サンメディカル技術研究所様

日本発の補助人工心臓の開発・設計効率化と複雑な製品の特徴を明快にして
顧客との円滑なコミュニケーションをサポートする ANSYS 製品群

サンメディカル技術研究所が手がけるのはただひとつ、体内埋め込み型の補助人工心臓「EVAHEART(エヴァハート)」である。補助人工心臓とは、自分の心臓では血液の循環ができなくなってしまった非常に重症な心不全の患者さんが、ドナーが現れて最終的な治療として心臓移植手術を受けるまでの平均約3 年間、自身の心臓を残したままでその血液循環機能を補助するポンプの働きをする医療機器だ。

以前の補助人工心臓は体外設置型で、体の外にあるポンプと太い人工血管でつながれていたが、体外設置型の人工心臓はいったん取り付けると心臓移植を受けられるまでずっと入院し続けなくてはならず、また行動の制限も多かった。これに対してサンメディカル技術研究所が手がける体内埋め込み型は、ポンプ機能を手術で体内に入れ制御装置だけを体外に出す仕組みで、手術後に退院して自宅で家族と過ごしたり、経過が良ければ社会復帰もできることから、体外設置型に替わって利用が増えている。当然ながら一度体内に入れて動かしたら、心臓移植手術まで一瞬たりとも止めることはできない。医療機器として最高クラスとなる高度管理医療機器で保険適用対象の生命維持装置でありながら、在宅でも使われるという極めて特殊な製品である。

サンメディカル技術研究所はおよそ1年前、ANSYS の流体解析ツール ANSYS Fluent、電磁界解析ツール ANSYS Maxwell、構造解析ツール ANSYS Mechanical を導入した。それまで外部に委託していた解析を社内で行うことにした理由やその効果について、同社開発グループ兼海外事業グループ グループリーダーで工学博士の金箱秀樹氏と、開発グループ 設計開発チームの鈴木竜太氏に伺った。

株式会社サンメディカル技術研究所 開発グループ兼海外事業グループ
グループリーダー 工学博士
金箱 秀樹 様

開発グループ
設計開発チーム
鈴木 竜太 様

新しいモデルの開発の効率化を目的に導入

EVAHEART の現行モデルの開発において、シミュレーションの利用は一部を外部の研究機関に委託する程度だった同社だが、流体、電磁界、構造まで一気にツールをそろえた理由は何だろうか。「新しいモデルの開発に着手しているのですが、ポンプとモーターの設計においてシミュレーションツールを活用して効率的な設計をしたいというのがきっかけです」(金箱氏)。

これまでの具体的な活用としては、モーター開発において設計の一部はモーターメーカーに依頼しているが、社内でも電磁界解析をしてモーターメーカーの設計とつきあわせて検証することや、EVAHEART 独自の機構の一つにポンプを流れる血液とモーター部を分離するシーリングを水を循環させて洗い流すという仕組みがあるが、その洗い流し効果を高めるためにノズル設計の流体解析を行っているという。シミュレーションツールとしてANSYS を選んだのは、「Fluent を使った経験があったこと、外部委託先もFluent を使っていて手本にできると考えました。カバーする製品群の豊富さもポイントでした」(鈴木氏)。

ANSYS は新モデルの開発だけでなく、現行製品に対しても活用している。補助人工心臓の血液ポンプで最も気をつかうのが、血液ポンプ内に血液のかたまり(血栓)ができることだ。血栓ができてしまうと、血流に乗って全身に回り、臓器や脳の血管を詰まらせる事態を引き起こす。血栓は血液の流れがよどむところに出来やすいので、ポンプの回転数や羽根の条件を変えて、流体解析ツールで各所の流速を可視化し、血流のよどみをしっかりと把握できるようにした。この可視化は別の利点も生んでいる。「顧客であるドクターに対して、『我々のポンプはこうなので回転数を変化させてもよどみはこれしかありません』といった分かりやすい説明ができることで、EVAHEART の性能・特徴をよく理解してもらうためのツールとして活用しています」(金箱氏)。説明したドクターから「じゃあこういう状態になったらどうなるの?」と展開していくことも多く、社内で計算ができることは大きな力になっているという。

補助人工心臓の血液ポンプ


医療機器を効率的に開発し早く世の中に出すために

ただ、医療機器業界を見たとき、コンピュータシミュレーションの活用は、実はあまり進んでいないのだという。動物実験をはじめとした生体による試験や臨床の結果や治験のデータに比べるとシミュレーション結果は参考データとしてしか扱われない傾向が強い。そのため医療機器の核になる部分での設計検証にシミュレーションをどんどん活用するのは難しいのが現状だ。金箱氏はこう話す。「最終的には生体を使って評価しなくてはならないにせよ、ポンプやモーター、軸受などの設計において、シミュレーションを使って最適値を求めることは大切です。これを生体による試験の結果と合わせることで、生体による評価をできるだけ省略していかなければ、医療機器を効率的に開発して早く世の中に出していくことは難しいですね」。

こうした課題を認識しつつ、サンメディカル技術研究所ではさらにANSYS ツールの利用を進めていく考えだ。「今までは、試作してそれを検証しての繰り返し。シミュレーションを活用してそこを短縮したり、目に見えない感覚的なものを可視化して、例えば応力が集中しているところを確認することによって、設計の知識化というか、質を上げていくところに発展させていきたいですね。また、現象の解析という面では、何か問題が起きたとき、特に起こった結果は分かるが内部で何が起きたかよく分からないというときに、仮説を立ててシミュレーションし、何か起きたのか理解を深めるツールとして使っていきたいと思います」(金箱氏)。

補助人工心臓の血液ポンプ 補助人工心臓の血液ポンプ

使用したANSYS 製品

製品使用における利点

  • 補助人工心臓内部の血液の流れを可視化
  • 外部設計品の性能を社内で検証
  • 構造解析による外部ユニットの小型軽量化をサポート

サンメディカル技術研究所様 株式会社サンメディカル技術研究所
http://www.evaheart.co.jp/

所在地:
〒392-0012 長野県諏訪市四賀2990

株式会社サンメディカル技術研究所は、東京女子医科大学の山崎健二医師が考案した補助人工心臓の実用化を目的として1991年に設立されたベンチャー企業。独立行政法人科学技術振興機構(JST)や国内の学会の支援を受けながら開発を続け、およそ20年をかけて開発した体内埋め込み型補助人工心臓システム「EVAHEART」は2011年に厚労省の承認を受けた。この分野で、国内で開発・製造し承認をとって販売している唯一のメーカーである。

顧客事例一覧ページに戻る>

※ 本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、その後変更されている可能性があります。予めご了承下さい。

お探しの顧客事例が見つからない場合は、こちらからお問い合わせください。

ANSYSへのお問い合わせは、以下をクリックしてください

お問い合わせ先
Contact Us