⼤阪ガス株式会社様

実験だけでは分からない家庭⽤燃料電池の⻑期耐久性評価 ― ANSYS Fluent が強⼒にサポート

家庭用燃料電池は欧州や日本で開発されているが、日本では各国に先行して市販され普及しつつある。
メーカーとガス会社が連携して開発している家庭⽤燃料電池「エネファーム」は、各⼾に供給されている都市ガスや LP ガスから⽔素を取りだして、空気中の酸素と化学反応させて電気を作り出す仕組みだ。現在販売されているエネファームには、燃料電池セル(電池としての最⼩単位)に使⽤する電解質の違いによって固体酸化物形燃料電池(SOFC)と、固体⾼分⼦形燃料電池(PEFC)の 2 種類があるが、⼤阪ガス株式会社では⾼効率発電が特徴の SOFC タイプを開発しエネファームの主⼒製品としている。同社のエネルギー技術研究所は ANSYS Fluent を導⼊して、SOFC の開発に⼤いに活⽤しているという。⼤阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所で解析を担当するシミュレーションチーム マネジャーの⻄村浩⼀⽒と主任研究員の森哲哉⽒、燃料電池技術を担当する⼤阪ガス株式会社 リビング事業部 商品技術開発部シニアリサーチャーの鈴⽊稔⽒に Fluent 選定に⾄った経緯や開発における利⽤の実際について聞いた。

⼤阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所 シミュレーションチーム マネジャー ⻄村 浩⼀ ⽒ 博⼠(⼯学)、 気象予報⼠

⼤阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所
シミュレーションチーム マネジャー
⻄村 浩⼀ ⽒ 博⼠(⼯学)、気象予報⼠

エネルギー技術研究所 シミュレーションチーム 主任研究員 森 哲哉 ⽒ ⼯学博⼠

⼤阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所
シミュレーションチーム 主任研究員
森 哲哉 ⽒ ⼯学博⼠

リビング事業部 商品技術開発部 シニアリサーチャー 鈴⽊ 稔 ⽒ ⼯学博⼠

⼤阪ガス株式会社 リビング事業部
商品技術開発部 シニアリサーチャー
鈴⽊ 稔 ⽒ ⼯学博⼠

電気化学反応の解析で定評ある Fluent

エネルギー技術研究所でのシミュレーション利⽤の歴史は⻑く、1980 年代後半から継続して研究開発に活⽤してきたという。Fluent を導⼊したのは 10 年ほど前で、まさに燃料電池内部の現象を解析するための導⼊だった。「以前は別のシミュレーションツールを使っていたのですが、燃料電池の中の直接測定できないところで何が起きているかを把握するためには、電気化学反応を解かなければ現象が把握できないということが分かって、電気化学反応の解析に関して定評のある Fluent を導⼊しました」(⻄村⽒)
選定にあたって、⻄村⽒や森⽒は、Fluent をはじめ複数のシミュレーションツールを使っている研究者に直接会い「今から始めるなら Fluent がいいのではないか」という声を聞いた。燃料電池に限らず化学反応分野で Fluent の評価が⾼いことや、⾃社の燃料電池に合わせていろいろとツールを改造しなければと考えていたことから、Fluent が電気化学反応解析のソースコードを公開している点を⼤いに評価して、導⼊に⾄ったという。

SOFC 発電ユニットの構成
SOFC 発電ユニットの構成

家庭⽤燃料電池は設置後、⻑期間使⽤されるのが前提のため、製品として世に送り出すためには経年変化による劣化も考慮しなくてはならない。内部の個別の部品は加速試験と実験を⾏って結果をデータベース化しており、燃料電池スタック(多数のセルを積層したもの)での発電試験も⾏っているが、実際に10 年間の実験をすることはできないため、実験結果を基にシミュレーションを⾏うことで、⻑期耐久性確保の判断材料とした。また、1回の実験にも時間がかかるため、あらかじめいろいろなパターンをシミュレーションで試して取捨選択し、効果がありそうなもののみ実験を⾏うといった判断にも役⽴てた。

実験結果をシミュレーションで裏打ち

シミュレーションのもう⼀つの⼤きなメリットは現象/状態の把握である。燃料電池の発電は、電気化学反応や熱移動が関連する複雑な動作だ。実験で得られた結果を、シミュレーションツール上で同じようなモデルを作って確認することで、直接観察することのできない現象を確認、理解し、理論的な裏付けを得ることができた。「実験がうまくいっても、どうしてうまくいったのかは推定しかできません。シミュレーションによって内部を可視化し、理論⾯の補強ができました。」(森⽒)

⼤阪ガス株式会社のエネファームは、発電ユニットをアイシン精機株式会社、燃料電池スタックを京セラ株式会社が担当する体制で開発しているため、例えば燃料電池スタックの性能・耐久性に関わる構造を改良する際には各社の合意のもとに開発を進める必要がある。そうしたときに「実験ではこういう結果で、シミュレーションでもこのようになっていると提⽰することで、⾮常に説得⼒を持って説明ができてやりやすかったですね」(鈴⽊⽒)さらに、実験が難しいような特殊な条件下でどうなるかを、シミュレーションで確認することができたことも⼤きいという。

こうしたシミュレーションを活⽤し、⼤阪ガス株式会社は家庭⽤燃料電池(SOFC)を開発し2012 年から発売している。2016 年4⽉に発売した最新製品「エネファーム typeS」では、コンパクト化を図った上で1kW 以下の家庭⽤燃料電池システムとして世界最⾼の発電効率52%を達成した。

製品開発だけでなく効果の検証にも期待

燃料電池の開発はまだまだ続いているが、エネルギー技術研究所 シミュレーションチームでは、これ以外にもFluent を活⽤している。給湯器などに使われる熱交換器や⼀般的な熱流体の解析、そして、業務⽤の厨房機器の熱解析にも利⽤する計画だ。⼤量の料理を作る厨房内は、調理器具からの輻射熱と排気で⾼温となり、調理師の⾝体上の負担が⼤きく空調費もかかる。それに対し、⼤阪ガスが厨房機器メーカー各社と共同で開発した「涼厨」と呼ばれる業務⽤の厨房機器は、厨房機器の輻射熱を抑えると共に集中排気によって、厨房内の温度上昇を抑える仕組みで、トータルの空調費⽤も抑えて省エネにも寄与する機器である。Fluent を使ったシミュレーションで「涼厨」の効果を多⾯的に⽰すことを期待できるとしている。

「涼厨(すずちゅう)」は⼤阪ガス(株)の登録商標です。

計算結果
SOFC 発電ユニットの構成

使用したANSYS 製品

ANSYS による主な利点

  • 定評ある電気化学反応の解析
  • 直接観察できない現象の理解
  • 解析コードがオープンソースであること

エネファーム type S システム外観 ⼤阪ガス株式会社
エネルギー技術研究所

http://www.osakagas.co.jp/

所在地:
〒554-0051 ⼤阪市此花区⾣島6-19-9

⼤阪ガス株式会社は 1897 年(明治 30 年)に設⽴され、2017 年に設⽴ 120 周年を迎えた。エネルギー技術研究所は、技術⾰新に対する備えや会社の⻑期発展のための研究開発機関として、第⼆次世界⼤戦後の 1947 年に中央研究所として設⽴された。以来、⼤阪ガスグループの開発拠点として研究開発を60 年以上にわたり⾏ってきた。幾度かの名称変更を経て現在のエネルギー技術研究所となり、グループ全体の技術課題の解決への貢献に加えて、将来のゲームチェンジにつながる⾰新的研究に取り組んでいる。燃焼技術、改質触媒、材料合成、バイオなどの研究分野と並んで、シミュレーション活⽤にも⼒を⼊れており、シミュレーションチームが⼤阪ガスグループ内のシミュレーション事案を⼀⼿に引き受けている。

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