株式会社SUBARU様

「ANSYS SCADE」が可能にした、SUBARUのハイブリッドシステム「e-BOXER」開発における工数の大幅な削減

 現在の自動車は電気自動車でなくともコンピュータ化が進み、システムのほとんどは電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)とそのプログラムによって管理されて動いている。株式会社SUBARUは、2013年に発表した同社初のハイブリッド車であるクロスオーバーSUV「SUBARU XV」搭載のハイブリッドシステム開発に当たってモデルベース開発/設計(MBD)手法を取り入れ、開発ツールにANSYSの組込みソフトウェア向けモデルベース開発環境「ANSYS SCADE」を採用した。そして2018年秋発表の「SUBARU Forester」新モデルに搭載した第二世代ハイブリッドシステム「e-BOXER」の開発では、さらに「ANSYS SCADE」の適用範囲を広げ、ECUへのソフトウェア実装において大幅な工数削減に成功したという。非常に複雑なハイブリッドシステム向けECUの開発に、「ANSYS SCADE」はどのような役割を果たし、どのように貢献したのか、同社 第二技術本部 電子技術部 パワーユニット電子技術五課 担当 川上 裕司氏に、東京事業所でお話を伺った。

株式会社SUBARU
第二技術本部 電子技術部
パワーユニット電子技術五課
担当

川上 裕司 氏

ソフトの信頼性確保のため「ANSYS SCADE」を選択

川上氏が在席する電子技術部は、自動車部門のパワーユニット系の制御ソフトウェアとハードウェアを含む、システム全体を開発している部門だ。川上氏のチームは、ハイブリッドECUの基本ソフト部分とアプリケーション実装を担当しており、これまでに株式会社SUBARUが販売しているハイブリッド車のハイブリッドECU(ハイブリッドコントロールユニット)全てに関わってきた。株式会社SUBARUが「ANSYS SCADE」を導入したのは7~8年前、量産というよりも技術の先行開発のためのツールとして採用されたという。

「普通は大手部品メーカーと共同開発することが多いのですが、『SUBARU XV』のハイブリッドシステム向けECUについては内製することになり、基本的に当社でソフトウェアについて全て責任を持って実装しました。そのとき、内製するに当たってソフトウェアの信頼性を確保するためには、先行開発でも使ってきた『ANSYS SCADE』が最適だということで、開発ツールとして採用しました」

アプリケーション実装の自動化による生産性向上

同社のハイブリッドコントロールユニットのアプリケーション開発は、アプリケーションの設計部署がMATLAB/Simulinkで作成した制御のロジックを、SCADE Suite Simulink GatewayによってSCADEモデルに変換し、それをベースとして実装コードを作成する流れとなっている。この流れは初代「SUBARU XV」のハイブリッドシステムでも、今回の新「SUBARU Forester」向け「e-BOXER」でも基本的には同じで、SimulinkからSCADEモデルへの変換やコード生成、実装までのさまざまな手順が、ほぼ手作業なしでできるまで自動化されているのが大きな特徴だ。

「第一世代(のハイブリッドシステム)のアプリケーション実装のときには80パーセントくらいは自動化していたのですが、『e-BOXER』においては第一世代で不十分だったところをどんどん詰めて、およそ95パーセントの自動化ができています。いまではSimulinkモデルを受け取ってからハイブリッドシステム用のコントロールユニットに実装するまで、早ければ半日でできるようになり、モデルの変更や修正への対応が非常に早くなりました」

SUBARU e-BOXER搭載モデル
SUBARU e-BOXER搭載モデル

生成コードの高い信頼性とカスタマイズ性を評価

なぜこれほどの自動化や工数の削減ができたのか、その理由を川上氏に尋ねると、一番に挙がったのがコードの信頼性の高さ、二番目は自動化に大きく関わるカスタマイズ性の高さやオープン性だ。

「『ANSYS SCADE』には、航空機のシステム開発における機能安全の認証を取得しているコードジェネレータが実装されているので、生成されるコードの信頼性が高く、レビューが必要ないため、工数を大幅に削減できます。そしてカスタマイズのためのインターフェースが用意されているので、必要に応じて改良することができ、自動化しやすかったですね。また、SimulinkからSCADEモデルへの変換ルールがブラックボックスではなく、大部分がユーザーに見える形で定義されているため、自分たちがしっかり確認したルールしか使わないことでも、信頼性を担保できました。これは非常に大きなメリットです」

つまり、通常であればSimulinkなどで書かれたモデルのチェックと、そのモデルを元に生成したコードのチェックも必要となるが、SCADEモデルに変換した段階でモデルのみをチェックすれば、その後に生成されるコード(ソースコード)のチェックが不要になるということだ。自動車のハイブリッドシステムのECU向けプログラムは非常に複雑かつ大きく、川上氏が関わった「e-BOXER」のものも、膨大なソースコードのボリュームとなる。コードのチェックはかなり手間のかかる作業なので、これを省略できたことで生産性の大きな向上とコスト削減につながっている。

「第一世代の実装では、専門知識が必要なために自動化できなかった部分があったのですが、『e-BOXER』では手作業がほぼないところまで自動化できました。いまでは、SimulinkモデルからSCADEモデルへの変換、そしてコードの実装までを、私たち専門部隊ではない他部門のエンジニアでも手軽にできるところまで自動化を進めることができました」

川上氏のチームが「e-BOXER」のハイブリッドコントロールユニットへの実装において成し遂げた自動化は、開発業務の生産性を引き上げただけでなく、今後の開発のスタイルを変えるかもしれない可能性を秘めている。

SCADEモデルとコード
SCADEモデルとコード

使用したANSYS 製品

  • ANSYS ®SCADE®
    クリティカルな組込みソフトウェア
    向けモデルベース開発環境

ANSYSによる主な利点

  • 自動生成されるコードの信頼性
  • コードの高い信頼性に基づく
    確認工程の省略
  • モデリングのしやすさ
  • 作成したモデルの可読性の高さ
株式会社SUBARU 株式会社SUBARU様
https://www.subaru.co.jp

所在地:
〒150-8554 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル

株式会社SUBARUは、1917年(大正6年)に現在の群馬県太田市に中島知久平が創設した飛行機研究所(後の中島飛行機)にルーツを持つ、自動車、航空機、宇宙関連機器メーカー。太平洋戦争の敗戦まで旧陸海軍の軍用機や航空エンジンの開発と製造を行っていた。1945年(昭和20年)富士産業株式会社に改称し、スクーターやバス、トラック、鉄道車両、小型発動機などを製造する。その後、富士自動車工業株式会社などを経て1953年に富士重工業株式会社が設立。自動車、鉄道、航空機などを手掛ける。自動車ラリーでは数々のレースで優勝するなど優秀な成績を収めた。また世界初の電子制御電磁クラッチ式無段変速機の開発、世界初の多層構造樹脂製燃料タンクの量産化に成功する。2017年に商号を株式会社SUBARUに変更した。資本金1537億9500万円(2018年3月末)、従業員総数1万4879人(2018年3月末)。

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