国⽴⼤学法⼈東京⼯業⼤学様

精度だけではない、ANSYS Maxwell の使いやすさと習得しやすさが研究を加速する

国立大学法人東京工業大学 未来産業技術研究所 進士研究室は、機械工学およびメカトロニクスの研究室として、精密・マイクロ機械要素や新原理アクチュエータの基礎研究を進め、補助人工心臓の研究開発、レーザー加工機、放電加工機、非接触ポンプなどの医工連携、産学連携による先進的で実践的な研究開発を行っている。研究室を率いる進士忠彦教授が、こうした基礎/応用研究開発において活用しているのが、電磁界解析ツール「ANSYS Maxwell」である。機械工学分野における電磁界解析ツールの利用が珍しかった約20年前からのユーザーという進士教授に、大学での研究における電磁界解析ツール利用や、ANSYS Maxwellの利点についてお話を伺った。

国⽴⼤学法⼈東京⼯業⼤学 未来産業技術研究所 教授
博⼠ (⼯学)
進⼠ 忠彦 ⽒

使いやすさに秀でるANSYS Maxwell

進士教授がANSYS Maxwellを使うようになったきっかけは、1996年ころ、ある企業から磁石でできた送りネジの磁場解析を依頼されたことによる。当時ほかの解析ツールも使っていたが、ソルバーとプリポストツールが別の会社のものでデータ連係が悪く、またモデルを作ること自体も大変だった。そのため、うまく解析できなかった場合に、メッシュを切り直すのにも手間がかかるという課題があった。「その時点でANSYS Maxwell は、モデルを作った上、精度が出なければ⾃動的にメッシュを切り直す“オートメッシュ機能” を備えており⾰新的でした」。その後数年のうちに電磁界解析ツールは、ANSYS Maxwellをメインに使用するようになったという。

現在、進士研究室が取り組んでいる専門研究分野は、磁気軸受や、加工機の加工部分の位置を調整するための電磁アクチュエータ、小さな磁石を使った電磁力駆動MEMS(Micro Electro Mechanical System)だ。磁気軸受けは磁力で回転体を浮かせることで摩擦がなくなり、モーターやポンプを長寿命にすることができる。この特長を生かして補助人工心臓向けの血液ポンプへの応用を進めている。電磁アクチュエータは、レーザーや放電で対象物を切ったり穴を開けたりするレーザー加工機/放電加工機において、焦点やスポットの位置を電磁石で上下左右に精密に制御するための装置。電磁力駆動MEMSは、薄膜永久磁石を使った、リニアモーターやポンプ、アクチュエータなどの超小型デバイス。そうした研究のすべてにおいて、電磁界解析ツールをフル活用している。

⼈⼯⼼臓⽤磁気軸受の磁場解析結果
⼈⼯⼼臓⽤磁気軸受の磁場解析結果

オートメッシュ機能による手間の削減、というメリットに魅力を感じてANSYS Maxwellを使い始めた進士教授だが、20年も使い続けているのには、もちろんそれだけにとどまらない理由がある。解析ツールとして最も重要な精度がきちんと出ることと、使いやすさやマン・マシン・インターフェースが優れていることだ。

精度については、シミュレーション結果は最終的に実験で検証しているが、最近では10%以上のずれが起きたことはない。むしろ、実験結果がシミュレーションと20%も30%もずれた場合は、実験の不備を疑っているという。これは学生がすべて実験に習熟しているわけではなく、教員も学生の実験を終日チェックすることは不可能なため、両者の結果に乖離が大きいときに確認すると、実験側の不備であることが多いという。「昔はシミュレーション結果を疑ったのですが、そのあたり(の認識)は変わってきました」。

使いやすさでは、研究室に新しく来た学生に対して、特に何も教えなくても導入から実際の解析まで学生自身がマニュアルを見て進められるところを評価している。基本的な3次元の静磁場解析であれば2、3日で使えるようになる。ANSYS Maxwellを触り始めて1週間ほどで解析データを出してくるようになるという。「すぐバグが出たり使い方が難しいツールだと、学生がそこでやめてしまってアウトプットが出てきません。そうなると『どうなってるの?』と教員が入ってサポートしなくてはなりません。その点で(ANSYS Maxwellは)『マニュアルを見てやってみなさい』と伝えた後、周りの先輩に聞けばもう解析ができるというような使いやすさがあります」。

解析ツールによるものづくりが当たり前の時代

企業の製品開発において解析ツールの利用は当たり前のことになってきたが、それは大学の研究開発においてもまったく同じだ。「僕らは最終的にものを作らなくてはなりません。ただ、試作にはものすごく時間と労力がかかります。だから、解析ツールを使って、シミュレーションの範囲で予測できることはすべて予測してからやっと試作をする。もう機械工学ではシミュレーションありきですね。磁場解析だけでなく、流体でも構造でも伝熱でも解析ツールは使いやすくなっていますし、スーパーコンピュータを使わなくても十分計算できます。計算できることは計算してからものを作る。そこでまた新しいことが出てきたら考える。ものづくりにおいて解析ツールを使うことは当たり前のことです」。

東京工業大学では進士研究室以外にも、学術国際センターが運用しているクラスタ型スーパーコンピュータ「TSUBAME」にはANSYS Mechanical and CFDが導入されているが、電磁界製品も次期システムで搭載を予定している。また機械系学生の導入教育においても、3D CADで作ったモデルで構造解析を行い、試作して実験するといった授業も行われている。解析ツールを使ってシミュレーションしてものを作ることは、かつては大企業しかやらなかったことだが、今では中小企業はもちろん、学生にとっても、シミュレーションによるものづくりはごく普通のことになっているのだ。解析ツールを使った経験を持つ学生は、ものづくり企業から即戦力として期待される人材と言えるだろう。

ANSYS Maxwell で設計したMEMS リニアモータ。正⽅形4 x 4mm のチップが磁⽯膜を堆積したリニアスライダ
ANSYS Maxwell で設計したMEMS リニアモータ。正⽅形4 x 4mm のチップが磁⽯膜を堆積したリニアスライダ

磁⽯膜着磁⽤コイル設計(磁場解析結果)
磁⽯膜着磁⽤コイル設計(磁場解析結果)

使用したANSYS 製品

製品使用における利点

  • オートメッシュなど機能の使いやすさ/手間の軽減
  • 解析精度の高さ
  • 習熟の容易さ
国⽴⼤学法⼈東京⼯業⼤学 未来産業技術研究所
国⽴⼤学法⼈東京⼯業⼤学 未来産業技術研究所
http://www.first.iir.titech.ac.jp/


所在地:
〒226-8503 神奈川県横浜市緑区長津田町4259

明治14年(1881年)に東京職工学校として設立され、以来135年に及ぶ歴史を持つ。幾度かの改称を経て、昭和4年(1929年)に東京工業大学となった。国内トップクラスの理工系大学であり、東京・大岡山、田町、神奈川・すずかけ台の3つのキャンパスには、学士課程約5,000人、大学院課程約5,000人が学ぶ。「世界最高の理工系総合大学」の実現を長期目標として掲げている。未来産業技術研究所は、28年4月から新たに発足した研究所で、機械工学、電気電子工学、金属工学、情報工学、環境工学、防災工学、社会科学等の異分野融合により、その時代に適合する新たな産業技術を創成し、豊かな未来社会の実現を目指している。

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