国立大学法人長崎大学様

コードだけのPC 電源が実現? 従来の領域を超えた未知のスペックを検証するためのシミュレーションツール

国立大学法人長崎大学 大学院 工学研究科 電気電子工学コースでは、電力変換器(コンバータ/インバータ)の新しい回路や制御方式とその応用に関するパワーエレクトロニクス研究が特徴的で、数多くの研究が行われている。そのなかで、スイッチング電源をメインとしたアナログ電子回路の研究を進めている国立大学法人長崎大学 大学院 工学研究科 電気・情報科学部門の石塚洋一准教授と、石塚研究室で企業と連携して次世代のスイッチング電源を研究開発している大学院 工学研究科 博士課程(5年一貫制) グリーンシステム創成科学専攻の針屋昭典氏に、電磁界解析ツールを使った開発の利点や、エンジニア教育におけるシミュレーションツールの効用についてお話を伺った。

国立大学法人長崎大学 大学院 工学研究科 電気・情報科学部門
准教授 博士(工学)
石塚 洋一 氏

大学院 工学研究科 博士課程(5年一貫制)
グリーンシステム創成科学専攻
針屋 昭典 氏

最先端の実験結果の解析はANSYS Maxwell で

針屋氏が携わっているのは、パワーエレクトロニクス分野で注目を集めている窒化ガリウム(GaN)半導体を使ったGaN-HEMT という素子を電力変換器に応用して、メガヘルツクラスの高い周波数でスイッチング動作させるというもので、将来、超小型のスイッチング電源の開発につながる他にない研究だ。従来のスイッチング電源はせいぜいキロヘルツのオーダーで動作している。一般にスイッチング電源は、スイッチング周波数を高めると小型化できるものの電力容量が下がってしまう性質がある。この性質に対抗して、動作周波数を高めて大幅に小型化すると同時に、電力容量もある程度大きく維持できる電源の開発を目指している。

この研究で課題となっていたのは、最先端であるが故の悩みだ。「スイッチング電源において絶縁型電力変換器をメガヘルツで動かすことはこれまでにありませんでした。電力容量が120 ワットというのもないし、GaN-HEMT 素子もいままでにないものを使っているので、新たな課題が次々と出てきてそれを解析しないといけないんです」(石塚准教授)

まったく新しい装置の解析において問題となるのは、要素が複雑に絡み合っているため、実験によってデータを得ても、そのデータが何を意味しているのかがはっきりと分からないことだという。そこにシミュレーションツールを使うことで、何が起きているのかを理解する助けになるのだ。

磁気シールドの有無による磁束密度分布の違い (左:磁気シールド無し、右:磁気シールド有り)
磁気シールドの有無による磁束密度分布の違い (左:磁気シールド無し、右:磁気シールド有り)

ANSYS Maxwell を導入することで、効果を視覚化できるようになったことが一番大きいと思います。それまで数値を見て大きい/小さいという話はしていましたが、ANSYS Maxwell によって、やり方を変えたときに磁束密度分布がどのくらい違ってくるか視覚的に表せて、とても理解しやすくなりました」(針屋氏)

石塚准教授は、実験結果を解析できない、あるいは解析が困難なものに対して、ANSYS Maxwell を利用することで検証できるようになり、さらに結果を分かりやすく示せることで、研究開発のスピードアップにつながっていると話す。そして石塚准教授があげる、シミュレーションツールを使うもう一つの重要なメリットはコストの削減だ。

研究では当然ながらさまざまな実験のための試作基板を作る必要があるが、1枚作るためには数十万円かかってしまう。限られた研究予算の中で余計な出費は抑えたい。「設計していきなり基板を試作したのでは、結局動かなかったという場合もありえます。そこで回路シミュレーションツールで解析して、完成度を上げてから試作することでコストを抑えられるのです。私は解析するだけでなくものを作るのが電気電子工学だと思っているので、最終形にたどり着くまでの最短距離を取ることが不可欠です。そのためにシミュレーションツールの活用は大切だと思います」(石塚准教授)

ANSYS Maxwell を研究現場で使っている針屋氏は、導入時の学習しやすさやサポートを評価している。ANSYS Maxwell は1年ほど前に初めて触れたが、Web サイトに用意されたチュートリアルコンテンツの出来が良く、一通りの使い方は一人ですぐに理解できたという。また、実際の研究におけるシミュレーションで分からないことがあって問い合わせても、「その日のうちにレスポンスがあって、的確なアドバイスであっという間に問題が解決したということもありました」

加えて一般的なツールと比べて感じた利点についてもこう話す。「ANSYS が提供しているシミュレーションツールの領域が非常に幅広いのも魅力的に感じています。いま私たちは電磁界解析をやっていますが、そこで作ったモデルのパラメーターを、そのまま回路との連成解析に流用できます。今後は例えば磁場解析で作ったモデルの電力損失がこれぐらいなら熱はどのくらい出るか? といったことを熱解析ソフトウェアと連携させて検証したいと思っています」(針屋氏)

シミュレーションツールは学生の大きな武器に

研究現場でこのように有効活用されているシミュレーションツールだが、電気電子工学を学ぶ学生向けカリキュラムでも使われている。長崎大学では一昨年度から、学生にパソコンを買わせて大学に持ってこさせる“パソコンの必携化”を実施しているが、石塚准教授は電子回路の講義の中で回路シミュレーターを学生に使わせて理解を深めようと取り組んでいる。

「電子回路は幾何学的にいろいろ考えなければいけない部分もあるのですが、これまでは計算重視でした。一生懸命計算をやって出てきた数字だけで理解しろというのはなかなか難しい。私自身も学生のときそうでした。学生が自分のパソコンでシミュレーターを動かして波形を見たりできるようになって、確実に理解度が上がったと思っています。それだけでなく、シミュレーターをやっていたことは就職活動の際の武器になります。例えば『Maxwell を使っていました』という学生なら、のどから手が出るほど欲しいと言われるくらいです。積極的に大学としてシミュレーションツールを導入していければと思っています」

磁気シールドの有無によるGaN-HEMT に生じる渦電流の比較 (左:磁気シールド無し、右:磁気シールド有り)
磁気シールドの有無によるGaN-HEMT に生じる渦電流の比較 (左:磁気シールド無し、右:磁気シールド有り)

使用したANSYS 製品

製品使用における利点

  • 実験結果の解析不能/困難なものをシミュレーションにより検証
  • 試作基板製作前にシミュレーションで有効性を確認し完成度を向上
  • 習得が容易でサポートもよい
  • 他のANSYS ツールとの連携が容易

国立大学法人長崎大学 国立大学法人長崎大学
大学院 工学研究科

http://www.nagasaki-u.ac.jp/

所在地:
〒852-8521 長崎県長崎市文教町1-14

長崎大学の歴史は古く江戸時代にまでさかのぼる。安政4年(1857年)にオランダ軍医のポンペ・ファン・メールデルフォールトが幕府医官に対してオランダ語による医学講義を始めた医学伝習所に端を発している。その後設立された長崎医学専門学校が、1923年に長崎医科大学に昇格。長崎市に投下された原爆では1,000人近い学生、教職員が犠牲になった。1949年に新制長崎大学となり、1966年には工学部、1976年には大学院工学研究科が設置された。工学部は現在、機械工学コース、電気電子工学コース、情報工学コースなど6コースに分かれており、2016年に学部創立50周年を迎える。

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