日本軽金属株式会社様

複雑化、短納期化するアルミ押出加工への要求に「ANSYS Polyflow」「ANSYS Mechanical」で応える

素材製造から加工、応用製品の製造販売までアルミニウム関連の事業を手広く展開する日本軽金属グループにおける中核会社である日本軽金属株式会社の技術研究部門が、グループ技術センターだ。同センターでは多くのANSYS製品が使われており、さまざまな技術開発に取り組むほか、グループ各社の事業部門からの解析依頼にも応えている。今回は、アルミニウム形材の押出加工に関する解析を担当している、グループ技術センター 解析・設計グループ 主任研究員 博士(工学)林 沛征氏に、押出加工におけるシミュレーションツールの活用事例を伺った。

日本軽金属株式会社
グループ技術センター
解析・設計グループ
博士(工学)

林 沛征 氏

「ANSYS Polyflow」と「ANSYS Mechanical」が技術革新を強力支援

アルミニウムの押出加工は、数百度に熱した円柱状のアルミニウム合金素材「ビレット」を、目的の断面形状の穴が空いた金型「ダイス」に数千トンの押出力で押し付け、穴から連続して押し出して成形する加工法だ。身近なものではアルミサッシの枠部分、新幹線車両の構体などがこの方法で作られている。林氏が取り組んだのは、自動車のバンパーで使われる、7000系と呼ばれる非常に高い強度のアルミニウム合金(高力合金)を、複雑な形に加工する際に使用するダイスの長寿命化や、成形品の品質向上だ。

押出加工は金属を変形させながらダイスの穴から押し出すわけだが、高力合金は変形に対する抵抗が大きいためダイスに大きな負荷がかかり、短寿命で亀裂が発生するという課題があった。そこで林氏らは破損しやすい「ポートホール」という部品を、「ブリッジ」と「ホルダー」に分け、ホルダーを熱してブリッジを焼きばめることを考えた。押出時にブリッジにかかる負荷(引張応力)を、ホルダーの圧縮力で相殺しようというアイデアだ。ただし、ホルダーも強く圧縮すれば良いというものではなく、引張応力に対して圧縮力が強すぎると全体のひずみが大きくなってしまうので、引張応力と圧縮力の最適なバランスを取る必要があった。

そこで、粘弾性流体解析ソフトウェア「ANSYS Polyflow」を使って、ビレットがブリッジ(ダイス)を通過する際の圧力や温度、ダイス出口での形材の流速を解析。ダイス側は「ANSYS Mechanical」の弾塑性解析を使って、負荷時に発生する応力や圧縮力で除荷した際のひずみの解析を行った。

その結果、ビレットの押出荷重の解析結果は、検証実験により良く一致していることが確かめられた。解析結果に基づいて得られたパラメーターで最適化した焼きばめダイスは、従来のダイスよりも負荷(押出荷重)が低下し、結果としてダイス寿命は大幅に改善できた。

ダイスの応力解析結果 (1/2 model)
ダイスの応力解析結果 (1/2 model)

 

押出形材の品質向上にも

林氏は押出加工による成形形材の高精度化(外形寸法や肉厚の変動低減)にも、「ANSYS Polyflow」と「ANSYS Mechanical」で取り組んだ。押出で成形された外形寸法や肉厚の変動を抑えるためには、ダイス穴から押し出される形材断面の流速ベクトルが、穴の位置によらず一定であることが望ましく、流速ベクトルにばらつきがあると形材がゆがんでしまう。「ANSYS Polyflow」で解析した流速ベクトルの分布は、実際に成形された形材の出方と一致しており、アルミニウムの流れ解析が形材の成形性の検討に有効であることが確認できた。

また、何本ものビレットを連続して押出加工する際に、ビレットの先端と後端の温度差や圧力の変化、ビレット間の温度差、加工始めと終わりのダイス温度の変化によって、肉厚が変動する問題があった。ここでも「ANSYS Polyflow」と「ANSYS Mechanical」を使ってビレットの非定常流れと伝熱解析に加え、構造解析も組み合わせてダイスの温度と圧力分布の変化を解析した。この結果を実験結果と比較したところ、肉厚変動の解析値は実験値とほぼ重なり、改善方法の検討に移ることができた。

高精度、高速、マルチフィジックスで選ばれるANSYS

グループ技術センターでは数十年前から解析ツールを積極的に使用している。そのような中で「ANSYS Polyflow」や「ANSYS Mechanical」を使う理由は何か。「(押出加工関連で利用する)流れ解析では、圧力、温度、流速分布の3つが最も重要です。その精度が非常に高く、解析速度も速いことがANSYSを選んでいる理由です。その他、ダイスから形材が押し出されたあと冷却するのですが、複雑な形状のものは変形するので『ANSYS Mechanical』を使って弾塑性解析を行い、変形予測しています。また、私が所属する解析・設計グループでは、構造解析、塑性加工などの解析も行っていますが、そこでも各種機能を有するANSYSのツールがよく使われています」(林氏)

アルミニウム押出成形品について、最近の顧客からの要求は「軽量化」と「短期間化」だという。「(軽量化を実現するには)非常に薄肉かつ複雑な形状の形材を作らねばなりません。お客様は形状は考えていても、どうやって作るかは考えていません。我々がダイスを考えないといけないのですが、押出加工の難易度は高くなります」と林氏は話す。開発期間自体も短くなる傾向があり、形状の複雑化と合わせ、従来の経験則のみの設計手法では解決できないケースが増えている。シミュレーションツールを利用してしっかりと解析し、試作を減らすことは当然の流れだ。精度が高くて解析が速く、多様なツールと組み合わせて利用できるANSYSツール群は、さらに活躍の場が増えていくだろう。

ダイス開口の変形解析
ダイス開口の変形解析

使用したANSYS 製品

ANSYSによる主な利点

  • 業界標準としての使いやすさ
  • 高速で高精度の シミュレーションが可能
  • 圧力、熱、構造の連成解析
  • ANSYS シミュレーション ツール群による発展性
日本軽金属株式会社  グループ技術センター 日本軽金属株式会社 グループ技術センター様
http://www.nikkeikinholdings.co.jp/

所在地:
〒421-3203 静岡県静岡市清水区蒲原1-34-1

日本軽金属株式会社は、1899年(明治32年)に創業した那須アルミニューム器具製造所に端を発し、1939年(昭和14年)にアルミニウム精錬事業を目的として設立された。創業以来、アルミニウム原料から加工製品まで幅広く手掛けるアルミニウムの総合メーカーである。2012年に日本軽金属ホールディングス株式会社に株式を移転した。同社を持ち株会社として、国内外にアルミニウム関連の多数のグループ企業がある。グループ技術センターは、日本軽金属グループの総合的な研究・開発の拠点として、アルミニウム素材、加工、新製品などの研究・開発に取り組んでいる。

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