株式会社デンソー様

全社で運用する構造解析ソフトウェアをANSYS 製品に統一
CAE による製品開発のさらなる効率化と活用を進め、グローバル規模の市場における品質、競争力の維持向上を図る


クルマに関する技術、製品、システムの開発を長年に渡って手掛け、数々の自動車メーカーに提供しているデンソーは、「安全・安心」「地球環境の維持」を大きな目標として、常に先進的な取り組みを続けている。同社はCAE による製品開発のさらなる効率化と標準化を促進し、グローバル規模の市場における競争力の維持向上を図るために、全社で運用する構造解析ソフトウェアをANSYS 製品に統一することを決断。2011 年からリプレースを進め、無事に移行を完了した。

技術開発センター デジタル・エンジニアリング室長の赤池茂氏に、今回の決断に至った経緯と今後の展開について伺った。

株式会社デンソー
技術開発センター
デジタル・エンジニアリング室長(部長級)

工学博士
赤 池 茂 様

経営環境の変化を受けて環境を統一すべきと判断
ベンチマークの結果、80% のユーザーがANSYS を支持

デンソーは、時代の変化に対応しながら、高品質な製品を安定的に提供するトップレベルのサプライヤーとして、同社は国内のみならずグローバルでも高い評価を受けている。現在はハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、また自動運転技術の分野にも積極的に携わっている。

製品設計・開発プロセスへのCAE 導入は比較的早い時期から行っており、複数の構造解析ソフトウェアを各々の得意とする機能を活かす形で使ってきた。ANSYS 製品を利用していた事業部もあり、統合操作環境であるANSYS Workbench などの使いやすさを評価する声は、当時から出ていたという。

今回のソフトウェア統一は、2009 年に起きた金融危機によって企業の経営環境が大きく変化したことが背景にあると赤池氏は話す。状況の変化に迅速に対応していくには、CAE の基盤を全社的に統一し、より高い品質と開発スピードを実現することが重要と考えた同社は、比較検討のためのベンチマークを実施。その結果、「ANSYS Multiphysics」をはじめとするANSYS の構造解析ソフトウェアを選択した。

「我々に対してもコストへの要求が強まったことで、運用するソフトウェアを統一して無駄を省き、自社の要件に合わせて改善を促していくのが筋だろうという話になりました。そこで、候補となる製品を挙げ、ベンチマークを行うことにしたのです。」

ベンチマークは機能面および活用性に着目したもので、最終的には1年半ほどを要した。その過程では、ソフトウェアの安定性も評価の指標になった。

「候補となったソフトウェアはどれも基本的な機能は揃っていましたが、接触解析や大変形解析など当社の業務で必要となる機能について要件を定めてベンチマークを行いました。全部で20 項目ほどありましたね。当然ながら、それぞれによいところ、よくないところがあるわけですが、トータルでクリアした項目はANSYS が最も多いという結果になりました。ANSYS 製品は挙動が安定していて、その当時不安定なところが多かった競合製品に対する優位性もあったと思います。

ひととおり検証を終えて社内でアンケートを取ったところ、80% くらいのユーザーが『ANSYS にしたい』『ANSYS は使える』という回答でした。これだけ評価が高いのであれば、そちらに統一するのは当然でしょう。」

選択と集中を図ると同時に、CAE の未適用部門にも裾野を広げていくことがこれからの課題

2011 年にANSYS 製品への統一を決定した後、段階的な移行を進め、2014 年3 月に無事完了した。これは国内だけでなく海外の拠点でも同様であり、赤池氏は計画通りに進められたことを評価している。

「その部署(事業部)が必要としている機能がANSYS 製品できちんと利用できるか、またそれまで蓄積してきたデータを活かすことができるかを確かめながら進めてきました。日々の業務に対する影響を抑え、スムーズに移行できるよう3 ヵ年計画を立てましたが、ほぼそのとおりに完了できたのはよかったです。

当社で開発している製品は比較的、自動車に比べて小型のものが多く、検証面において意外とやりやすかったと思います。」

現在、同社のCAE は本社が中心となって取り組んでいるが、一部は海外の拠点でも行っている。今後海外の対応比率が高まっていく場合にも、ANSYS 製品が備える統一的な作業環境は大きなメリットになると捉えている。

「今、我々の業務として、ほとんどの計算処理は日本(本社)で行っていますが、北米、欧州、東南アジアなど海外拠点でも少しずつ手掛けるようになってきました。ANSYS 製品の統合操作環境として提供されているANSYS Workbench は、設計者にとって使い勝手の良いツールだと思いますし、作業環境の統一という点でも効果を発揮するでしょう。最近ではベトナムの拠点に我々の下部組織があります。ベトナムでは、ANSYS 製品のディストリビューターのサポートがとてもよく、グローバル対応という点でもしっかりした基盤が整ってきたと感じています。」

今後、同社はCAE をどのように活用していこうとしているのか?CAE の可能性を模索し、実証してきたこれまでの取り組みを振り返りつつ、これからは「選択と集中」、そして「より広範な展開」が重要になると考えている。

「デンソーでは、CAE の機能を分社化していたこともありましたが、先行投資的な研究開発を担う重要部門として本社に置き、腰を据えて取り組むべきという話になり、現在に至っています。今では長期的な取り組みを踏まえてさまざまなことができるようになり、200 件以上のテーマが毎年社内から上がってくるようになりました。これらをすべてこなすには人員や時間の問題もありますから、選択と集中を図り、ある種汎用的な部分は海外拠点で、コアになる部分や高いレベルが求められる部分は本社で、という具合に主要なものをピックアップする流れにしていきます。

今注力しているのは、HV やEV に関連した磁場や構造振動の解析です。現在当社では全事業分野のおよそ40~50 %の領域でCAE を使っていますが、今後この割合を80 %ほどまで引き上げることを目標にしています。電子基板のようにこれまで実験で対応してきた分野でも熱解析を行い、設計の効率化をもっとはかる必要がありますし、構造物を扱う部門ではもっとCAEを活用できると思っています。これまで構造解析ソフトウェアを使ってこなかった部署へすそ野を広げていく取り組みなので時間はかかると思いますが、着実に進めていきたいと思います。」

最後に赤池氏は、ANSYS への期待を次のように話してくれた。

「CAE では、精度はもちろん重要ですが、何よりもスピードが求められます。エンジニアが使うツールとして、ソフトウェアの処理速度をもっと高めていってほしいというのが要望です。ハードウェアの性能向上に伴って速くなります、ではなく、コードの最適化をはじめソフトウェア技術によるチャレンジをもっと積極的に行ってくれることを期待しています。」

株式会社デンソー   技術開発センター デジタル・エンジニアリング室長(部長級)工学博士   赤 池 茂 様
統合操作環境 ANSYS Workbench

 

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1949年に設立。愛知県刈谷市に本社を置き、自動車の熱マネジメント、パワートレイン制御、電気電子系統、情報、安全などの各分野において先進的な技術、システム、部品を提供している世界規模のサプライヤー。世界の大手自動車メーカー各社を顧客とし、日本を含め世界35の国と地域に200社以上の子会社および関連会社を持ち、約14万人の従業員を擁する。

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