株式会社LIXIL様

(R&D 本部 先端技術研究所 先端技術開拓グループ,
DPR 推進部 開発改推進室 エンジニアリングシステムグループ)


水流のシミュレーションにANSYS Fluent とANSYS HPC Pack を導入し
製品開発における試作回数と開発期間の短縮を実現

キッチンや浴室、トイレ、リビングから、窓、玄関まわり、さらに外壁、屋根、太陽電池パネル、ベランダ、フェンス、カースペースまで、住宅の内と外の商品を幅広くそろえる株式会社LIXIL において、先端技術の開拓を行っているのが、R&D 本部 先端技術研究所 先端技術開拓グループ。浴室やトイレなどの水回り製品の開発部隊と連携してシミュレーションツールによる事前予測を行っているのが、DPR 推進部 開発改革推進室 エンジニアリングシステムグループだ。

同グループでは、ANSYS の流体解析ツールANSYS Fluent に大規模計算モジュールANSYS HPC Pack を組み合わせ、トイレ製品の水の流れを解析して新製品の設計開発に生かしている。ANSYS 製品選定の理由や、導入の効果について、R&D 本部 先端技術研究所 先端技術開拓グループ 開拓4チーム チームリーダー 梅田学氏(博士(工学))、DPR 推進部 開発改革推進室 エンジニアリングシステムグループの相樂慎一氏にお話を伺った。

株式会社LIXIL 先端技術研究所 先端技術開拓グループ 開拓4チーム チームリーダー
博士(工学)
梅田 学 様

DPR 推進部 開発改革推進室
エンジニアリングシステムグループ
相樂 慎一 様


曲面で構成された便器における洗浄水の流れをシミュレーションで

便器は水を流せばきれいになるもの、と当たり前のように考えてしまうが、最近はエコの観点から節水への要求が高まっている。流す水の量は、昔は13 リットルだったところ、今では約3 分の1の4~5 リットルになっている。少ない水できれいに流せる製品を作らなくてはならず、そのために便器の開発においては、試作して水を流し、要求性能を満たさなければ形を直してまた水を流し、ということを何十回と繰り返していた。当然こうした開発には非常に時間がかかることから、シミュレーションツールを使って置き換えられないかと考えたのがスタートだという。

流体解析ツールにはさまざまな製品があるが、そこでANSYS Fluent が選ばれた理由はなぜだろうか。「Fluent 以前に、別の複数のソフトも使っていたのですが、弊社の製品である便器や浴槽など、曲面で構成されたもののシミュレーションがうまくできないという問題がありました。そこで曲面のものでもシミュレーションできるツールをいろいろ検討した中で、導入実績が国内No.1 であること、しっかりしたサポート体制があることからFluent を採用しました」(相樂氏)

ただFluent 導入を決定しても、それがすぐ設計開発のプロセスに組み込まれた訳ではない。Fluent によるシミュレーションと、実物による試験結果がある程度同じ傾向になり、設計に使えるレベルにあることをさまざまな手法で検証した。一例では、光造型3Dプリンタで透明の便器モデルを作り、水を流してハイスピードカメラで撮影し、その流れとシミュレーションが合うようメッシュや乱流方程式などを合わせこんだという。

そうした努力により設計に使えるシミュレーション結果を得ることができたのだが、当時は計算に1週間ぐらいかかってしまい、試作を作った方が早いという状態だった。これに対しては大規模計算モジュールであるHPC Pack を導入してクラスターPCで走らせることで解決し、1週間かかっていた計算を1日で終わらせられるようになった。

可視化によっても設計者をサポート、開発期間を短縮

試作の置き換えはシミュレーションツールのメリットとして大きいが、他にも重要な効果があったと相樂氏は話す。「(陶器製である)便器は水がたまっているところまでしか目視できないので、その先の排水側につながる経路はどうなっているか分からない。これはいま開発の試作に使っている光造型3D プリンタの透明便器モデルでも同じで、完全に透明ではないので見づらい。それがシミュレーションになると、内部の流れが確認できます。これが非常に重要です。サイフォン方式の便器の洗浄性能を左右するのは試作では見づらい奥の部分ですが、シミュレーションなら水の流れがすぐに分かり、これまで設計者の勘と経験に頼っていた対策が、適切に打てるようになりました」

設計開発プロセスにFluent を組み込んで1年に満たないが、既にはっきりとした結果が出ている。従来の試作を繰り返すやり方から数か月の期間短縮が出来た。これは、試作回数を減らすことが出来たことと、シミュレーションによってある程度の形状ができているため、性能を満たすための調整がわずかで済むことによるという。これは大きなコスト削減効果といえる。

LIXIL にはM&A によって海外の便器メーカーも加わっており、そうしたメーカーの技術者も洗浄技術に取り組もうと、情報交換をしているという。「便器洗浄はアメリカや中国でも共通の課題です。(海外メーカーには)研究的な機関があまりないようですので、洗浄技術は日本が中心になっていくと思います」(梅田氏)

さらに、流体解析で一定の成果が得られたことで、LIXIL では他の製品開発においてもシミュレーションツールの導入を検討している。「洗浄の次に難しいのが耐久性です。例えば便器のふたにもたれかかる方もいて、そのような方が長年使用していても壊れないように設計することが重要ですが、これもかなり厳しく、開発にかかるリードタイムが長くなる原因にもなっています。そこで強度解析に取り組んでいます。ふただけを解析すればよいわけではなく、ふたにもたれかかることによって他の部品にも力が加わるので、50 部品くらいの解析になって計算規模としてかなり大きくなるため、並列計算で高速化したいと考えています」(相樂氏)

便器の洗浄CAE の結果 (HPC により1日で計算が可能になった)
便器の洗浄CAE の結果
HPC により1日で計算が可能になった
試作では確認困難な排水経路の水流れもCAEで容易に確認できる
試作では確認困難な排水経路の水流れも
CAE で容易に確認できる

使用したANSYS 製品

製品使用における利点

  • 曲面で構成される製品の解析
  • 水の流れの可視化によって対策が容易に
  • 開発期間の短縮
株式会社LIXIL様 株式会社LIXIL
http://www.lixil.co.jp/

所在地:
〒479-8585 愛知県常滑市鯉江本町5-1

株式会社LIXIL は、2011年4月にトステム株式会社、株式会社INAX、新日軽株式会社、サンウエーブ工業株式会社、東洋エクステリア株式会社の統合によって生まれた。LIXIL グループ最大の事業会社として、販売、生産、メンテナンス、サービスなど数多くの関連子会社を持つ。150 の国と地域で事業を展開するグローバルカンパニーである。

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