株式会社サステナブル・エンジン・リサーチセンター様

発電用次世代高効率天然ガスエンジン開発の基礎研究、シリンダー内の燃焼現象解析にANSYS Forte が貢献

千葉大学発ベンチャー企業の(株)サステナブル・エンジン・リサーチセンター(以下SERC)では、日本の企業や大学の技術者、研究者が組織や立場を越えて情報を交換し、次世代エンジンの開発に向けた共同研究を行っている。SERC は高効率エンジンの開発に向けたコンソーシアムを立ち上げているが、そのひとつが2013年4月にスタートした、「天然ガス・コージェネエンジンシステム」コンソーシアムだ。これは、将来日本の電力事情を支えることを目的に、発電所で使用する天然ガスを燃料とした高効率4サイクルエンジン開発に向けた研究を行うものだ。この天然ガスエンジンの研究では、エンジン内部の燃焼を解析するためにANSYS の内燃機関の燃焼シミュレーションパッケージである「ANSYS Forte」が活用されている。SERC 登録研究員でこのコンソーシアムに参加している、国立大学法人大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 准教授の橋本 淳氏に、最先端エンジン開発においてANSYS Forte がどのような役割を担っているのか、お話を伺った。

サステナブル・エンジン・リサーチセンター 登録研究員国立大学法人大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 准教授 博士(工学) 橋本 淳 氏
サステナブル・エンジン・リサーチセンター 登録研究員 国立大学法人大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 准教授
博士(工学)
橋本 淳 氏

シリンダー内の希薄混合気体燃焼を解析

橋本准教授が取り組んでいるのは、エンジンのシリンダー内部で、非常に薄い天然ガスと空気の混合気体が、どのように燃焼するかという現象の解析だ。シリンダー内の天然ガスを希薄にするとエンジン効率は高まるが、一方で点火することが難しくなる。このため、シリンダー横にもう少し天然ガスの濃い混合気体を入れた小部屋を用意し、そこに点火することでシリンダー内に火炎を噴き出させる「トーチ火炎」によって希薄混合気体を燃焼させる仕組みだ。トーチ火炎による燃焼を数値シミュレーションツールで解析し、シリンダー内部で何が起きているかを知ることによって、最終的には、燃料消費の悪化につながるシリンダー内の異常燃焼(いわゆるノッキング)を減らすことを目指している。これまでに世界でもあまり例がないトーチ火炎による燃焼の解析のために、橋本准教授はシミュレーションツールの評価を担当したが、そこで選ばれたのがANSYS Forte だ。

トーチ火炎のシャドウグラフ撮影結果と数値解析結果
トーチ火炎のシャドウグラフ撮影結果と数値解析結果

実績のある化学反応ソルバー技術を搭載

橋本准教授がANSYS Forteを選んだ理由のひとつが、信頼性のある化学反応ソルバが搭載されていることだ。ANSYS Forteは、気相中の反応におけるモデル化/シミュレーションツールとして高い実績を持ち、業界標準となっている「ANSYS Chemkin-Pro」のソルバー技術を搭載しているのだ。「希薄混合気体をトーチ火炎で燃焼させると、どうしてもノッキングという現象が起きます。その再現性を考えたとき、ANSYS Chemkin-Proという、燃焼の化学反応をよく再現できる実績のある技術が使われていることが理由です」

ANSYS Chemkin-Proは化学反応の分野で広く長く使われており、橋本准教授も使用経験があった。「(ANSYS Chemkin-Proのソルバー技術を受け継ぐANSYS Forteが)反応計算の土台がしっかりしているところを高く評価しています。世界の研究者も知っているので説明の必要もない。計算の安定性が高いだけでなく、その問題も含めて、性質が良く理解されているので、我々が独自のモデルを導入して問題が起きたときも、問題の見極めがしやすいのです」

もちろん化学反応計算がしっかりしているため、そこに疑問を持つことなく本来の研究対象に集中できるのは大きなメリットといえる。だが、ANSYS Forteが選ばれたのはそれだけが理由ではない。「非常に使いやすいのです。多少シミュレーションツールを扱ったことがある人なら、2、3日あれば使い始められます。学生でも1週間あれば大体の操作はできるようになるほど簡単です。CADモデルがあればメッシュ作成も自動的に行われます。また、我々がやっているような、ANSYS Forteが想定していないような解析にトライすると当然ながら不具合が出てきますが、そんなときも迅速にサポートいただいて非常に助かっています」

変わりつつあるシミュレーションツールと実験の関係

新しい分野の解析においては、市販の汎用シミュレーションツールを使わず、研究者がオリジナルのプログラムを書くことも多いが、それではまた新しい分野が出てきたときや新しい研究者に変わったときなどの対応が難しいといった問題がある。橋本准教授は、特に実用・実機に近い事例においては、解析プログラムを自分たちで書くよりも汎用シミュレーションツールに任せて、解析モデルを検証しながらどんどんブラッシュアップしていく方がいいと考えている。

エンジンの燃焼に関する研究者の間でこれからは、目の前の設計・開発に必要な実験を繰り返してゆくだけでなく、きちんとしたシミュレーションツールを持っておくことが重要であり、実験は最終評価やシミュレーションツールの初期検証のために行うという考えがトレンドになっているという。そうしなくては開発のコストダウンができず、顧客からの要望に応えることができないのだ。これからのエンジン開発において、ANSYS Forte の果たす役割はますます大きくなる。

燃焼室内温度分布を利用したノッキング強度低減効果の検証
燃焼室内温度分布を利用したノッキング強度低減効果の検証

使用したANSYS 製品

  • ANSYS Forte
    内燃機関用CFDシミュレーションパッケージ

製品使用における利点

  • 化学反応分野における高い実績を持つANSYS Chemkin-Pro のソルバー技術を搭載
  • 燃焼における化学反応メカニズムのノウハウの豊富さ、再現性の高さ
  • 操作習得が容易
株式会社サステナブル・エンジン・リサーチセンター
株式会社サステナブル・エンジン・リサーチセンター
http://serc.co.jp/

「天然ガス・コージェネエンジンシステム」コンソーシアム

所在地:
〒260-0032 千葉県千葉市中央区登戸4-17-10

サステナブル・エンジン・リサーチセンター(SERC:Sustainable Engine Research Center)は、日本の次世代エンジン開発のために産学が連携して2011年に設立された。振動騒音が少なく、燃料消費が少なく、スペースもとらず、重くもなく、低コストであり、それでいて素直な素性を持つサステナブル・エンジンの実現を目指して、競合メーカーの立場を超え、エンジン技術者と研究者が集まり、情報交換や共同研究を進めている。国内でガソリンエンジン研究が最も活発な千葉大学、大分大学が中心となり、企業と大学が連携したコンソーシアム「過給ダウンサイジングガソリンエンジン」「天然ガス・コージェネエンジンシステム」も展開する。

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