します。ADPでは、ANSYS Electronics Desktopの統合範囲ドップラー画像マップ後処理機能とアニメーションを使用しています。ADPとともに、ゲインと自己相互作用のアンテナリンクにより、レーダー設計プロセス全体を合理化します。これによって、インストール済みの性能モデリングおよびレーダー環境範囲ドップラーシミュレーションにおいて、レーダーセンサーシミュレーション結果をシームレスに使用することができます。そのワークフローは、レーダーセンサー設計者とセンサーが車両と大規模環境レーダーシミュレーションに統合されているOEMとのコラボレーションを容易にします。

 

信頼性と自動アダプティブメッシング

エンジニアは正確なソリューションが自動的に得られるということを理解したうえでANSYS HFSSを信頼します。この信頼性の要が自動アダプティブメッシングの精緻化であり、これにより、設計の物理と電磁界に基づいて正確なソリューションが生成されます。どのような構造メッシュで正確なソリューションを取得すればよいか、エンジニアが理解していることが前提となる他の電磁(EM)シミュレーションツールとは対照的です。自動アダプティブメッシングはロバスト性の高いメッシュ技術であり、正確さが保証された効率的なメッシュを可能な限り迅速に生成します。形状をインポートするか作成し、材料、境界条件、励振、関連周波数帯域を指定するだけで、あとはすべてHFSSが処理します。

インポートしたCAD形状の「ヒーリングとクリーニング」の必要性を最小限にとどめるためにHFSSには、強力で柔軟性のあるTAUメッシュ技術が採用されています。TAUフレックスは、「最も粗い」モデルから高い信頼性を持った初期メッシュを迅速に生成できるため、HFSSの正確で信頼性の高いソルバー技術に基づいて、ソリューション処理を素早く進めることができます。

HFSSの機能:自動アダプティブメッシング

ユーザー環境の最適化

フル機能搭載の3次元ソリッドモデラーおよびレイアウトインターフェースは、レイアウト設計フローの作業や3D CADの形状のインポートと編集を可能にします。

HFSS 3Dモデラー:この3次元インターフェースは、アンテナ、RF/マイクロ波コンポーネント、バイオメディカルデバイスといった高周波コンポーネントのシミュレーションのために、複雑な3次元形状のモデル化やCADの形状のインポートを可能にします。散乱行列パラメータ(S, Y, Zパラメータ)の抽出、3次元電磁界(近傍界と遠方界)の可視化、回路シミュレーションにリンクするANSYS Full-Wave SPICEモデルの生成が可能です。

HFSS 3Dレイアウト:HFSS 3Dレイアウトは、PCB、ICパッケージ、オンチップ受動素子の積層形状に対して最適化されたインターフェースです。フルウェーブまたは放射効果を含め、PCBとパッケージのシグナルインテグリティ解析に適しています。複雑なブレイクアウト領域を持つ高速シリアル回線、参照が不十分な伝送線路からパッチアンテナ、ミリ波回路まで幅広い用途があります。エンジニアは形状を作成するかインポートすることによって、電磁界の挙動を解析し、放射電磁界を表示し、インピーダンスと伝播定数を調べ、Sパラメータを突き止め、挿入損失やリターンロスを計算することができます。

モデルのアセンブリとレンダリングはレイアウト環境で処理されますが、軌跡の厚さとエッチング、ボンドワイヤ、はんだボールといった3次元機能を含む、すべての効果は厳密にシミュレーションされます。レイアウト形状は、スタックアップとビア、ピン、トレース、ボンドワイヤなどの専用基本要素を使用して、主に2.5次元で記述されます。エディターは完全にパラメトリックなので、掃引、最適化、または実験計画法(DOE)に応じて、トレースの幅や厚さを容易に変えたり、パラメータ化することができます。3DレイアウトのHFSSソルバーには、PCBやパッケージ構造専用の機能が多数あります。積層形状と集積回路要素用に最適化された高度なメッシュ技術、離散コンポーネントをモデル化するためのSパラメータなどです。

システム性能を正確に予測するには、統合環境におけるコンポーネントとサブシステムの電気的相互作用を解析することが重要になる場合があります。HFSS 3Dレイアウトを使用すると、PCBアセンブリ、接続ボード、IC、離散コンポーネントを作成できます。このアプローチにより、概念図を作成しなくても、3Dコネクターモデルを選択してPCBに配置できます。電気関係のエンジニアは長年、概念図に基づく設計エントリーを使用して、プリント基板、ICパッケージ、コンポーネントのモデルを接続しています。比較的単純な設計であれば、それでも問題ありませんが、設計の規模と複雑さが増すほど、煩雑になり、エラーが生じやすくなります。レイアウト方式で組み立てる場合は、形状に基づいてピン接続が自動的に設定されます。アセンブリの作成後は、HFSS 3Dレイアウトで各コンポーネントに合わせて様々なソルバーを起動したり、形状を組み合わせて一緒に解析したりできます。

HFSS 3Dレイアウトのインターフェースから、HFSS、SIwave、Planar EMなどが含まれる、大規模なソルバーリストにアクセスできます。したがって、高速なSIwaveの解析を利用する反復設計、HFSSを利用する厳格な検証などをすべて同じ設計と形状から実施できます。

Gallileo Board

3Dコンポーネント

ANSYS 3Dコンポーネントは、ANSYS HFSSでの電磁界シミュレーションに再利用しやすい、大型シミュレーションの離散サブコンポーネントを表します。3Dコンポーネントは、材料特性、境界条件、メッシュ設定、励振、離散パラメトリックコントロールをカプセル化できます。アンテナ、コネクター、さらにチップコンデンサー、インダクタ、離散LTCCフィルターなどの表面搭載デバイスの設計再利用に便利です。ANSYS 3Dコンポーネントは、業界全体のコラボレーションを可能にするために、パスワード保護、ファイル暗号化、作成設定値を使用し、コンポーネントのエンドユーザーにどの機能を表示するかを個別に制御するように作成できます。ただし、HFSSシミュレーションエンジンはシミュレーションにおいて、コンポーネント全体を完全に認識するので、全面的に結合された完全な電磁界シミュレーション結果が得られます。

ANSYS 3Dコンポーネントは、プラグアンドプレイ式モジュールとして実装される、シミュレーションの構成要素とみなすことができます。3Dコンポーネントは完全に結合された電磁界解析を提供するので、テストフィクスチャにおけるコンポーネントの反応を提供するだけのSパラメータモデルより明らかに有利です。システムシステムインテグレーターは、航空機搭載アンテナの3Dコンポーネントなど、システムにコンポーネントを追加するだけで、搭載されたアンテナの性能をシミュレーションできます。しかも、シミュレーション結果はANSYS HFSSでシミュレーションした、完全に結合された正確なモデルになるという確信を持って、シミュレーションを実行できます。

個々のコンポーネントのベンダーと開発者は、ANSYS HFSSでシミュレーションに対応する3Dコンポーネントを作成し、エンドユーザーに提供して、大型システムシミュレーションで参照させることができます。3Dコンポーネントを介したこのコラボレーション能力によって、ベンダーはお客様にHFSSシミュレーション対応モデルを提供し、最初の設計で成功させる重要な優位性を与えることができます。

ANSYSのパートナーであるModelithics® によって、HFSS 3Dコンポーネントのライセンスライブラリが提供されています。このライブラリには、Barry QFNパッケージ、RJR QFNパッケージ、Coilcraftインダクタ、Johansonキャパシター、Mini-CircuitsフィルターおよびGigalane同軸コネクターのモデルが用意されています。詳細は、下記のModelithicsウェブサイトをご覧ください。www.Modelithics.com/model/models3D

HFSSの3Dコンポーネント

高度なフェーズアレイアンテナシミュレーション

ANSYS HFSSにおいて、エンジニアは高度な単位セルシミュレーションを使用し、相互結合、アレイ格子定義、有限アレイエッジ効果、ダミー要素、要素ブランキングなどを含め、あらゆる電磁効果とともに、無限/有限フェーズアレイアンテナのシミュレーションを実施できます。候補となるアレイ設計で、任意のビームスキャン条件に基づき、あらゆる要素の入力インピーダンスを検証できます。フェーズアレイアンテナは、関連するスキャン条件での遠距離場および近距離場パターンの挙動と一致する要素(受動または駆動)に基づき、要素、サブアレイ、またはアレイ全体のレベルで、パフォーマンスに合わせて最適化できます。

無限アレイモデル化には、単位セルに1つ以上のアンテナ要素を配置する必要があります。セルには、磁場をミラーリングするために、周壁に周期境界条件が組み込まれ、無限数の要素が生成されます。すべての相互結合効果を含む、要素スキャンインピーダンスと埋め込み要素の放射パターンを計算できます。この手法は、一定のアレイビームステアリング条件のもとで発生する可能性がある、アレイ不感スキャン角度を推測する場合に非常に役立ちます。

有限アレイシミュレーション技術は、領域分割と単位セルを活用して、有限サイズの大型アレイのための高速ソリューションを取得します。この技術は、すべての相互結合、スキャンインピーダンス、素子パターン、アレイパターン、アレイエッジ効果を推測する完全なアレイ解析の実行を可能にします。

高度なフェーズアレイアンテナシミュレーション

ハイパフォーマンスコンピューティング

Electronics HPC

ANSYS Electronics HPCにより、最も厳しく困難なモデル、すなわち形状の詳細が多く、システムが大型で物理的に複雑なモデルの解析を並行処理できます。ANSYSは単純なハードウェア高速化の範疇を大きく超えて、マルチコアマシン用に最適化され、フルコンピューティングのクラスタの能力を活用できるスケーラビリティを備えた、画期的な数式ソルバーとHPC手法を提供する領域に到達しています。必要なHPCの容量は、単純に解析で使用するコアの合計数で決まり、使用するHPC技術とは無関係です。

マルチスレッド化:ANSYS Electronics HPCは、解析時間を短縮するために、単一のコンピュータで複数のコアを活用します。マルチスレッド化技術は、メッシュ生成の初期処理、マトリクス解析、磁場回復を高速化します。

スペクトル分解法:スペクトル分解法(SDM)は、並列計算コアとノードで複数の周波数ソリューションを分布させて、周波数掃引を加速させます。マルチスレッド化と並行してこの方式を利用することによって、個々の周波数ポイントの抽出を高速化しながら、SDMでマルチ周波数ポイント抽出を並行処理できます。

領域分割法:領域分割法(DDM)は、複数のコアとネットワーク化されたノードにわたってシミュレーションを分布することで、規模と複雑さが増した形状のためのソリューションを加速させます。この方式は基本的に、分散メモリを使用する大規模な問題に取り組むためのものです。マルチスレッド化やSDMと組み合わせて、シミュレーションのスケーラビリティとスループットを向上させることもできます。

周期的領域分割:周期的領域分割は、DDMをアンテナアレイや周波数選択表面などの有限周期構造に適用します。この手法では、周期的構造の単位セルの形状とメッシュを仮想的に複製し、すべての要素に特有の磁場を解析するために、DDMアルゴリズムを結果的に生じた有限サイズのアレイに適用します。シミュレーションのキャパシティとスピードが大幅に向上します。この手法をマルチスレッド化やSDMと組み合わせると、ソリューションがさらに高速になります。

ハイブリッド領域分割法:Hybrid DDMは、有限要素(FE)と積分方程式(IE)領域を含むモデルに対して領域分割法を使用します。アドオンのHFSS IEソルバーは、非常に大規模なEM問題を解析できる、HFSSモデルを作成する場合に使用します。この手法では、複雑な形状を処理するFEM機能の効果とアンテナやレーダー反射断面積解析のためのMoMの効率的なソリューションを組み合わせます。Hybrid DDMをマルチスレッド化やSDMと組み合わせると、ソリューションがさらに高速になります。

分散型ダイレクトマトリクスソルバー:分散型ダイレクトマトリクスソルバーは、HFSSおよびHFSS-IEソルバーに対応する、分散型メモリ並列技術です。このマトリクスソリューションは、複数のコアまたはMPI統合コンピュータにわたって分散されます。MPIメモリアクセスの向上によってスケーラビリティが向上し、MPIネットワークコアアクセスの向上によって高速化された、きわめて正確なダイレクトマトリクスソルバーソリューションになります。このような分散型メモリマトリクスソルバーをマルチスレッド化やSDMと組み合わせると、シミュレーションのスループットがさらに向上します。

分散型メモリマトリクスソルバー:分散型メモリマトリクスソルバー(DMM)は、HFSSに対応する分散型メモリ並列技術です。有限要素法(FEM)および積分方程式(IE)が含まれます。このマトリクスソリューションは、MPI統合計算ノードの複数のコアにわたって分散されます。MPIメモリアクセスの増加とネットワーク化により、各ノードのメモリフットプリントを縮小するだけでなく、スケーラビリティとスピードを向上させます。DMMソルバーは自動HPC技術に統合されており、スペクトル分解法(SDM)と直交的に組み合わせると、シミュレーションのスループットがさらに向上します。

クラウドHPC: ANSYS Cloudサービスにより、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)へのアクセスと利用が極めて容易になります。これは、HPC向けの代表的なクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureとのコラボレーションにより開発されました。これは、Electronics Desktopに統合されているため、設計環境から無制限にオンデマンドで演算パワーにアクセスすることができます。詳細は、ANSYS Cloudのページをご覧ください。

DDMはメッシュサブドメインソリューションをネットワーク、コンピュータコアを含め、複数に分散させます
DDMはメッシュサブドメインソリューションをネットワーク、コンピュータコアを含め、複数に分散させます。このようなサブドメインの解析を並行処理することによって、シミュレーションキャパシティとスピードの大幅な向上を実現できます。

RFオプション

HFSSと統合されたANSYS RFオプションは、エンドツーエンドの高性能なRFシミュレーションフローを構築します。干渉の原因が複数ある複雑なRF環境において、RFシステムパフォーマンスを推測する、独自のマルチフィデリティアプローチであるANSYS EMITが含まれ、RFI問題の根本原因を迅速に特定するために必要な診断ツールを提供します。RFオプションには、ハーモニックバランス回路シミュレーション、2.5DプラナーMethod of Moments(モーメント法)ソルバー、フィルター合成などが含まれます。

RFオプション機能

EMIT

  • RFリンクバジェット解析
  • 組込み無線伝播モデル
  • RFコサイトとアンテナの共存解析
  • 迅速な根本原因解析のための自動診断
  • 潜在的な改善手法の迅速な評価と比較
  • RF無線およびコンポーネントライブラリ
  • マルチフィデリティ挙動の無線モデル
  • アンテナ相互結合モデル

回路解析

  • 線形
  • トランジェント(過渡)
  • 多重連続オプションを用いたDC解析
  • マルチトーンハーモニックバランス解析

シューティング法

  • 発振器解析

自律プラス駆動ソースオプション

  • 時間依存性ノイズおよびフェーズノイズ解析
  • エンベロープ解析

多重搬送波変調のサポート

  • ロードプル解析とモデルのサポート
  • 周期伝送関数解析
  • トランジェント解析(過渡解析)
ANSYS EMITでは、無線周波数干渉を含め、RF環境全体を解析します
ANSYS EMITでは、無線周波数干渉を含め、RF環境全体を解析します。

SIオプション

ANSYS SIオプションと組み合わせたHFSSは、シグナルインテグリティ、パワーインテグリティ、さらにPCB、電子パッケージ、コネクター、その他複雑な電子的インターコネクトにおける縮小タイミングとノイズマージンに起因して発生するEMI(電磁妨害)問題の解析に最適です。SIオプションと組み合わせたHFSSは、Die-to-DieからIC、パッケージ、コネクター、PCBに至るまで、最新のインターコネクト設計の複雑さに対応できます。強力な回路/システムシミュレーションに動的に結合される、HFSSの先進的な電磁場シミュレーションを活用することによって、エンジニアはハードウェアのプロトタイプを製作するよりかなり前の段階で高速電子製品のパフォーマンスを確認できます。このアプローチにより、電子機器メーカーは市場投入までの期間の短縮、コストの抑制、システムパフォーマンスの改善を実現できます。その結果、競争力を大きく伸ばすことに成功しています。ANSYS SI Optionによって、HFSSにトランジェント回路解析が追加されます。その結果、エンジニアはチャネルとともに駆動回路を含めた高速チャネル設計を作成できます。駆動回路は、トランジスターレベル、IBISベース、または理想ソースが可能です。このようなチャネルで解析を実行する場合は、各種解析タイプから選択できます。

  • 線形ネットワーク解析(HFSSに組込み)
  • トランジェント解析(過渡解析)
  • 高速チャネル設計、バスタブ曲線、ジッター、アイマスクにおける、アイの高速生成のためのQuickEyeおよびVerifEye解析
  • Spectre®とHSPICE®機能に対応するモンテカルロ解析
  • 自動収束によるDC解析
  • ANSYS Q3D ExtractorとANSYS SIwaveによるダイナミックリンク
  • IBIS-AMI解析とモデルのサポート
DQ、DQS、タイミングアイパターンを示す、ANSYS SIと組み合わせて実行するDDR3シミュレーション
DQ、DQS、タイミングアイパターンを示す、ANSYS SIと組み合わせて実行するDDR3シミュレーション。

マルチドメインシステムのモデリング

ANSYS Simplorerは、システムレベルのデジタルプロトタイプのモデリングとシミュレーションに対応する強力なプラットフォームで、ANSYS Maxwell、ANSYS HFSS、ANSYS SIwave、およびANSYS Q3D Extractorと統合されています。エンジニアはソフトウェア制御下のマルチドメインシステム性能を検証し、最適化できます。柔軟性に優れたモデリング機能と、ANSYS 3D物理シミュレーションとの緊密な統合によって、Simplorerはシステムレベルの物理モデルの組み立てとシミュレーションを広範にサポートし、コンセプト設計、詳細解析、システム検証間の相互関係を打ち立てることができます。Simplorerは、電化システム設計、発電、電力変換、電力貯蔵および配電の用途、EMI/EMC調査および一般的なマルチドメインシステム最適化と検証に最適です。

Simplorerの機能:

  • 回路シミュレーション
  • ブロック図シミュレーション
  • ステートマシンシミュレーション
  • VHDL-AMSシミュレーション
  • 統合グラフィカルモデリング環境

モデルライブラリ

  • アナログとパワーエレクトロニクスコンポーネント
  • コントロールブロックとセンサー
  • 機械コンポーネント
  • 油圧コンポーネント
  • デジタルとロジックブロック

用途固有のライブラリ

  • 航空宇宙電気ネットワーク
  • 電気自動車
  • 電力システム
  • 特性化したメーカーコンポーネント
  • 次数低減モデリング
  • パワーエレクトロニクス機器とモジュールの特性評価
  • MathWorks Simulinkとのコシミュレーション
マルチドメインシステムのモデリング

EMI Scanner

この機能により、PCBの自動的かつカスタマイズ可能なEMI設計ルールチェックを行うことができます。EMI Scannerを利用すると、シミュレーションに先立ち、PCB設計において干渉が発生する可能性のある領域を迅速に特定できます。EMIの問題は従来、シミュレーションが困難で、計算に何時間もかかりました。ANSYS SIwaveとANSYS HFSSに搭載されているこの新機能によって、さらなる調査が必要な潜在的トラブルスポットを迅速に特定できます。したがって、エラーを排除し、開発期間を短縮できます。