サントリー⾷品インターナショナル株式会社様

ANSYS Fluent を使った蒸気加熱殺菌⼯程の解析が
お客様に届けたいおいしさのバリエーションを拡⼤

サントリーといえば、⽇本の洋酒⽂化を切り拓き⼩説やドラマの題材にもなった創業者で初代社⻑の⿃井信治郎⽒の⽴志伝と、その⿃井⽒がよく⼝にしたという⾔葉 “やってみなはれ”で有名だ。現状に⽢んじることなく新しいものへ挑戦し続けようという “やってみなはれ” の精神は、研究開発こそがメーカーの命であるという、現在まで続くサントリーグループのモットーにもつながる。また品質保証に関しても品質第⼀を商売の基本と考えている。

そうした研究開発や品質保証を重視するサントリーグループにおいて、酒類を除く飲料事業と⾷品事業のグローバル展開を担当しているのがサントリー⾷品インターナショナル株式会社だ。同社で国内事業の品質トラブル対応や⼯程の整備、商品の品質を保ちながらよりよい価値を顧客に届けるための⽣産⼯程改善などを受け持つのが品質保証技術部である。そこでは、「ANSYS Fluent」を活⽤することで加熱殺菌⼯程を最適化し、商品価値を⾼めることにつながる成果を得たという。当時、品質保証技術部でこの技術開発を担当した、現︓MONOZUKURI本部 品質保証部の⻄井進⼀郎⽒にお話を伺った。

サントリー⾷品 インターナショナル株式会社 MONOZUKURI 本部 品質保証部 ⻄井 進⼀郎 ⽒ サントリー⾷品 インターナショナル株式会社
MONOZUKURI 本部 品質保証部
⻄井 進⼀郎 ⽒

シミュレーションで巨⼤な蒸気釜の中の熱の伝搬を⾒える化

⻄井⽒がANSYS Fluent を適⽤したのは、レトルト殺菌と呼ばれる⼯程だ。レトルト殺菌とは、中⾝を満たした数万個の⽸コーヒーを巨⼤な円筒形の釜の中に⼊れ、蒸気と圧⼒によって⽸ごと加熱加圧殺菌するもので、釜の中にどれだけの蒸気を⼊れて、どのように脱気(釜の中の空気を抜くこと)すればよいのかが重要となる。従来は、釜の中にいくつもの温度計を⼊れて実験し、その値を⾒ながら蒸気の出し⼊れのタイミングを決めていたが、温度計をいくつも仕掛けるには⼤きな⼯数がかかるうえ、テストに必要な多数の⽸コーヒーにもコストがかかる。さらに、温度計を仕掛けたピンポイントの場所でしか状態を追いかけることができないという課題があった。

そのため、釜の中の蒸気の状態を⾒える化したい、テストに必要なコストも減らしたい、と考えたのが、シミュレーションを使うきっかけだった。これには、⻄井⽒が品質保証技術部の前に⽣産⼯場でレトルト設備を更新する⼯事に携わっていた経験も影響している。「設備メーカーさんに『(レトルト設備で)設計のあるべき姿は︖』と聞いても、そのあたりは経験則でやっておられるので『昔からこうなってます』というような答えしかもらえませんでした。それがもどかしく感じて、ユーザー側からも『設計はこうあるべきじゃないか』という提案をしたいと思いました。それでANSYS Fluent を使って、最適な設計を提案できないかと考えたのが一番大きいですね」(西井氏)。

レトルト殺菌機 外観
レトルト殺菌機 外観

多くの熱流体シミュレーションツールから ANSYS Fluent を選択したのは、最⼤⼿の熱流体シミュレーションツールとしての実績が豊富だったことはもちろん、⻄井⽒が学⽣時代に使⽤経験があってなじみがあったことに加え、サントリーグループ内の別部署で、PET ボトルを薬剤で殺菌する⼯程の解析に使われていたことが理由だ。

ANSYS Fluent で⽸コーヒーをさらにおいしく

⻄井⽒が ANSYS Fluent でレトルト釜の解析をしようと、アンシス・ジャパンに相談したのは 2015 年の秋だった。かなり難しい計算になるとの返事をもらったが、⻄井⽒にはこれが解析できれば⾮常に⼤きな効果が得られると確信して、アンシスのサポートを受けながら⼀筋縄ではいかない解析に取り組んだ。この解析におけるハードルは⼤きく 2 つあった。1 つは、直径が 2 メートル、⻑さ 8 メートルほどもある⼤きな釜の中に、いくつかのカゴに分けて詰め込まれた 4 万⽸以上の⽸コーヒーがあり、その隙間を蒸気が通り抜けるという、構造の複雑さ。もう 1 つは、蒸気が⽸の表⾯で⽔になったり蒸気になったりする相変化を考慮しなくてはならないことだった。

実験による実測データとシミュレーションの結果に乖離があったが、アンシス・ジャパン担当のサポートも得ながら、1 年ほど掛けて相関性の⾼いシミュレーションができるようになった。そこで、いくつもレトルト設備の設計をシミュレーションで解析し、最も早くすべての⽸を加熱できる設計を特定することができた。加熱が早いということは、殺菌の加熱時間を短縮できることになり、結果として商品であるコーヒーのおいしさを向上させることにつながるのだという。これは、⻄井⽒をはじめとした品質関連部隊のトップスローガンである「安⼼で⼼に響く商品をお客様に提供する」ことに直結する成果だ。また、レトルト設備は⼤量の蒸気を使うため、加熱殺菌が短時間で済めば使⽤する蒸気量も減り、コスト削減効果も期待できる。

「商品開発においては、お客様に届けたいものが、加熱が壁となって届けきれないことがありました。そこに切り込んで、商品バリエーションの拡⼤へ挑戦できるということが、今回の⼀番の価値ではないかと思っています。創業者の⿃井信治郎が掲げ続けていた “やってみなはれ “をまさに体現できる課題となりました」(⻄井⽒)

この成果は経営層も出席する社内の報告会で発表し、表彰も受けるなど⼤きな評価を得ている。また、他の部署からシミュレーションについての相談を受ける機会も増えたという。⻄井⽒が解析した結果を基に、これから、レトルトの設計変更に向けた実機検証を⾏う計画があるという。

⻄井⽒は 2017 年 9 ⽉に MONOZUKURI 本部 品質保証部に異動した。以前の品質保証技術部は国内事業を受け持っていたが、MONOZUKURI 本部は国内の⽣産や品質保証の技術を海外グループ企業に広めていく役割だ。⽴場も状況も変わるが、シミュレーションの可能性への期待は変わらない。「今回の成果を海外展開したいと思っていますが、レトルト殺菌を使う海外の⼯場は多くありません。⼀⽅で東南アジアなどでは、まだ⼀世代前の設備を使っている⼯場があるので、シミュレーションを活⽤してそうした設備の最適な使い⽅を提案することができると考えています」(西井氏)。

⽸製品の蒸気加熱殺菌機(レトルト殺菌機)における熱流体解析
⽸製品の蒸気加熱殺菌機(レトルト殺菌機)における熱流体解析

使用したANSYS 製品

ANSYS による主な利点

  • 実績ある熱流体解析機能と精度
  • 丁寧なサポート
  • 実測が困難な現象の可視化
サントリー⾷品 インターナショナル株式会社 サントリー⾷品
インターナショナル株式会社

http://suntory.jp/sbf/

所在地:
〒104-0031 東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン9F

2009年に設⽴されたサントリー⾷品インターナショナル株式会社は、酒類、飲料、⾷品、⽂化事業などを⾏うサントリーグループの中核を担う企業であり、⽇本をはじめ世界各地で⾷品および酒類を除く飲料事業を展開する。強⼒な研究開発体制と徹底した品質保証が特徴で、国内外に数多くの有⼒飲料ブランドを持ち、優れたマーケティング⼒を活⽤してさまざまな地域のニーズや嗜好に合わせた商品を提供している。サントリー⾷品インターナショナルのグループ企業は 115 社、従業員 2万 3,850 ⼈、連 結 売 上 ⾼は1 兆4,108 億円(数字は 2016 年12⽉末時点)にのぼる。

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